ツール・ド・フランス2022 アルプス超級頂上ゴールの第11ステージを制したヴィンゲゴーが総合首位

フランスで開催中の第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月13日にアルベールヴィルからカテゴリー超級のコル・デュ・グラノン頂上までの152kmで、アルプス山岳区間の第11ステージを競い、デンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)が独走で区間初優勝を果たした。
 

ツール・ド・フランス2022

■ヴィンゲゴーが超級頂上ゴールを制し、区間初優勝した (©SprintCycling)

 
マイヨ・ジョーヌを着ていたスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)は、コル・デュ・グラノンの坂でアタックしたヴィンゲゴーに付いていけなかっただけでなく、そのまま失速し、2分51秒遅れでゴール。ヴィンゲゴーが総合首位に立ち、25歳で初めてマイヨ・ジョーヌに袖を通した。

区間2位は59秒遅れでコロンビアのナイロ・キンタナ(チームアルケア・サムシック)。1分10秒遅れで区間3位に入ったフランスのロマン・バルデ(チームDSM)は、総合7位から2位になった。失速したポガチャルは、2分22秒遅れの総合3位にまで転落した。
 

ツール・ド・フランス2022

■マイヨ・ジョーヌのポガチャルは最後の坂で失速し、3分近く遅れてしまった (©SprintCycling)


逃げたファンデルプールが途中リタイア

ツール・ド・フランス2022

●第11ステージのコースプロフィール(MAP : A.S.O.)

 
今年のツールの中間地点となる第11ステージは、161選手が出走。中間スプリントが16.5km地点に設定されていた為、マイヨ・ベールを着たウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)がオフィシャルスタートの合図とともにアタックし、マテュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)が付いて行った。ヴァンアールトが中間スプリントを先頭で通過した後、マイヨ・アポワを着たシモン・ゲシュケ(コフィディス)を含む18人が合流し、31km地点で先頭の逃げは20人になった。

逃げ集団で総合成績が最も上位だったのはワレン・バルギル(チームアルケア・サムシック)で、13分33秒遅れの総合26位だった。彼らは40km地点で集団に2分差を付けていた。最初に越えたラセ・ド・モンヴェルニエ峠(カテゴリー2)はピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ)が先頭で通過したが、ゲシュケは2位通過でポイントを稼いだ。
 

ツール・ド・フランス2022

(photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
最初の峠で逃げ集団から遅れたファンデルプールは、そのままレースを棄権した。この日はベルギーのオリヴェル・ナーセン(AG2R・シトロエン チーム)も途中リタイアした。11.9km続くテレグラフ峠(カテゴリー1)のふもとで、19人の逃げ集団はUAEチーム・エミレーツがコントロールする集団に7分20秒差を付けていた。

テレグラフ峠が始まると、逃げ集団はバルギルがペースを上げ、半分に減った。83.8km地点の山頂はラトゥールが先頭で通過し、ゲシュケも3位通過でポイントを稼いだ。 集団ではテレグラフ峠でプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)がアタックし、20人ほどのマイヨ・ジョーヌ集団が形成された。
 

バルギルがアンリ・デグランジュ賞を獲得

ツール・ド・フランス2022

■ガリヴィエ峠でアタックし、アンリ・デグランジュ賞を獲得したバルギル (photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
続くガリヴィエ峠は、今大会最高峰の標高2642mで、山頂1位通過にはアンリ・デグランジュ賞がかけられていた。山頂まで残り7kmで、逃げグループからバルギルがアタックし、単独で山頂を通過してアンリ・デグランジュ賞を獲得した。マイヨ・アポワのゲシュケは2位で通過し、山岳賞総合首位を守った。5分後方のマイヨ・ジョーヌ集団では総合争いの攻撃が続き、ヴィンゲゴーとポガチャルが先行し、2人で山頂を通過した。
 

ツール・ド・フランス2022

■ガリヴィエ峠では互角だったポガチャルとヴィンゲゴー (photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
バルギルが先頭を逃げ続ける中、マイヨ・ジョーヌのグループには下りで遅れていた選手たちが合流した。ゴールまで残り11.3kmで最後のコル・デュ・グラノン(カテゴリー超級)の登坂が始まった時、先頭のバルギルと18人のマイヨ・ジョーヌ集団のタイム差は4分半あった。

ラファウ・マイカ(UAEチーム・エミレーツ)が先頭を引き続けるマイヨ・ジョーヌ集団から、残り10kmでキンタナがアタックし、単独で先行した。マイヨ・ジョーヌ集団は、マイカとマイヨ・ジョーヌのポガチャル、ヴィンゲゴーとスティーフェン・クラウスウェイク(ユンボ・ヴィスマ)、ゲラント・トーマスとアダム・イェーツ(イネオス・グレナディアズ)、バルデの7人になっていた。
 

ツール・ド・フランス2022

■アルプスで激しい戦いを繰り広げたマイヨ・ジョーヌのポガチャルとヴィンゲゴー(©SprintCycling)

 
マイヨ・ジョーヌが失速

キンタナは逃げていた選手たちを次々を追い越し、残り4.4kmで先頭のバルギルに追いついた。1分後方のマイヨ・ジョーヌ集団では、まずバルデがアタックし、続いてヴィンゲゴーがアタックしたが、マイヨ・ジョーヌのポガチャルはマイカの後ろに留まったままだった。ここでマイカは力尽き、ポガチャルは単独でゴールを目指さなければならなくなった。

バルデを追い越したヴィンゲゴーは、ゴールまで残り4kmでキンタナに追いつき、そのまま先頭に躍り出た。ヴィンゲゴーは狭い沿道に溢れかえる観客をかき分けるようにコル・デュ・グラノンを上り続け、単独で山頂のゴールに到着した。

