最適なフルサス-トレイルマウンテンバイクの選び方【MTBはじめよう! Vol.15】

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最適なフルサス-トレイルマウンテンバイクの選び方【MTBはじめよう! Vol.16】

Presented by SPECIALIZED JAPAN 撮影場所協力:フォレストバイク

マウンテンバイク(MTB)のトレイルライドとグラビティライド(下りをメインで楽しむ走り方)の基本が学べるシリーズの第15回目。MTBの主流はフルサスペンション(フルサス)だが、その中でもおすすめなのが「トレイルバイク」と呼ばれるカテゴリーだ。しかし、実はトレイルバイクの中でも主に2種類に分けられ、それぞれ性格が異なる。あなたにとって最適な一台はどう選べばいいのか?

 

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ノーマルなトレイルバイクと“下り系トレイルバイク”に分けられる

今回も教えてもらうのは、プロMTBライダーでインストラクターとして活躍する板垣奏男さんだ。

板垣奏男(いたがき かなお)さん

板垣奏男(いたがき かなお)さん。東京サイクルデザイン専門学校を卒業後に本場カナダへ渡り、高度なライディングスキルからトレイルビルディングに至るまでを習得。現在はプロライダー/インストラクターとして活躍している。Instagram:kanao_i_into_the_ride  YouTube:kanao itagaki

 

現在のMTBシーンでは主流と言っていいフルサスのトレイルバイクだが、そのカテゴリー内でもさらに種類が分かれているようだが?

「そうなんです。主に2つの種類に大別できます。1つは、サスペンションのストローク量がフロント140mm、リヤ130mm程度の、ノーマルなタイプのトレイルバイクです。

もう1つは、同じくストローク量がフロント160mm、リヤ150mm程度の、“下り系トレイルバイク”と言えるタイプです」。

 

ノーマルなトレイルバイク

SPCECIALIZED STUMPJUMPER EXPERT/スペシャライズド・スタンプジャンパー エキスパート

ノーマルなトレイルバイクの例。写真はSPECIALIZED STUMPJUMPER EXPERT/スペシャライズド・スタンプジャンパー エキスパート(73万7000円・税込)。高い上り性能と下り性能を両立させたトレイルバイク。サスペンションのトラベル量はフロント140mm、リヤ130mmとなっている。カーボンだけでなくアルミフレームのモデルもラインナップする。スタンプジャンパーには長い伝統と歴史があり、初代は1981年に世界初の量産型MTBとして発売された。そのモデル名が現代まで受け継がれている

 

「まず、ノーマルなトレイルバイクについては、下り性能と上り性能がバランスされていて、全MTBカテゴリーのちょうど中間的な性能を持っていると言えます。つまり、“上りも下りもどちらも均等にいけるMTB”ということですね」。

 

下り系トレイルバイク

スペシャライズド・スタンプジャンパー エボ エキスパート

下り系トレイルバイクの例。写真はSPECIALIZED STUMPJUMPER EVO EXPERT/スペシャライズド・スタンプジャンパー エボ エキスパート(77万5000円・税込)。スタンプジャンパーに強力な下り性能をプラスさせたモデル。サスペンションのトラベル量はフロント160mm、リヤ150mm。また、ライダーの走り方や乗るフィールドに応じて全6種類にジオメトリを変更できるのが大きな特徴だ。こちらもアルミフレームのモデルもラインナップしている

 

「一方で下り系トレイルバイクは、ある程度上り性能は確保しつつも、より下り性能にふっているMTBと言えます。下りを楽しむことへ主眼を置きつつも、レース向けのエンデューロバイクやダウンヒルバイクほど下り性能に特化しきってはいません」。

なるほど。フルサスMTBの購入を検討するとき、一番おすすめなのがトレイルバイクとなるわけだが、どちらを選んだらいいのだろうか?

「今回、例として上の2台の自転車を紹介しましたが、実際に乗り比べてみて考えてみましょうか。私自身、普段は下り系トレイルバイクのスタンプジャンパー エボに乗っていますが、ノーマルなトレイルバイクであるスタンプジャンパーの方は乗ったことがないんですよ」。

ということで、板垣さんと筆者とで、2台を乗り比べてみることにした。

 

ノーマルなトレイルバイクを選ぶべき人とは?

