ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第20ステージはシャンプーサンが初優勝

スペインで開催中の第76回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、9月4日にサンシェンショからカストロ・デ・エルビリェ(モス)までの202.2kmで、今年最後の山岳ステージとなる第20ステージを競い、フランスのクレモン・シャンプーサン(AG2R・シトロエンチーム)が、サプライズなプロ初優勝を果たした。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

シャンプーサンがサプライズなプロ初優勝を果たした

区間2位は6秒遅れで総合リーダーのラ・ロハを着たスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)、3位は8秒遅れで英国のアダム・イェーツ(イネオス・グレナディアズ)だった。

この日中盤に越えたカテゴリー1のアルト・デ・モウガス峠で、コロンビアのミゲルアンヘル・ロペス(モビスターチーム)がラ・ロハのグループから遅れてしまった。前日までの成績で2分53秒遅れの総合3位だったロペスは、表彰台の座を失う事が濃厚になり、途中リタイアしてしまった。


ミニ・リエージュ~バストーニュ~リエージュ区間

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

●第20ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)

第20ステージは143選手が出走。オイエル・ラスカノ(カハルラル・セグロスRGA)とアレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プルミエテック)がスタートしなかった。このステージはいくつもの丘を越えるため、ミニ・リエージュ~バストーニュ~リエージュ区間と言われていた。

オフィシャルスタートからアタックが続き、27km地点でスタン・デウルフ(AG2R・シトロエンチーム)が逃げ出したのをきっかけに、16人の逃げ集団が形成された。この逃げには山岳賞ジャージのマイケル・ストーラーとロマン・バルデ(チームDSM)、シャンプーサンも加わっていた。

逃げ集団は50km地点でユンボ・ヴィスマがコントロールする集団に8分差を付け、レース半ばでその差は10分を超えていた。ゴールまで残り105kmの最初のカテゴリー3の峠は、ストーラーが先頭で通過した。2つ目の峠だったカテゴリー2のアルト・デ・マビア峠で、メイン集団はイネオス・グレナディアズが引き始め、次第に小さくなっていった。

アルト・デ・マビア峠の頂上を、山岳賞ジャージのストーラーが先頭で通過した後、下りでマッテーオ・トレンティン(UAEチーム・エミレーツ)がアタックし、バルデ、リリアン・カルムジャーヌ(AG2R・シトロエンチーム)、ライアン・ギボンズ(UAEチーム・エミレーツ)が合流し、ゴールまで残り67kmで先頭は4人になった。ここに3つ目のアルト・デ・モウガス(カテゴリー1)でマルク・パドゥン(バーレーン・ヴィクトリアス)が合流して先頭を引き、トレンティンが遅れてしまった。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

AG2R・シトロエンチームはこの日の逃げに3選手が入っていた(©Bettiniphoto)

先頭の逃げグループには、頂上まで残り5kmでストーラーとシャンプーサンが合流し、残り56.1kmの頂上はストーラーが先頭で通過した。メイン集団ではアルト・デ・モウガスの登坂でイェーツがアタックし、ラ・ロハのログリッチ、エンリク・マス(モビスターチーム)、ジャック・へイグとジーノ・メーダー(バーレーン・ヴィクトリアス)は付いて行けたが、総合3位のロペスと新人賞ジャージのエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアズ)は遅れてしまった。

先頭の逃げグループでは、アルト・デ・モウガスの下り坂でギボンズがアタックして先行。ゴールまで残り30.8kmで、4つ目のアルト・デ・プラド峠(カテゴリー2)の登坂が始まった時、先頭のギボンズと追走グループは1分35秒差、ラ・ロハのグループは3分差だった。ロペスとベルナルのグループは、ここで7分以上遅れていた。残り25.2kmの頂上で、ギボンズはまだ追走グループに対して55秒のアドバンテージを持っていた。

ゴールへと向かう最後のカテゴリー2のカストロ・デ・エルビリェのふもとで、追走グループではアタックがかかり始めたが、抜け出せる選手はいなかった。カストロ・デ・エルビリェの登坂が始まり、残り7.8kmでシャンプサンが居た追走グループはラ・ロハのグループに追いつかれてしまった。

ゴールまで残り6.3kmでイェーツが攻撃を開始し、ログリッチ、マス、ヘイグが付いて行った。アップダウンの続く不規則なルートで攻防が続いた後、4人は残り3kmで先頭のギボンズに追いついた。残り2kmで先頭はログリッチ、イェーツ、マス、ヘイグだけになり、この中の誰かが区間優勝するだろうと思われた矢先、4人の後方からシャンプーサンが飛び出し、そのまま先頭に躍り出た。

