台北サイクル2024の展望とメーカーの実力とは テーマはeバイクとサステナビリティ

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台北サイクル2024のプレゼンテーション

2024年3月6日(水)〜9日(土)の日程で、台湾台北市で開催が予定されている、台北サイクル2024。そのコンセプトを発表するプレゼンテーションが、2023年9月27日に台中市で行われた。

ヤング・リウ氏、サイモン・ワン氏、ロバート・ウー氏

発表会に登壇したのは、写真左からサステナビリティ自転車連盟ヤング・リウ会長。台湾貿易センター、サイモン・ワンCEO。台湾自転車協会ロバート・ウー会長

毎年3月に開催される台北サイクルは、多くの読者にとっては余りなじみのないものだろうが、業界関係者にとっては重要なビジネスショーである。台湾は世界のスポーツバイク産業にとって大きな位置を占めている。ジャイアントやメリダといった完成車メーカーのお膝元であることに加えて、スポーツバイクを構成するパーツの多くを生産する企業が集まるからだ。

今回の発表会が行われた台中市は、台湾中部に位置する都市で、前述の自転車企業の多くが製造拠点を置く都市であり、発表会の場に選ばれたのも納得なのである。

このプレゼンテーションの前には、台中に数ある自転車関連企業を視察するメディアツアーも開催された。行き先として選ばれたのは、2024年のショーのテーマである「eバイク」と、「サステナビリティ」に関連した企業たち。ここでは、eバイク関連企業として訪問したHYENA(ハイエナ)社をレポートする。

「ハイエナ」eバイクユニットを作る新興メーカー

ハイエナは2013年に創業した、eバイクのドライブユニットを製造する専門のメーカーだ。まだ余り聞きなじみのないメーカーかもしれないが、既に日本国内にも、ハイエナのユニットを搭載したバイクが流通している。トレックのeロードバイク「ドマーネ+AL」や、キャノンデールの小径eバイク「コンパクトネオ」がそうだ。

特徴的な社名の由来は、動物のハイエナのように、小さいけれど時にライオンのような自分よりも強い相手に、チームワークを持って立ち向かう姿を、会社の姿勢に重ねたからだそう。

ハイエナの製品を搭載したeバイクたち

ハイエナの製品を搭載したeバイクたち。手前はキャノンデール・コンパクトネオ

チャーリー・チャン氏

ハイエナ創業者の一人、チャーリー・チャン氏

社屋は台中市を見下ろす郊外の丘の上、工業団地の一角にある。そこで新製品の開発、制御システムのプログラミングからドライブユニットの組み立てまでを行っている。また、さまざまな製品テストも社内のラボで実施。振動試験やユニットが設計どおりの航続距離をアシストして走り切ることができるかの走行テスト。コントロールスイッチの耐久テストに、梱包する箱の落下試験までやっていた。

細かいパーツ一つ一つはサプライヤーから購入しているが、ユニットシステムの設計から組み立てまでを、自社で一貫して管理することで品質を担保する。そして新製品の開発スピードにもつながるという。

ハイエナ本社社屋

ハイエナ本社社屋

新製品のセンタードライブユニット

新製品のセンタードライブユニット

リヤハブユニットの組み立て工程

リヤハブユニットの組み立て工程。1人1作業を分担している。各作業ごとに同一システム上にログが残るので、不具合が発生しても各個体ごとに原因を究明できる体制を整えている

梱包資材

工程で使用する梱包資材には再生材を使う。細かいことだがサステナビリティへの取り組みを積み重ねている

システムプログラムの開発部門

システムプログラムの開発部門。製造工程もそうだが、オフィスがとてもキレイ

スイッチの耐久試験機

スイッチの耐久試験機

耐荷重試験機

耐荷重試験機も開発オフィスのすぐ隣の部屋にある。コンパクトな体制が開発スピードにつながっている

今でこそ、トレックやキャノンデールというメジャーメーカーに採用されるまでになったが、当初はデモキットを持って自転車メーカーを回り、どんな機能が欲しいのか聞き取りを行っては改良することの繰り返しだったという。ボッシュやヤマハ、シマノといった、メーカーが覇権を争うeバイク市場に挑むハイエナ。軽量コンパクト、それでいて、価格設定を抑えられるミッドレンジの製品市場を狙っていく。