本格的なMTBパークで2台の乗り比べを実施してみた。まずはスタンプジャンパーの方から。ちなみに筆者自身も板垣さんと同じく、下り系トレイルバイクのスタンプジャンパー エボ(以下エボ)に乗っている。

「やはり、エボに比べると上り性能が非常に高いと感じましたね。もはやクロスカントリーバイク並に上ると言って差し支えありません。ヒラヒラと上ってくれます」。

確かに、筆者もその上りの軽さに驚いた。『マウンテンバイクの上りテクニック』の回では、上りにも楽しさがあると教わったが、確かにこのMTBならそれが分かる気がする。舗装路の走りも軽快だった。これなら自走でトレイルまで行くのも楽そうだ。

「一方の下りですが、上りだけでなく下りも走りが軽い印象で、ヒラヒラとラインを変えやすくハンドリングが軽いという特性がありますね。29インチのMTBとは思えない軽やかな走りといいましょうか」。

「逆に、エボに比べると下りではややピーキーな側面もあるので、そこをうまくいなしながら走るのが楽しいとも言えます」。

板垣さんの感じたように、下りでスタンプジャンパーは旋回性が高く、機動力があるように感じられた。しかし、衝撃を吸収するという点で言えば、エボにもちろん軍配が上がるものの、それと比較してものすごい大差があるようには感じられず、スタンプジャンパーでも下り性能は十分に高いと思われた。

「そうですね、スタンプジャンパーでも十分下れると思います。これを下り系のバイクパークで走らせてみるのも十分可能で、それはそれで面白いと思いますね」。

まとめてみると?

「スタンプジャンパーのようなノーマルなトレイルバイクは、やはり自走で山まで走りに行く人に向いていると言えますね。また、家から自走で行けるトレイルがあって、“車に積んで行くほどでもないな。とはいえ、クロスカントリーバイクだと下れないような下りにも挑戦したいよな”という人です。上りも下りも、どちらも楽しみたい人向け。まさにトレイルライドですね。

一方でゴンドラやリフトを利用する下り系のパークでも十分遊べる性能があるので、たまにそうしたパークで遊ぶことも可能です。パイクパークも行くけど割合的にトレイルライドをすることが多い人に向く、とも言えますね」。

 

下り系トレイルバイクを選ぶべき人とは?

一方でエボの方の走りは?

「やはり、ノーマルなトレイルバイクのスタンプジャンパーに比較して、下り性能が高いです。安心感があって、懐の深さがあるような印象です。

例えばジャンプに挑戦したとき、ちょっと飛びすぎてしまってもサスペンションのストローク量が大きいので、それが助けてくれるような印象があります。また、コーナーを曲がっているときでも、自転車に任せられるような安心感がありますね」。

「そして上り性能ですが、さすがにスタンプジャンパーに比較すると重く感じます。ただ、比較する相手が悪すぎるというか、“エボでも十分に上ることはできる”と言えるでしょう。サスペンションのストローク量が大きい分難しいセクションでもペダルをこいでさえいれば上ってくれるので、下りに備えて体力を温存しながらじわじわと上っていくのが得意、と表現できますね」。

確かに、“下るために上る”という意味では、十分よく上ってくれる、とエボについては言うべきだろう。

さて、まとめると?

「下り系トレイルバイクは、グリーンシーズン中はゴンドラやリフトが利用できる下り系のMTBパーク、例えば白馬岩岳MTBパークやふじてんリゾートMTBパークなどで走り、ウィンターシーズンは自走で上って下れるトレイルやパークなどで“下って”遊ぶ、という人に向いているでしょう。

また、基本的には車に自転車を積んでフィールドまで移動し、そこで楽しむスタイル、とも言えるでしょう」。

グラビティライドのためのMTBなんだけど、ダウンヒルバイクのようにシーズンオフになったらフィールドがなくなってしまうこともなく、エンデューロバイクよりも重量面で軽いので自走で上りやすい。そんな、1年中グラビティライドを楽しめるスタイルのMTBということなのだ。

さて、あなたに合っているのはどちらだろうか? うーん、何だかどちらも持っておくといいような気がしてきた……。

 

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