シャンプーサンは残り1.7kmを必死の形相で走り切り、総合争いのトップ選手たちから区間優勝を掠め取ってしまった。彼は昨年プロデビューしたばかりの23歳の選手で、プロ初優勝がグランツールの区間優勝になった。

ラ・ロハを着たログリッチは区間2位に入り、6秒のボーナスタイムを獲得。最終日の個人タイムトライアルを残し、総合2位のマスとのタイム差を2分38秒に開き、総合3連覇に王手をかけた。

■サプライズなプロ初優勝を果たしたシャンプーサンのコメント
「正直言って、一日中前に居た後、(最後の)上りのふもとで捕まってしまった時は、ちょっとキツかった。でも、優勝候補たちも疲れていたと思う。彼らが急な部分に入った時、ボクにはスピードが速すぎた。その後、幸運な事にメーダーと一緒になり、彼がボクたちをグループに戻してくれた。

ボクはそこにしがみついて、タイムトライアルのように走って、ゴールまで残り1kmちょっとで、彼らが牽制しあっているチャンスに出会った。危険がないように、ちょっと速いスピードで通過しろと自分に言い聞かせた。残り1kmはさほどキツいコースではなく、最後まで先行する事ができたんだ」

■総合3連覇に王手をかけたログリッチのコメント
「今日ゴールした順位にとても満足している。これ以上は望まなかった。主にイェーツとマスを注目していたが、最後はもっと大勢の選手がいた。アタックして抜け出すには、物凄く強くなければならない。ボクは多かれ少なかれ、全てをコントロールしていた。

明日のタイムトライアルを楽しみにしている。我々はこれを待っていて、遂にここにたどり着いた」
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

ログリッチが総合3連覇に王手をかけた(©Bettiniphoto)

■第20ステージ結果[9月4日/サンシェンショ~カストロ・デ・エルビリェ(モス)/202.2km]
1. CHAMPOUSSIN Clément (AG2R CITROEN TEAM / FRA) 5:21:50
2. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +6
3. YATES Adam (INEOS GRENADIERS / GBR) +8
4. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +8
5. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +12
6. HAMILTON Christopher (TEAM DSM / AUS) +16
7. BIZKARRA ETXEGIBEL Mikel (EUSKALTEL – EUSKADI / ESP) +23
8. GIBBONS Ryan (UAE TEAM EMIRATES / RSA) +26
9. MÄDER Gino (BAHRAIN VICTORIOUS / SUI) +26
10. DE TIER Floris (ALPECIN-FENIX / BEL) +50

19. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +6:55
112. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +34:17

■第20ステージまでの総合成績(ラ・ロハ)
1. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) 83:11:27
2. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +2:38
3. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +4:48
4. YATES Adam (INEOS GRENADIERS / GBR) +5:48
5. MÄDER Gino (BAHRAIN VICTORIOUS / SUI) +8:14
6. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +11:38
7. KUSS Sepp (JUMBO-VISMA / USA) +13:42
8. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +16:11
9. DE LA CRUZ MELGAREJO David (UAE TEAM EMIRATES / ESP) +16:19
10. GROSSSCHARTNER Felix (BORA – HANSGROHE / AUT) +20:30
113. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +4:36:07

[各賞]
■ポイント賞 : JAKOBSEN Fabio (DECEUNINCK – QUICK-STEP / NED)
■山岳賞 : STORER Michael (TEAM DSM / AUS)
■新人賞 : MÄDER Gino (BAHRAIN VICTORIOUS / SUI)
■チーム成績 : BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)
■敢闘賞 : GIBBONS Ryan (UAE TEAM EMIRATES / RSA)


最終日は巡礼地サンティアゴ・デ・コンポステーラがゴールの個人TT

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

●第21ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)

9月5日の最終日は、パドロンからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの33.8kmで、個人タイムトライアルの第21ステージが行われる。8月14日にブルゴス大聖堂前をスタートした今年のブエルタは、北西部ガリシア地方にある、キリスト教の巡礼地として有名なサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂でフィナーレを迎える。

ブエルタ・ア・エスパーニャ公式サイト

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021開幕情報(スタートリスト)

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021はJ SPORTSで全21ステージ生中継&ライブ配信!