安井行生のロードバイク徹底評論 第2回 GURU Photon SL vol.1
目次
670gの超軽量フレームを作る技術を持ちながら、フルオーダーが基本という姿勢を貫くカナディアンブランド、グル。いかにも北米らしいスッキリとした雰囲気をまとうこのブランドは、何を考え、どこを目指して自転車を作るのか。カナダ自社工場の製造工程とフォトンSLのインプレッションを通じて、先鋭と人間臭さが複雑に混じりあうグルの製品哲学に迫る。vol.1。
本国生産にこだわる北米ブランド
スポーツバイクの日本国内販売数はピーク時に比べてやや落ちているという昨今だが、それでも定期的に日本未入荷ブランドが上陸する。2013年から日本での取り扱いが始まったのは、カナダのスポーツバイクブランド、グルである。実は数年前に一度日本に入ってきているのだが、当時は数えるほどしか輸入されておらず、本格的な導入は今回が初となる。
グルは、工学系の学生であったイタリア系カナダ人のトニー・ジャンナスコーリが「完璧なバイクを作る」という理念のもとに1993年に創業した新しいブランド。ブランド名は、サンスクリット語で「指導者」「尊敬すべき人物」を意味する“GURU”とされた。初期のフレーム素材は主にアルミで、2000年のオリンピックではトライアスロンで金メダルを獲得するなど、新興ブランドとは思えない活躍をみせている。
2002年にはチタンフレームを、2003年にはカーボンフレームの製造に着手。現在もチタンやクロモリをラインナップしているものの、メイン商材はカーボンフレームである。本社はケベック州のモントリオールにあり、エントリーモデル以外は本社にある自社工場で製造している。グルは、近年珍しい「メイド・イン・本国」を貫くブランドなのである。
2002年にはチタンフレームを、2003年にはカーボンフレームの製造に着手。現在もチタンやクロモリをラインナップしているものの、メイン商材はカーボンフレームである。本社はケベック州のモントリオールにあり、エントリーモデル以外は本社にある自社工場で製造している。グルは、近年珍しい「メイド・イン・本国」を貫くブランドなのである。
基本はジオメトリーオーダー
特徴は、ほぼすべてのフレームでジオメトリーオーダーが可能なこと。というより、基本はフルオーダーというスタンスだ。「カーボンフレームでジオメトリーオーダーができる」という時点で、他のブランドとは評点を変える必要がある。ジオメトリーオーダーができるカーボンフレームは、この世に数えるほどしか存在しないのだから。なお、「ファーストフォワードジオメトリー」という既製のジオメトリーでの購入も可能で、その場合は多少安くなる。
グルの代表的なロードフレームがフォトンシリーズである。軽量で山岳向けのフォトンHL、剛性重視でロードレースに適するフォトンR、バランス型のフォトンSLという3モデルがラインナップされる。目的や好みに応じて選び分けてください、ということだ。3台とも2013年にモデルチェンジしたばかりの最新世代だ。
軽さを重視していることも特徴で、フォトンHLはフレーム単体重量で670g(サイズ54、ペイント込み)。世界最軽量クラスとして胸を張っていい重量だ(スーパーシックスエボが695g、サーヴェロ・R5caが675g、ヨネックス・カーボネックスが650g)。
ロードレースでの使用を前提に作られたというフォトンRは、フォトンHLに比べてBBとヘッド周りの剛性を30%アップさせながら、フレーム重量は800gに抑えてある。フォトンSLは、フォトンHL比で剛性を15%向上させつつフレーム重量は750gと、これも非常に軽い。
軽さを重視していることも特徴で、フォトンHLはフレーム単体重量で670g(サイズ54、ペイント込み)。世界最軽量クラスとして胸を張っていい重量だ(スーパーシックスエボが695g、サーヴェロ・R5caが675g、ヨネックス・カーボネックスが650g)。
ロードレースでの使用を前提に作られたというフォトンRは、フォトンHLに比べてBBとヘッド周りの剛性を30%アップさせながら、フレーム重量は800gに抑えてある。フォトンSLは、フォトンHL比で剛性を15%向上させつつフレーム重量は750gと、これも非常に軽い。
旧型のフォトン(2012モデル、フレーム重量約750g)とスペックを比較すると、フォトンHLは旧型と同じ剛性レベルを維持しながら大幅に軽く、フォトンRが旧型比で剛性30%アップ、フォトンSLは旧型と同重量ながら剛性15%アップ。同じ剛性ならより軽く、同じ重量ならより硬く、というシンプルな進化の方向が見て取れる。
vol.2へ続く
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