ツール・ド・フランス2023 アルプス頂上ゴールの第15ステージはプールスが逃げ切り区間初優勝

2023.07.17
レース

photo A.S.O. /Pauline BALLET/Charly Lopez / ©SprintCycling

第110回ツール・ド・フランス（ＵＣＩワールドツアー）は、７月16日にレ・ジェ・レ・ポルテ・デュ・ソレイユから標高1372mでカテゴリー１のサン・ジェルヴェ・モン・ブラン頂上までの179kmで、アルプス山岳区間の第15ステージを競い、オランダのウァウテル・プールス（バーレーン・ヴィクトリアス）が独走で逃げ切り、35歳で区間初優勝を果たした。

■35歳のプールスが単独で逃げ勝った (©SprintCycling)

区間2位は2分8秒遅れでベルギーのウァウト・ヴァンアールト（ユンボ・ヴィスマ）、3位は3分遅れでフランスのマテュー・ビュルゴドー（トタルエナジーズ）だった。

マイヨ・ジョーヌを着たデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー（ユンボ・ヴィスマ）は、マイヨ・ブランを着たスロベニアチャンピオンのタデイ・ポガチャル（ＵＡＥチーム・エミレーツ）と一緒にゴールし、総合成績での10秒差を守った。

■マイヨ・ジョーヌはヴィンゲゴーが守った (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

アルブスの激闘

(photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

● 第15ステージのコースプロフィール (MAP : ASO)

第15ステージは157選手が出走。前日の落車で脳震盪を起こしていたスペインのダニエル・マルティネス（イネオス・グレナディアズ）がスタートしなかった。この日もスタートからアタックが続き、最初の1時間の平均時速は46.2km/hになった。

37.5km地点のカテゴリーの付いていない坂で、プールスとヴァンアールトが加わった27人の大きな集団が逃げ出した。そこから50km地点でジュリアン・アラフィリップ（スーダル・クイックステップ）とアレクセイ・ルツェンコ（アスタナ・カザクスタンチーム）が先行した。

メイン集団では52km地点で落車事故が発生し、ヴィンゲゴーをアシストするユンボ・ヴィスマのセップ・クースとナタン・ヴァンホーイドンクや、エガン・ベルナル（イネオス・グレナディアズ）が巻き込まれた。この事故でメイン集団は減速し、逃げのタイム差は大きくなった。

■逃げ集団からアタックしたアラフィリップとルツェンコ (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

中間スプリント地点を通過後、この日最初のカテゴリー１の峠越えが始まり、アラフィリップは遅れて先頭はルツェンコだけになった。82.8kmの山頂はルツェンコが先頭で通過。追走集団では、山岳賞総合３位でマイヨ・アポワを着ていたニールソン・パウレス（ＥＦエデュケーション・イージーポスト）が４位で通過してポイントを稼ぎ、再び山岳賞総合首位に立った。

下りでアラフィリップとルツェンコは追走集団に捕まり、先頭集団は39人になった。ゴールまで残り75kmで逃げ集団からマルコ・ハラー（ボーラ・ハンスグローエ）がアタックし、そこにルイ・コスタ（アンテルマルシェ・シルキュス・ワンティ）が追いついた。残り60kmでコスタは単独になったが、カテゴリー１のクロワ・フリ峠の山頂まで1.3kmで吸収された。この時、先頭集団は20人に減っていた。

クロワ・フリ峠山頂はジューリオ・チッコーネ（リドル・トレック）が先頭で通過し、山岳賞総合で首位のパウレスに並んだ。続くカテゴリー３のアラヴィス峠ではマルク・ソレル（ＵＡＥチーム・エミレーツ）がアタックし、ヴァンアールト、クリッツ・ネイランズ（イスラエル・プルミエテック）、さらにプールスが合流した。