マイヨ・ジョーヌのポガチャルは走りに精彩を欠き、早々に遅れていたダヴィド・ゴデュ(グルパマ・FDJ)にまで追い抜かれ、2分51秒遅れの区間7位でゴールし、ヴィンゲゴーに総合首位の座を明け渡す事になってしまった。

ツール・ド・フランスで北欧デンマーク出身の選手が総合首位に立ち、マイヨ・ジョーヌを獲得したのは、2007年のミカエル・ラスムセン以来、15年ぶりだった。
 

ツール・ド・フランス2022

■ヴィンゲゴーが15年ぶりでデンマークにマイヨ・ジョーヌをもたらした (photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
■区間初優勝してマイヨ・ジョーヌを獲得したヴィンゲゴーのコメント
「本当に素晴らしいと思う。何が起きたのかを言葉で言い表すのは難しい。これはボクが夢見ていた事だ。ツール・ド・フランスで区間優勝して、今、マイヨ・ジョーヌだ。信じられない。我々は今日のスタートから計画があり、今はそれが明白になった。

我々はレースをとても厳しくしたかった。それでボクが有利になり、ログリッチも有利になるだろうと考えた。今日は多くのタイム差を得られたが、それはチームメイトなしでは決してやり遂げられなかった。彼らは素晴らしかった。

アタックした時、彼(ポガチャル)はダメになるだろうと感じた。ガリヴィエで山頂を通過した時は、彼はとても強かった。彼がエンジン全開になるかどうか、ボクは心配だった。それで、すべてやってみなければ決して勝てないと思ったんだ。もちろん2位でも素晴らしいが、それは去年もうやったからね。今回は勝利が欲しかった。そして成功した。今ボクは、パリまでずっと戦って守るマイヨ・ジョーヌを持っているんだ」
 

ツール・ド・フランス2022

■総合3位に転落した23歳のポガチャルは、マイヨ・ブランを着てリベンジを狙う (photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
■今年のツール中間地点でマイヨ・ジョーヌを失ったポガチャルのコメント
「何が起こったのか分からない。ガリヴィエではとても調子が良かった。ユンボ・ヴィスマからたくさん攻撃を受けた。それから、最後の上りでボクはただ、良い脚を持っていなかった。最後までずっと苦しんだ。最高の日ではなかった。明日はうまくできるか様子を見るよ。レースがしたいし、ここからパリまで全力を尽くす。後悔する事なく、ツールを終えたい。

ユンボ・ヴィスマは激しくプレイした。我々は逃げた選手たちをコントロールするのが困難だった。(新型コロナで2人棄権し)我々はもう大勢は居ないからね。ヴァンアールトとラポルトが逃げて、彼らは今日、素晴らしい戦術でプレイした。まだ終わってはいない。彼(ヴィンゲゴー)は今日3分獲得した。多分、明日3分獲得するのはボクだ。我々は最後まで戦うだろう」
 

ツール・ド・フランス2022

■敢闘賞はフランスのバルギルが獲得した (photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
■第11ステージ結果

[7月13日/アルベールヴィル~コル・デュ・グラノン/152km]
1. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) 4h 18’ 02’’
2. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 00′ 59’’
3. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 01′ 10’’
4. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 01′ 38’’
5. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 02′ 04’’
6. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 02′ 10’’
7. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 02′ 51’’
8. ALEXEY LUTSENKO (ASTANA – QAZAQSTAN TEAM / KAZ) + 03′ 38’’
9. STEVEN KRUIJSWIJK (JUMBO – VISMA / NED) + 03′ 59’’
10. WARREN BARGUIL (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA) + 04′ 16’’
18. THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 09’ 55’’
20. PRIMOŽ ROGLIČ (JUMBO – VISMA / SLO) + 11’ 31’’

■第11ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) 41h 29’ 59’’
2. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 02’ 16’’
3. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 02’ 22’’
4. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 02’ 26’’
5. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 02’ 37’’
6. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 03’ 06’’
7. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 03’ 13’’
8. ALEKSANDR VLASOV (BORA – HANSGROHE / RUS) + 07’ 23’’
9. ALEXEY LUTSENKO (ASTANA – QAZAQSTAN TEAM / KAZ) + 08’ 07’’
10. ENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 09’ 29’’
11. THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 11’ 12’’
14. PRIMOŽ ROGLIČ (JUMBO – VISMA / SLO) + 13’ 54’’

[各賞]
■ポイント賞:WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
■山岳賞 : SIMON GESCHKE (COFIDIS / GER)
■新人賞:TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:INEOS GRENADIERS (GBR)
■敢闘賞 : WARREN BARGUIL (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA)
 

ツール・ド・フランス2022

■マイヨ・アポワはゲシュケが守った (photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
革命記念日はアルプ・デュエズでゴール

ツール・ド・フランス2022

●第12ステージのコースプロフィール(MAP : A.S.O.)

 
7月14日の革命記念日は、ブリアンソンをスタートし、標高1850mでカテゴリー超級のアルプ・デュエズでゴールする、クイーンステージの第12ステージが行われる。距離は165.5kmで、スタートしてすぐに第11ステージと反対方向からカテゴリー超級のガリヴィエ峠を越え、途中標高2067mでカテゴリー超級のクロワ・ド・フェール峠も越えなければならない。
 

ツール・ド・フランス2022

(photo : A.S.O./Pauline BALLET)

 

ツール・ド・フランス 公式サイト

ツール・ド・フランス2022はJ SPORTSで全21ステージ生中継&ライブ配信!

ツール・ド・フランス2022 公式プログラム、好評発売中!