東京五輪でメダル獲得も現実的! 2019-20シーズンのトラック競技、知っておきたい現状と展望

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トラック2019年振り返り
オーストラリア・クイーンズランド州ブリスベンにて12月15日まで行われた第5戦をもって、2019年内のトラックワールドカップの戦いが終了した。
年明け1月24日よりまた、2019-2020のトラックワールドカップ最終戦、そして東京オリンピック前最後の戦いである世界選手権へと続いていく。
他の自転車競技と違い、東京オリンピックにおいて開催国枠が存在しないトラック競技では、2018-19シーズンから今行われている2019-20シーズンまでの結果が全てを左右する。
本記事では、来たる世界選手権、そして東京オリンピックに向けて、ワールドカップ5戦を終えての現状と展望、そして選手たちの声をお伝えしていく。これだけは言わせてほしい。東京オリンピックでのトラック競技、日本は間違いなくメダルを狙える位置にいる。
 

新たなステージを見せた日本短距離勢

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第5戦ブリスベンのチームスプリントを金メダルで終えて帰国した深谷、新田、長迫

 
トラック短距離の種目には、1チーム3人でタイムを競うチームスプリント 、最大7人で戦う個人戦のケイリン、1対1のスプリントの3種目が存在する。短距離種目の日本ナショナルチームを構成するのは競輪選手たちだ。3年前からチームを率いるブノワ・ベトゥヘッドコーチとジェイソン・ニブレットコーチとともに年々強さに磨きをかけている。
 
昨シーズン、ケイリンという種目でワールドカップや世界選手権でメダルを獲得。昨シーズンを終えた段階で、ケイリンでのUCI世界ランキングで日本は堂々の第1位に輝き、さらに個人ランキングでも新田祐大が1位の座を獲得した。競輪選手ゆえにケイリンでの強さは目立ち、日本国内での選手層も厚い。ニブレットコーチもこの状況は「世界でも珍しいケース」と話す。
 
「私たちが3年前に日本に来てから、選手たちは毎年新しい進化を見せてくれました。ナショナルチームのメンバー一人一人にある程度の成績が付いてきて、その分選手たちの自信にもつながってきているし、さらにチーム内での競争も激しくなっています。チームの全ての選手が成績を持っていて、競争力があり、同じ環境で毎日戦うことは世界でも珍しいことです。これによって、全てのトレーニングセッションにおいて質が上がってきています。私とブノワはその競争力を生かして、さらにトレーニングの質を上げるために引っ張っていこうと考えています。今シーズンには、またさらに新しいレベル、新しい成績を見せてくれると思います。でも東京五輪に向けて最後の1年ということなので、逆にここで成果をしっかりと見せていかないといけないと思います
 
 
今シーズンが始まる前の8月、ニブレットコーチが話していたとおり、ワールドカップ5戦までで短距離チームが出してきた結果は新たなるステージへの突入を感じさせるものだった。
 
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第2戦グラスゴーに引き続き、スプリントで表彰台に登った深谷

 

向かうは”メダル獲得”を超え、”金メダル”へ

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香港でのチームスプリント予選。ブノワコーチがタイム掲示板を見つめる

 
好調だったケイリンの一方、昨シーズンはチームスプリントとスプリントでの結果は奮わなかった。スプリント種目は、明らかに日本の短距離チームにとって課題となっていた。
チームスプリントに関しては、昨シーズンを終えた段階でオリンピックの出場を諦めるという話まで出ていたほどだった。今シーズンからは、アジア選手権での優勝など、チームスプリントを走り続けるための最低条件をとりあえずクリアしつつ、チームスプリントの2走を任される新田が言うに「今のワールドカップに来て”しまった”状況だった」。今シーズン日本の初戦となったワールドカップ第3戦香港では6位という結果。しかし、そこで見つかった”課題”は全てをプラスに転じさせるための糸口となった。
3走の深谷知広も香港での初戦を終え、「力を上げるのは難しいんですけど、力を上げずに連携だけでも42秒台っていうのが見えてきているので、しっかりその辺りを詰めていければメダルのチャンスもあると思います。すごく楽しみにしています」と、視界が開けたように話した。
 
