【Dailyアレ!アレ!ユキヤ】ジロ・デ・イタリア第1ステージを終えて
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2023ジロ・デ・イタリア第1ステージをスタートする新城幸也
急遽、ジロ・デ・イタリアへの出場が決まった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)。この突然の報を受け、本誌の連載「アレ!アレ!ユキヤ」を担当する番記者・大前 仁も現地へと飛んだ。第1ステージ、タイムトライアルのレポート。
出走順序に見る戦略
176人が出走する今年のジロデイタリア。1チーム8人編成で22チームが参加している。第1ステージは19.6kmの個人タイムトライアルで、22チームの出走順はおそらくくじ引き、そして各チーム内でどの選手をどの順番で走らせるかに戦略が見えた。
ゼッケン1番をつけるレムコ・エヴェネプールは当然のように最終走者。これは風向きより何より「最後までホットシートに座っているのはイヤだから」じゃないかと笑いながら説明してくれたのはユキヤだ。
ユキヤのチームはこの日後半、向かい風が強まるとの予報からエース級を早めに出走させ、なんとユキヤをチームの最終走者、160番目の出走に選んだ。161番目のライダーはディエゴ・ウリッシ、彼がすごく速いとすればユキヤは追い抜かれてしまうのか?? 日本ではJスポーツのユーチューブ無料配信もあったので、見ていたかな?
コース序盤は平坦なサイクリングロードを走り、フィニッシュ前に最大8%の上りがある、距離19.6km。時速50kmで走ると、23分31秒だ。このライダーに対して1分前にスタートしたライダーは24分31秒で走れば追い抜かれないから、平均時速47.9kmで走れればよい計算になる。
ちなみにこのジロのTTにおけるタイムアウトはステージ勝者の30%だから、もし優勝者が時速55kmで走るとすれば優勝タイムは21分29秒、この30%増しは時速42.1km、27分55分よりかかれば初日リタイアだが、そこまで差は開かないはずだ。
フォッサチェジーヤのマリーナに置かれたスタート地点。多くのボートが係留されている小さな港をぐるりと囲むようにチームバスが止められ、選手はここでウオーミングアップしてスタートしていく。スタートラインまではみっちり歩いて30分かかったから、ユキヤがウオーミングアップを開始する時刻に僕はもう歩き始めていなければならなかった。タイムトライアルに対する戦略はこちらの記事をチェックしてほしい。
選手たちのバイクを見れば、たしかに何人かがフロント60Tをシングルで取り付けている。当然のように同じポジションで用意されたTTバイクが随行するチームカーに載せられ、その奥には念のために本人のロードバイクも積まれている。準備は怠りない感じで、用意された予定表通りに選手たちは準備し、スタッフもキビキビと働いていた。
ユキヤの番が来た。スタート台に上がったユキヤは落ち着いて見える。観客も「アラシロ!」と大声で叫んでいる。アナウンサーが名前を呼ぶと、左手を挙げて軽く挨拶した。そしてカウントダウン、スタート! 安定感のあるダンシングで直線を加速していく。
結果はみなさんご存じの通り、出走176名中90位。ほぼ真ん中で、全然悪くない。無理に追い込むことなくこの成績なのだろうから、やはりユキヤはスゴイ。本人も「フランクフルトから、まともなトレーニングができていなかったのですが、悪くないですね」と話してくれた。いよいよユキヤのジロがスタートした。