マウンテンバイクの楽でスムーズに走れるブレーキング【MTBはじめよう! Season 2-5】
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マウンテンバイク(MTB)のトレイルライド、エンデューロ、ダウンヒル向けの基本が学べるシリーズの“シーズン2”。今回は、あまり気にしていない人が多いけれども、非常に重要な一歩先の「ブレーキング」について。
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スピードコントロールのブレーキングが重要

板垣奏男(いたがき かなお)さん。東京サイクルデザイン専門学校を卒業後に本場カナダへ渡り、高度なライディングスキルからトレイルビルディングに至るまでを習得。現在はプロライダー/インストラクターとして活躍している。Instagram:kanao_i_into_the_ride YouTube:kanao itagaki
今回も、シリーズ通してのアドバイザーである板垣奏男さんに教えてもらう。シーズン1の初期の頃、基本中の基本として、安全に止まるためのブレーキング方法について特集した。だんだん乗り慣れてきて、脱初級者を目指す人が気になるのは、スピードコントロールのためのブレーキング方法についてだろう。特にそれは、「曲がるためのブレーキング」についてのはず。
「そうですね。止まるためのブレーキングは、もちろん安全に走るうえで最重要ですが、それは初歩。その一歩先として、特に曲がるとき、コーナリングのためのブレーキングを身につける必要があります」と板垣さん。
初級者が悩むのは、曲がる前に十分にブレーキングして減速すべきなのか、あるいは曲がっている最中にもブレーキングして減速すべきなのか、ではないだろうか。
「そうですね。そこが皆さんぶつかる壁だと思います。今回はそのあたりを詳しくお教えしましょう」。
まずはトレイル(コース)を読む
「重要なのは、まずトレイル(コース)を読むことです。以前の記事で特集しましたね。
初見だったり攻略中のトレイルがあれば、やみくもにスピードを上げて走ってみるのではなくて、ずっとブレーキをかけっぱなしでゆっくりとしたスピードで構わないので、まずはしっかりと状況を確認しましょう。
そのうえで、どのくらいのスピードまで落とせば曲がれるのか、そのためにはどのくらいまでブレーキをかけるべきなのか、といったことを考えましょう。例えばバームが作られているコーナーならば、バームはどのくらい整備されて立っているのかや、路面が濡れたり穴が空いている箇所がないかなどの情報も重要となります。
まずはこうやって読んで状況を判断し、どう走るべきかを考えることが先決です」。
うーん、なるほど。耳が痛い。
ポイント① 曲がる前に曲がれる速度まで減速する

「トレイルを読むことができたら、いよいよ“実践編”です。
まず、1つめのポイントは“曲がる前に曲がれる速度まで十分に減速する”ことです。
例えば、バームが作られたコーナーがあるとしましょう。その場合、バームに入る手前くらいのイメージで、前ブレーキ:後ろブレーキ=3:7の割合でブレーキをやや強めにかけ、減速します。このとき、ホイールをロックさせてズザーッとタイヤを引きずらないように注意しましょう。これはシーズン1で習ったことと同じ方法です。
コーナーの状況によって変わってはきますが、あまり曲がる直前まで前後でブレーキをかけ続けないこともポイントです。直前まで前後でかけ続けると、今度はコーナリング体勢にうまく移行できなくなってしまう可能性があります」。
ポイント② 曲がっている最中は後ろブレーキのみ使って微調整