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第3戦香港、第4戦ケンブリッジでの1走は雨谷一樹。2走に新田、3走に深谷と続く

 
続いた次戦、第4戦ケンブリッジでは日本記録、そしてアジア記録を更新して優勝。続いた第5戦ブリスベンでも表彰台の一番高いところに登ってみせた。第5戦では BMXレースを走る長迫吉拓が第1走として再起用された。新田は今までになかった感覚をつかんでいた。
「香港でのレースでは失敗が連続でありまして、その中で今までになかった進化する部分っていうのを見つけられたような気がするんですよね。それを次のケンブリッジで試すことができて、それが結果としても繋がりましたし、チームとしても自信を持てるタイムを出せた。それが引き続き行われたブリスベンでの戦いに挑む際に、金メダルというものを目指して自信をもって挑めたきっかけになったのかなと思います」
 
香港で話を聞いた時点で”メダル”獲得という言葉こそ出てきていたが、連戦を乗り越えてきた彼らの意識は、”金メダル”に変わっていた。一度は諦めかけたところからこの3戦で金メダルを狙えるポジションへと躍進したのだ。
 
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新田も香港では世界王者ラブレイセンとスプリントで対戦。敗れたものの「今後の飛躍する武器やきっかけになるんじゃないかと期待」と話した

 
「おそらく深谷もそうですし、僕もそうですし、ブリスベンからの参加になった吉拓も、今までメダルっていう言葉を出したことがなかったんですけど、今回(第4戦ケンブリッジで)金メダルを取って入ることができたのがまぐれではない、僕たちが狙っていた中での金メダル、そしてアジア記録っていうのが出せていたので、自信を持って金メダルという言葉を出しながら目指すことができたのかなと思います。
今回のタイムも、今シーズンで見ると世界で3番目に速いので、世界選でももちろんメダル狙える位置にいると思いますし、今後のオリンピックっていう部分でもかなり有望視してもらってもいいんじゃないかなっていう中で僕らは戦えている。今までマイナー競技として位置付けられていた中のさらにマイナー競技であるトラック競技、この競技に対して、おそらく僕ら自身も自信を持って戦えていると思いますし、応援してくださる皆さんにも期待を持ってオリンピックの会場に応援しにきてもらっていいんじゃないかと思います」
新田はそう話した。
 

仲間の努力をもっとも近くで見続けた深谷の成果

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ヨーロッパチャンピオンを相手に果敢な走りを見せた深谷

 
チームスプリントの3走として、とにかく力強い走りを見せた深谷は、ワールドカップで出場したスプリントでも全てでメダルを獲得した。昨シーズンからは考えられないような飛躍だった。「我慢の結果」と話す深谷が信じたのは、一緒に戦い続けた仲間の姿だった。
 
「自分がナショナルチームに合流したのが8~9か月遅い段階だったので、みんなより遅れている部分っていうのをずっと感じながら昨シーズンは経験を積むという意味でやってきました。みんな苦しいときを経て、そのあと活躍してきている。その姿を一番近くで見せられてきた1年だったと思うので、それを見てきたからこそ我慢ができました」
 
深谷のスプリント初戦は第2戦グラスゴーからだった。そこで初めて3位表彰台に乗った。そして、次戦香港でも3位に入り、まぐれでないことを示した。第4戦ケンブリッジではさらに一つ順位を上げた。深谷はスプリントでの走り方、そして勝ち方を身につけたように思える。
 
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3位決定戦で勝利し、すぐに新田が労いの言葉をかけにいった

 
「自分自身はアジア選手権の準決勝で敗退して、そのあと銅メダルの決定戦の中で一気に変化のある手応えっていうものを感じて、そこから勝ち方というのをしっかりと認識できた。やっぱりタイムが重要になります。世界でも4番目のタイムを出して主導権を得ることができたので、そこから勝てるっていう手応えをつかんでレースに挑むことができました」
 