ゴールまで残り38.4kmの下り坂で、ネイランズはニュートラルバイクからボトルを受け取った瞬間に落車し、先頭グループから遅れてしまった。ソレルは下りで遅れ、先頭はプールスとヴァンアールトと２人になった。残り11.2kmでカテゴリー２のアメラン峠が始まり、ソレルは先頭の２人に追いつきそうになったが、その瞬間にプールスがアタックし、独走を開始した。この時、メイン集団は7分半遅れていた。

最後のサン・ジェルヴェ・モン・ブランの登坂が始まった時、先頭のプールスは追走の２人に30秒差を付けていた。彼はそのまま独走で逃げ切り、区間初優勝を果たした。

■サン・ジェルヴェ・モン・ブランを独走で逃げるプールス (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

メイン集団はＵＡＥチーム・エミレーツが先頭を引き、次第に小さくなっていった。ゴールまで残り4kmでラファウ・マイカ（ＵＡＥチーム・エミレーツ）が仕事を終え、アダム・イェーツ（ＵＡＥチーム・エミレーツ）が先頭に出ると、付いていけたのはマイヨ・ブランのポガチャルとマイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーだけだった。

アダム・イェーツは残り3kmで飛び出し、先行していたソレルに合流した。その後方では、ヴィンゲゴーとポガチャルに前日区間優勝したカルロス・ロドリゲス（イネオス・グレナディアズ）が追いついていた。ポガチャルは残り1kmのフラム・ルージュ通過後にアタックしたが、ヴィンゲゴーを出し抜く事はできず、結局２人一緒にゴールした。

■区間初優勝したプールスのコメント
「本当にこの瞬間が好きだ。ツール・ド・フランスで区間優勝する事をいつも夢に見ていた。明らかに、メーダーの（事故死の）件は特別な意味を持っている。ツールで区間優勝する事は、たくさんの意味がある。とても嬉しいよ。確信し始めたのは最後の数kmでだった。エンジン全開で行かなければならなかった。素晴らしいよ。今日はメーダーが助けてくれた。

チームスカイにいた時期は本当に楽しんでいた。我々はツールで４回総合優勝し、素晴らしい経験だった。しかし、自分が区間優勝を目指して戦うことは決してできなかった。今日はそれができて本当に嬉しいよ」

■35歳でツール区間初優勝を果たしたプールス (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

■第15ステージ結果
［７月16日／レ・ジェ・レ・ポルテ・デュ・ソレイユ～サン・ジェルヴェ・モン・ブラン／179 km］
1. W. POELS (BAHRAIN VICTORIOUS / NED) 04h 40′ 45”
2. W. VAN AERT (JUMBO-VISMA / BEL) + 02′ 08”
3. M. BURGAUDEAU (TOTALENERGIES / FRA) + 03′ 00”
4. G. CRADDOCK (TEAM JAYCO ALULA / USA) + 03′ 10”
5. M. LANDA (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) + 03′ 14”
6. T. PINOT (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 03′ 14”
7. G. MARTIN (COFIDIS / FRA) + 03′ 32”
8. S. JENSEN (LIDL – TREK / DEN) + 03′ 43”
9. S. GUGLIELMI (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA) + 03′ 59”
10. W. BARGUIL (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA) + 04′ 20”
16. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 06′ 04”
17. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) + 06′ 04”

■第15ステージ後の総合成績（マイヨ・ジョーヌ）
1. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) 62h 34′ 17”
2. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 00′ 10”
3. C. RODRIGUEZ CANO (INEOS GRENADIERS / ESP) + 05′ 21”
4. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 05′ 40”
5. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) + 06′ 38”
6. S. KUSS (JUMBO-VISMA / USA) + 09′ 16”
7. P. BILBAO LOPEZ (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) + 10′ 11”
8. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 10′ 48”
9. D. GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 14′ 07”
10. G. MARTIN (COFIDIS / FRA) + 14′ 18”

［各賞］
■ポイント賞：J. PHILIPSEN (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL)
■山岳賞 : G. CICCONE (LIDL – TREK / ITA)
■新人賞：T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO)
■チーム成績：JUMBO-VISMA (NED)
■敢闘賞 : A. PETIT (INTERMARCHÉ – CIRCUS – WANTY / FRA)