ツール・ド・フランス2023 最終山岳区間の第20ステージはポガチャルが優勝
第110回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月22日にベルフォールからヴォージュ山脈のスキーリゾート地であるル・マルクシュタイン・フェルランまでの133.5kmで、今年最後の山岳区間となる第20ステージを競い、新人賞のマイヨ・ブランを着たスロベニアチャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)がスプリントを制し、今大会区間2勝目を上げた。
区間2位はオーストリアのフェリックス・ガル(AG2R・シトロエン チーム)、3位はマイヨ・ジョーヌを着たデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)だった。
今年のツールも残り1ステージ。23日はヴィンゲゴーが2年連続でマイヨ・ジョーヌを着て、フランスの首都パリへと凱旋する。
チッコーネが山岳賞
第20ステージは151選手が出走。スタートして最初にアタックしたのはヴィクトール・カンペナールツとヤスペル・デブイスト(ロット・デスティニー)の2人だった。カンペナールツは単独で最初のバロン・ダルザス峠(カテゴリー2)を逃げ続けたが、山頂まで残り4.4kmで捕まってしまった。
マイヨ・アポワを着たジューリオ・チッコーネ(リドル・トレック)は、山岳賞で総合2位のガルとたった6ポイント差でこのステージをスタートしていた。彼は逃げに加わり、カテゴリー2の峠3カ所とカテゴリー3の峠1カ所を先頭で通過し、山岳賞の受賞を確実なものにした。
地元のピノがアタック
この日、もう一人の主役は地元フランスのティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)だった。彼は56.5kmのクロワ・デ・モワナ峠の下りでチームメート2人と一緒に集団から逃げ出し、先頭集団に合流した。彼は終盤に越えたカテゴリー1のプティ・パロン峠でアタックし、大歓声を浴びながら山頂を単独で通過した。
ピノーは最後のプラッツァーヴァーゼル峠の山頂まで残り4.5kmで、トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアズ)とワレン・バルギル(チームアルケア・サムシック)に追いつかれ、区間優勝のチャンスは失ったが、この日の敢闘賞を受賞した。
マイヨ・ジョーヌ集団では、プラッツァーヴァーゼル峠でマイヨ・ブランのポガチャルがアタックし、マイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーとガルが付いていった。彼らはすぐに先頭の3人に追いつき、山頂まで4kmで先頭は6人になった。しかし、ガルの加速に付いていけたのはマイヨ・ジョーヌとマイヨ・ブランだけだった。
後方では、まずサイモン・イェーツ(チームジェイコ・アルウラー)がアタックし、双子の兄弟であるアダム・イェーツ(UAEチーム・エミレーツ)が後から合流し、2人で先頭グループを追った。ゴールまで残り8kmの山頂をガルが先頭で通過した時、イェーツ兄弟のタイム差は12秒だった。
イェーツ兄弟は残り5kmで3人に追いつき、先頭は5人になった。アダム・イェーツは先頭を引き続け、最後はその働きに応えるかのように、ポガチャルがマイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーをスプリントで下した。
前日まで総合10位だった地元フランスのダヴィド・ゴデュ(グルパマ・FDJ)は、プティ・バロン峠の下りカーブで不注意から転倒し、メイン集団から遅れてしまった。彼はこのステージで5分以上遅れ、総合トップ10の座を失うのではないかと思われた。
ところが序盤のバロン・ダルザス峠の下り坂で、カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアズ)と一緒に落車したセップ・クース(ユンボ・ヴィスマ)が20分以上遅れてゴールし、総合9位から陥落してしまったため、ゴデュは逆に順位を1つ上げ、総合9位でパリへと凱旋する事になった。
■区間通算11勝目を上げたポガチャルのコメント
「今日はやっとまた自分自身に戻ったと感じた。スタートからゴールまで本当に調子が良かった。何日も苦しんだ後、もう一度調子が良いと感じ、区間優勝できて最高だった。もう1週間続けられるよ(笑)でも、家に帰ろう。
アダム・イェーツが戻ってくるのを待っていた。彼を知っていて、彼がものすごくうまくリードできると分かっていたからだ。彼のお陰で最後はあまり神経質にならず、勝つのがちょっと簡単になったよ。チームが再びこんな素晴らしい仕事をしてくれてとてもハッピーだ」
■第20ステージ結果
[7月22日/ベルフォール~ル・マルクシュタイン・フェルラン/133.5 km]
1. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) 03h 27′ 18”
2. F. GALL (AG2R CITROEN TEAM / AUT)
3. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN)
4. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR)
5. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 00′ 07”
6. W. BARGUIL (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA) + 00′ 33”
7. T. PINOT (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 00′ 33”
8. P. BILBAO LOPEZ (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) + 00′ 33”
9. T. JOHANNESSEN (UNO-X PRO CYCLING TEAM / NOR) + 00′ 50”
10. R. MAJKA (UAE TEAM EMIRATES / POL) + 00′ 50”
11. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) + 00′ 50”
12. C. RODRIGUEZ CANO (INEOS GRENADIERS / ESP) + 00′ 52’’
24. D. GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 05′ 07”
83. S. KUSS (JUMBO-VISMA / USA) + 20′ 39”
■第20ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) 79h 16′ 38”
2. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 07′ 29”
3. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 10′ 56”
4. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 12′ 23”
5. C. RODRIGUEZ CANO (INEOS GRENADIERS / ESP) + 13′ 17”
6. P. BILBAO LOPEZ (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) + 13′ 27”
7. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) + 14′ 44”
8. F. GALL (AG2R CITROEN TEAM / AUT) + 16′ 09”
9. D. GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 23′ 08”
10. G. MARTIN (COFIDIS / FRA) + 26′ 30”
[各賞]
■ポイント賞:J. PHILIPSEN (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL)
■山岳賞 : G. CICCONE (LIDL – TREK / ITA)
■新人賞 :T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO)
■チーム成績:JUMBO-VISMA (NED)
■敢闘賞 : T. PINOT (GROUPAMA – FDJ / FRA)
パリで凱旋
最終日の7月23日は、サン・カンタン・アン・イヴリヌから首都パリのシャンゼリゼ大通りまでの115.5kmで第21ステージが行われる。