短距離種目では、オランダチーム、ひいては現世界王者のハリー・ラブレイセン(オランダ)の強さは見ていても信じられないほど圧倒的であり、抜きん出ているように思える。世界選手権で、そしてその先の東京オリンピックで一番いい色のメダルを目指すためには、深谷は彼をも超えていかなければならない。

「香港で実際に直接戦って、彼の強さっていうのを身を以て感じることができました。それを世界選、オリンピックに向けてどういう風に近づいて、追い越していったらいいかっていうステップはしっかり見えたと思うので、すごくいい経験になったと思います。一番いい色を目指すために越えていかなければいけない壁ではあると思うので、それをしっかり見据えて頑張っていきたいと思います
 
どの種目にもメダル、そして頂点を目指せる可能性がある短距離チーム。まずは今シーズンの総決算である世界選での走りに注目してほしい
 
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香港での女子ケイリンは小林優香が3位に入ったが悔しい表情を見せていた

 

チームパシュートでの五輪出場可能性はほぼゼロ

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第3戦香港で、4台のブリヂストン新型バイクがトラックを駆ける

 

昨シーズン、そして今シーズンの第5戦までの結果を経て、東京オリンピックの舞台で4台のブリヂストンの新型トラックバイクが走ることは叶わぬ夢となってしまった。

チームパシュートで東京オリンピックを走れるチームは8チームのみ。現在、UCIオリンピックランキングの10位にいる日本は、8位ドイツまでの差が1920ポイント。ワールドカップ最終第6戦を優勝して1000ポイント、世界選手権で優勝して1500ポイントなんて夢を見られるほど浮かれてはいない。オリンピックを眼前にした世界との差は顕著だ。それは受け止めるべき現実であり、分析すべき貴重な失敗とも言える。

 

”東京”を走る夢はおよそ絶たれてしまった。だがしかし、中距離ナショナルチームはポジティブに動き始めている。今シーズンから中距離ナショナルチームのコーチに就任したクレイグ・グリフィンはこう語る。

「去年の結果があまり良くなかったので、オリンピックに男子のチームパシュートを連れていくのは難しいというのが実際のところです。今フォーカスしているのは、ワールドカップでどれだけ成長できるか。もう一回改めてフレッシュな気持ちで再フォーカスして、東京の次のパリを目指していくというところですね」
 
ワールドカップは世界での戦いを”練習”できる絶好の場だ。実際、日本は第4戦ケンブリッジでの1回戦でロシアに敗れたものの、3分56秒287という日本記録を出した。チームパシュートの第4走として走り続ける近谷涼は先を見つめる
「ブリヂストンの新型フレームも開発されてきて、今までは4分を切れなかったときもありましたが、今シーズンはコンスタントに4分切れたり、(3分)59、57、56秒と出て、着実に上がってきているので、(世界選手権の)ベルリンまでにもう少しフィジカルを上げて、もう少し今のフレームに慣れて、細かいところを調整していけば今目標としている55秒を切るっていうところはいけると思います。世界(オリンピック)では戦えないですが、現実的に考えて50秒前半とか急激には厳しいものがあるので、56秒が出たから次55、54秒と、少しずつチームみんなで上げていけたらいいなと思います」
 
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タイムは徐々に上がっている。世界選での日本記録更新も期待したいところだ

 
同様に1走の沢田桂太郎もポジティブに受け止める。
「去年は予選も突破できないっていうのがほとんどだったんですけど、今回は3戦目(第5戦ブリスベン)はダメでしたが、前の2戦は予選を通過して1回戦も走ることができたので、そこはプラスに捉えたいなという風に感じてます」
 
第5戦のブリスベンでは、日本は予選敗退。3分55秒を切れなければ予選通過も怪しいという段階に上がっており、予選1位、2位で通過したオーストラリアとニュージーランドに至っては1回戦で世界記録に迫る3分48秒台のタイムをも叩き出した。チームパシュートの優勝争いという目線で見るならば、いかに50秒台を切れるかというオリンピック前年らしいハイレベルな戦いに入ってきている。
 