「問題は曲がっている最中です。よく、コーナリング中はブレーキをかけないのが正解だ、と言われます。しかし、そうとは限らないと考えた方が良いです。
もちろん、ブレーキをかけないで曲がれた方がスリップしたり体勢を崩しにくいのは間違いありません。
ただ、コーナーに入る前までにしっかりと減速したとしても、どうしてもコーナリング中にスピードがどんどん上がっていってしまう場合が多いものです。さらに、オフロードなので路面状況という要素も加わってきます。
なので、ある程度コーナリング中も速度の微調整という意味でのブレーキングは必要になるのです。コーナリング中もブレーキはかけた方がいい、と覚えていただいていいと思います。実際、私はコーナリング中もブレーキをかけることがほとんどです。
コーナリング中のブレーキのかけ方にはポイントがあります。それは、後ろブレーキのみかける、ということです。曲がっている最中に前ブレーキをかけると、滑って転んでしまう可能性が高いからです。後ろブレーキであればそうした状況になりにくく、滑ってもリカバリーがききやすいです。
さらに、ガツンとかけるのではなくて、軽く“擦らしておく”ようなイメージでかけておき、必要に応じてその擦らし具合を強くしていき、ブレーキング力を調整します。
あるコーナーを攻略するとして、最初のうちは擦らし具合を強めにして安全マージンをとって曲がり、だんだんと慣れてきたら擦らし具合を減らしていくようにしていくと、どんどん速く曲がれるようになっていきます」。
ポイント③ コーナー出口を向いたら完全にブレーキを離す

「バイクがコーナーの出口方向を向き、これ以上ブレーキをかけなくてもコーナーを出られるな、と感じたら完全にブレーキを離しましょう。
逆にコーナーの出口までずっとブレーキをかけ続けるのはNGです。失速してリズムよくトレイル(コース)を走ることができなくなってしまいます。
コーナー出口を向いてからブレーキを離すことができれば、パンプトラックの原理と同じで加速することが可能になります。“コーナーからの脱出時点を速くする”のが正解です。
ポイント④ 連続コーナーの切り返し部分は基本的にブレーキを離す

連続コーナーの場合はどうしたらいいのだろうか。特に、コーナーとコーナーの間にある切り返し区間だ。
「ここでは基本的に離した方が良いです。次のコーナー(バーム)にスムーズに侵入するためにも、ある程度スピードに乗せていくべき区間のためです。
しかし、ここで速度が出過ぎてうまく次のコーナーに入れない場合は、そもそも前段階でオーバースピードになっている、ということが言えます。
よって、その場合はポイント①と②に立ち戻り、コーナー侵入前の減速と、コーナリング中のスピードコントロールをより大きくすべきです。その後、何度もやっていくうちにうまく走れるようになってきたら、徐々に切り返し区間の速度を上げていくようにするといいでしょう。
切り返し区間を通過し、次のコーナーに入ったら、また後輪だけ擦らすイメージでかけて、スピードコントロールします。
連続コーナーの場合はけっこうせわしないですよ。ブレーキのオン・オフ操作が重要となります」。
そうは言っても場合によっては……
「で・す・が。
コーナー、バームといっても、実にさまざまなものがあります。前に特集したように、バームが後半になると落ちていってしまうタイプもあったりします。
そうしたイレギュラー(というか、そんなバームばかりだったりする……)な状況では、よりコーナリングの曲がり始めの段階で後ろブレーキを強めに擦らしておく必要が出てきます。あるいは、出口にバイクが向いても後ろブレーキをかけ続けないと対応しきれないこともあります。
それも頭に入れておきましょう。しっかりとトレイル、コースを読み、その状況に即したブレーキング法を自分で判断して実践していくことが大切です」。
よくやりがちな悪いブレーキングの仕方

「一番避けたいのは、しっかりと減速せずにコーナーに侵入し、コーナリングの途中から“あ! 曲がりきれない!”と思って強くブレーキを引いてしまうことです。
“コーナリング中はブレーキを離さなければいけない”という考えにとらわれていたり、特に考えなく何となくブレーキングしている人がやりがちです。
これだと、コーナーの脱出が遅くなってしまい、スムーズにトレイル、コースを走れません。最悪、ブレーキのかけすぎでスリップしてしまったり、コーナー途中で失速しすぎて後半のバームに乗れず斜めにずり落ちてしまったり、とったことが起きがちです」。
うーん、これも耳がいたい。
ぜひ、今回教えてもらったことを実践してみてほしい。
撮影協力:
トレイルアドベンチャー・よこはま











