ロードバイク集団走行の基本とルール

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ロードバイク集団走行の基本とルール

ロードバイクで仲間と集団走行(グループライド)するのはとても楽しいものだ。特に、脚力の合う仲間と走れば風の抵抗を分散することができ、みんなで速く・楽に走ることができる。ところが、どこまでもペースが上がっていったり、グループがばらけて交通上危ない状態になったりと、なかなか足並みがそろわないことの方が多かったりする。そこで、今回はロードバイクで公道を集団走行するときの基本とルールについて、プロのコーチに教えてもらおう。

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そもそも前提条件を間違うな

ロードバイク集団走行の基本とルール

自転車コーチの須田晋太郎さん(ウォークライド)

今回レクチャーしてもらうのは、人気の自転車コーチ、ウォークライドの須田晋太郎さんだ。自らレースを運営したり、多くの一般サイクリスト向けに走り方の指導も行っているだけに、こうしたノウハウには詳しい。

まず、公道で集団走行をするときのポイントとは何だろうか。

「最も大切なのは、そもそも前提条件を間違わないことです。

ロードバイクで仲間と集団走行するときは、2つのパターンがあります。1つは、ある程度メンバーの脚力がそろっていて、ローテーションを適切に行い目的地まで速く・楽に風の抵抗を分散しながら走るパターンです。

もう1つは、メンバーの脚力がバラバラで、とにかく目的地までバラバラにならないようにまとまって走らないといけないパターンです。

走る前に、メンバーとこのどちらで走るのかをよく意思確認しておかないと、なかなか足並みをそろえて走るのは難しいのです」と須田さん。

確かにそう言われてみればそうだ。特に初対面の人と走る場合は、まずもって集団走行がうまくいかないように思われる。

ロードバイク集団走行の基本とルール

はじめに、グループ内でどうやって集団走行するのかをよく打ち合わせておかないと、なかなか足並みはそろわない

基本スキル1 車間

前提条件は分かった。では、ある程度脚力がそろっていて、適切にローテーションをしながら集団走行する場合だとして、基本的なスキルはあるのだろうか。

「まず、車間(距離)です。これはどちらの前提条件にも当てはまります。

レースと違って、公道ではとにかくいつでも安全に止まれることが大切です。ですから、どんなときでも安全に止まれるだけの車間距離を取ることが重要です。

目安は、1〜1.5車身の距離を取ることです。自信がなければ、もう少し離してもいいでしょう。この程度でも、十分に風の抵抗を減らす効果(ドラフティング効果)があります。

ロードバイク集団走行の基本とルール

安全な車間距離の目安は1〜1.5車身だ。この写真程度の距離感を頭に入れておこう

ただし、あまりにも距離が離れすぎると、今度は集団が広がってまわりの交通を妨げる原因になりうるので、そこは注意です」。

基本スキル2 目線

他に基本スキルはあるのだろうか。

「次に目線です。これもどちらの前提条件にも当てはまります。

ポイントは、前走者ではなくその前にある景色全体を見ることです。よくやりがちなのは、前走者のタイヤ・お尻・背中に目線が行ってしまうことです。これだと、前方の状況を判断しづらくなり、とっさのできごとに対処ができません。

ですから、常に前走者のさらに前の全体の景色を見るようにしましょう。前走者の肩越しに前を見る、と言ってもいいかもしれません」。

ロードバイク集団走行の基本とルール

怖がって前走者の①タイヤ、②お尻、③背中を見るのはNG。大切なのは④前走者のさらに前方の景色全体を見ることだ

「なお、正しい目線の置き方ができるようにするお勧めの訓練法があります。走り出す前に、自転車にまたがった状態で隊列を組み、相手の体のさらに前方に目線を置くように意識付けるのです。簡単でしょう」。

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正しい目線の置き方を意識付ける練習法。ライド前に行うと良い