オーストラリアやニュージーランドが48秒台を出した走りを近谷も実際に現場で見ていた。
「50秒切ってるチームは、ステージ的には何ステージも上なので、あの走りを僕たちが今年、来年……という次元ではないっていうのは思いましたし、タイムが急激に上がらないのは現実なので。でも僕たちがまだ4分とか4分数秒とかを出していたらさすがに希望もなく、今までやってきたこともどうなのかなと思ったりもしますが、実際タイムは上がってきているので、希望は見えてきたかなと思います。可能性っていうところは全然あるのかなって。(日本の)短距離も連続で金メダルをとって、すごい刺激を受けました。ちょっと前は短距離も苦しんでいるときがあって、そこから伸びてきているので、僕たちも何か糸口というか突破口みたいなものがあれば、僕たち4人もタイムは上げていけると思います」
 
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ブリスベンでのチームパシュートを走って帰国した沢田と近谷

 

個人競技が実を結ぶ中距離。梶原は勝つ準備を整える

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香港でのオムニアム。エリミネーションを終え、首位に立った梶原は先頭でポイントレースの開始を待つ

 
トラック中距離の競技には、4人でタイムを競うチームパシュート、2人で交代しながらポイントを獲得していくマディソン、そして4種目を同日一人で全てこなすオムニアムの3競技がある。前述したように男子チームパシュートでの東京オリンピックの出場は難しくなってしまった。女子も同様の結果だ。マディソンに関しても、男子は出場枠争いという面ではポイントが足らないのが現状。オムニアムに出場する選手が走り方を身につけるべく練習用途として走っているというような様相だ。女子マディソンは第5戦を終えてオリンピックランキング12位。チームパシュートの出場国を除く上位8か国が枠を獲得できるため、現状だと日本は7番手の位置につけており、まだ出場できる可能性を残している。
 
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女子マディソンもまだ五輪出場の可能性が残されている

 
そもそもオリンピックまで最後のシーズンだというのに、なぜクレイグが日本ナショナルチームのコーチを引き受けたのか。それには2つの目的があった。
一つ目はもうすでに強いオムニアムというものを最大限まで引き上げてオリンピックに備えるということです。二つ目は、もっと長期的に見てチームの再構築をしていくことです。今いる選手たちの弱みと強み、トレーニングの長所と短所を全て洗い出して、3~4年のプランを持って次にどうやったら強くなっていけるか、トップとのギャップや弱点を埋められるかを考えること。それが自分の仕事だと思っています」
 
中距離の中でもオムニアムという競技では男女ともにオリンピック出場、そしてメダル獲得に向けての機運を高める。第5戦までを終え、女子はUCIオリンピックランキングで3位、男子は6位に上がった。
 
女子は今シーズン序盤から梶原悠未の強さが輝きを放った。ワールドカップ初戦となった第2戦グラスゴーでは4位と表彰台を逃した。しかし、梶原はしっかりと修正点を見つけ、次戦の勝機へと結びつけた。次戦の香港で優勝、そして見ていても安定感のある走りで第4戦ケンブリッジでも金メダルを攫った。昨シーズンで金メダルを持ち帰ることができず悔しい思いを引きずることになった梶原だったが、香港での戦いでは「誰よりも勝つ準備が整っていた」と自信を持つ。
 
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梶原の走りには位置取り一つとっても安定感が感じられる

 
「最初の2種目(スクラッチレース7位とテンポレース3位)はいい発進と言える順位ではなかったんですけど、やはりここに来るまでに積み重ねてきた準備、努力、練習量が自分自身の自信をすごく裏付けてくれたかなと思います。なので、今回は本当に勝てる自信が誰よりもあって、そしてエリミネーションレース(1位)から無事に巻き返すことができて本当にホッとしています。最後のポイントレースで最後の最後の着順で毎回表彰台をあと一歩のところで逃してきたので、その失敗を二度と繰り返さないようにより一層集中して最後まで高い集中力を保って走ることができたと思います」
香港で久しぶりの金メダルを首にかけた梶原はこう話していた。
 
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ポイントレースを終え、優勝を決めた梶原は観客席から日本国旗を受け取り、会場内にはためかせた

 
梶原の夢はオリンピックでメダルを獲得すること。その夢に向け、着実に前に進んでいる。
「オリンピックに向けて、一歩一歩、世界のトップレベルの選手たちに近づいている手応えをつかむことができているので、まだまだレベルアップしていって、オリンピックの舞台では金メダル争いをして、そして金メダルを獲得できるようにより一層頑張っていきたいと思います」
 
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一番輝くメダルを2戦連続で手にした梶原

 
クレイグコーチは、梶原が東京オリンピックの表彰台で一番高いところに到達するために必要なことについてこう考える。
「彼女は戦略と速さ、二つの点でワールドクラスの選手です。彼女に必要なのは、東京オリンピックまで残りの時間でさらに有酸素能力を向上させて、戦術をより改善させることです。彼女が自信を持っている戦術面を私自身もっと理解して、フィードバックを与えることができれば彼女は完全な状態でオリンピックに臨めると思います」
 

均等なチャンスをものにした橋本

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レース開始を待つ選手たち

 
男子オムニアムに関しては今シーズン、今村駿介、窪木一茂、橋本英也の3人に均等にチャンスが配分された。クレイグコーチは采配に関して、「私がまだまだ選手のことを知っていかなければいけないというところにいるので、国際大会で彼らがどういう走りができるのかっていうのを見たかったというのがあります。オムニアムは戦略がすごく大切になってくるので、オムニアムに適した選手になるのには時間もかかりますし、体を作るのにも時間がかかるので、いろんな可能性を考えて広く間口を持っておこうかなと思ってやっています」と話していた。
 
第2戦グラスゴーでは今村が16位という結果、第3戦香港では窪木が11位、そして第4戦ケンブリッジでは橋本が4位という結果で国内選手選考において一つ頭抜きん出た。トップ選手たちと「互角に戦えている」という感触を得た橋本はそのまま第5戦ブリスベンに出場し、キャメロン・メイヤーやロジャー・クルーゲなどロードのワールドチーム所属選手たちが出場する中、3種目を終えて首位に立ち、最終種目ポイントレースで逆転を許したが3位表彰台に乗った。これまでの結果により、現状で世界選手権の出場、そしてその先に東京オリンピック出場へ一番近いのは橋本と言えるだろう。
 
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香港を走った窪木は、前日のチームパシュートでの疲れが抜け切らず、本来の力を発揮することができなかった

 
世界選手権は2020年2月26日~3月1日の日程でドイツ・ベルリンにて行われる。おそらくここで、各国が東京オリンピックに向けた最終調整をしてくる。まだ出場選手等は決まっていないが、ロードレースで活躍する選手たちも顔を揃えることになるだろう。現世界チャンピオンのスチュワート・キャンベルもワールドカップで2戦中2勝と、圧倒的な強さとレース運びの巧さ、そして好調ぶりを見せつけている。2016年リオオリンピックのオムニアム勝者であるエリア・ヴィヴィアーニも世界選に出場するかは定かではないが、東京で再度メダルを獲得すべく準備を行っているはずだ。
 
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キャンベルはポイントをリードしていたとしても果敢に飛び出し、確実に上乗せすべく動いてくる。言い換えればそういう選手でなければ勝つことは難しいだろう

 
ロードレースを知る人にとってもよく見る名前がスタートリストに並ぶと、”優勝”なんて言葉を簡単には口にできない。けれども、日本チームだって準備をしてきたのだ。おそらく今の現役選手が走る最初で最後の自国開催のオリンピックとなるのだからなおさらだろう。実績的に見たら挑戦という位置付けにはあるが、対等に勝負ができる舞台にはいるはずだ。自信を纏って、自国の大声援を力に変えて、世界トップと戦える瞬間を楽しんで欲しい。