関連スキル 走行ライン

「さて、目線に関連するスキルとして、走行ラインがあります。

正しい走行ラインは、前走者の真後ろのラインを走ることです。ちょっと車道側にずれたり、あるいは内側(左側)にずれて走っている人がよくいますが、これは車や歩行者の通行の妨げになりかねないので、NGです。もちろん、車間距離を詰めて前走者の後輪に自分の前輪を重ねるようにして走るのもNGです。

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全員が前走者の真後ろのラインを走り、隊列がまっすぐになっているのが正しいラインだ

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車道側にずれているダメな例。車の通行の妨げになりかねない

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前走者の内側(自分から見て左側)に入っているのもNG。いざというとき逃げ場がなくなりかねない

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車間を詰めすぎ、車輪を前走者の後輪に重ねるようにするのもやはりNGだ

なぜこれが目線に関連するのかというと、正しい目線ができておらず、前方の状況を判断しにくいので、横にずれたりして前の状況を確認しようとするからなのです」。

思い当たる人が多いのではないだろうか。気をつけよう。

関連スキル ハンドサイン

「他の関連スキルとして、ハンドサイン(手信号)があります。前走者は止まる・減速する・路上に障害物があるといった情報を、グループの後方に的確に伝えてあげる必要があります。そのために、ハンドサインを出すのです。

例えば、止まる場合は手を後ろに出したりします(ハンドサインの出し方の詳しくについては、別の記事で紹介するので、お楽しみに!)。

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後続の人に状況を的確に伝えるために、ハンドサインを出すようにしよう

ただし、ここで大切なのは、後方に正しく安全に状況を伝えることです。つまり、ハンドサインを出すことが必ずしも正解ではないといことです。例えばとっさに止まる場合は、焦って手を離すをかえって危険なこともあるので、”ブレーキ!!!”と声で叫んで伝えることがよくあります」。

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とっさに止まるときなどは、無理にハンドサインを出すのではなく、大きな声を出して状況を伝えることもある

確かに、とっさに止まるときに無理にハンドサインを出そうとしてふらついている人をたまに見る。この点もしっかりと心掛けたい。

基本スキル3 ローテーション→これは次回の記事で!!

「3つ目の基本スキルはローテーションです。これについては、結構お教えする内容が多くなるので、記事を分けたいと思います」。

というわけで、ローテーション(先頭交代)の仕方については、次回の特集記事で紹介するので、こちらもお楽しみに。

脚力差があるグループの場合

さて、もう一つの前提条件である、グループ内の脚力がバラバラで、とりあえずまとまって走る場合はどんなことに気をつけたらいいのか。

「この場合はローテーションをせず、最も経験・体力のある人が先頭を固定して走り、最も体力のない人に合わせてペースを作ってあげることです。こうした場合は、無理にローテーションをすると、逆に体力のない人が疲れてしまい、むしろ効率良く走れません。

集団走行をするとき、”ローテーションしなきゃ”と思い込んでいる人がいますが、それは間違いです。全員が楽に・速く走れることが一番大切なわけですから、全員の脚力がそろわないときは、無理に先頭を代わろうとする必要はありません。

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無理に「先頭を代わらなきゃ」と思ってローテーションしようとすると、むしろ全員が疲れてしまうことがある

それから、このことはしっかりと走る前にグループで打ち合わせておかないといけません。”今日は脚力差があるから、実力のある●●さんが先頭固定で、一番体力の少ない△△さんにペースを合わせよう!”ということをきちんと取り決めておくことが大切です」。

耳が痛い、という人も多いことだろう。

いかがだっただろうか。既に知ってるよという人も、知らなかったという人も、このアドバイスをもとに、今一度仲間と集団走行するときの走り方について見直してみてほしい。

次回は、ローテーションについて掘り下げてみたい。お楽しみに! なお、その次の回にて、ハンドサインについて深掘りする。

それから、冒頭の動画を飛ばした人は、ぜひこちらもチェックしてみてほしい。

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