ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第5ステージはフィリプセン2勝目

  • photo Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport / UNIPUBLIC

スペインで開催中の第76回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、8月18日にタランコンからアルバセテまでの184.4kmで第5ステージを競い、ベルギーのヤスペル・フィリプセン(アルペシン・フェニックス)が集団ゴールスプリントを制し、第2ステージに続いて今大会2勝目を上げた。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

フィリプセンが集団ゴールスプリントを制し、今大会2勝目を上げた

区間2位はポイント賞ジャージを着たオランダのファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ)、3位はイタリアのアルベルト・ダイネーゼ(チームDSM)だった。

第5ステージはゴールまで残り11.7km地点で大きな落車事故が発生し、総合リーダージャージのラ・ロハを着ていたエストニアのレイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)も巻き込まれてしまった。彼は2分以上遅れてゴールし、総合首位は前日まで25秒遅れの総合2位だったフランスのケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード)になった。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

タラマエが落車で遅れ、前日まで総合2位だったエリッソンドが総合首位になった

 
地元3チームの3選手が逃げた

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

●第5ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)

第5ステージは快晴のタランコンを152選手が出走。スタートしてすぐに、地元のUCIプロチーム3チームの3選手がアタックし、この日の逃げになった。メンバーはペラヨ・サンチェス(ブルゴス・BH)、オイエル・ラスカノ(カハルラル・セグロスRGA)、そして第2ステージでも逃げたシャビエルミケル・アスパレン(エウスカルテル・エウスカディ)だった。

3人の逃げは順調にタイム差を広げ、25km地点で5分を超えた。集団はアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオーが単独でコントロールし続け、48km地点でタイム差は7分に開いた。64km地点でやっとドゥクーニンク・クイクッステップとアルペシン・フェニックスが集団の先頭で仕事を開始した。

そこにグルパマ・FDJも加わり、ゴールまで残り100kmでタイム差は5分半にまで縮まった。逃げのタイム差は残り70kmで2分台になって一旦落ち着いた。中間スプリントはラスカノが先頭で通過。集団はフィリプセンが先頭で通過してポイントを稼いだ。

ゴールまで残り34kmでサンチェスが遅れ、先頭の逃げは2人になった。さらに残り22kmでアスパレンも力尽き、先頭はラスカノだけになった。この時はまだ集団とのタイム差は1分半あったが、残り20kmを切ってスプリンターを擁するチームが集団のスピードを上げ、最後まで逃げていたラスカノもゴールまで残り15.7kmで吸収された。


終盤の落車でラ・ロハが遅れた

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

終盤に集団で大きな落車事故が発生した

強い向かい風が吹く中、集団はゴールを目指して加速し、いつも通りの集団ゴールスプリントで終了するかと思われた矢先、残り11.7kmの真っ直ぐな広い道路で、大きな落車事故が発生した。

落車は集団の前方で発生し、3分の2程度の選手が巻き込まれてしまった。その中には、ラ・ロハのタラマエ、ロマン・バルデ(チームDSM)、ミケル・ニエベ(チームバイクエクスチェンジ)も含まれていた。一時は50人ほどに減っていた第1集団はペースを落とし、多くの選手がゴール前に合流できたが、タラマエは残り5kmで1分20秒遅れ、バルデとニエベはすでに5分以上後方だった。

ゴールのアルバセテ市街地が近づき、集団がゴールスプリントに向けて加速すると、落車で遅れていた選手たちのタイムは更に開いた。集団はアルペシン・フェニックスが引き続け、その働きに応えるかのように、最後はフィリプセンが集団ゴールで圧勝した。彼は今大会区間2勝目で、ポイント賞でも総合首位に返り咲いた。しかし、2位のヤコブセンとの差はたった1ポイントだ。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

ゴール直後にフィリプセンを囲んで記念撮影をしたアルペシン・フェニックス

ラ・ロハのタラマエは、結局2分21秒遅れでゴールし、総合125位にまで落ちてしまった。しかし、彼はまだ山岳賞で総合首位のため、第6ステージは山岳賞ジャージを着て走る。バルデとニエベは12分32秒遅れでゴールした。

■今大会区間2勝目を上げたフィリプセンのコメント
「最後の5kmを見れば、(前回よりも)ずっと素晴らしい。我々はチーム全員一緒だった。それを言葉で言い表す事はできない。我々全員がお互いのためにやっている事は信じられないほどで、それを一緒に仕上げられるのは素晴らしい。昨日は我々が望んでいたようなスプリントをボクができなかったから、ちょっとがっかりした。昨日からのページをめくるためにも、今日勝つ事はとても素晴らしい」

■ラ・ロハを獲得したエリッソンドのコメント
「落車が起きた時、ボクは前から10番目に居たから、何も見なかった。リーダーのジューリオ・チッコーネが、我々のグループに居ない事が心配だった。でも、彼は戻ってきた。これは自分が望むようなリーダージャージの取り方ではない。でも、風がある時の自転車競技にリスクが有るのはみんな分かっている。集団が分断すれば全てを失う事もあるから、警戒しなければならない。

競技キャリアのほとんどをアシストとして過ごしてきたのは確かだ。今、このジャージを持っているのは信じられない。ボクは(今年)ツール・ド・フランスと五輪を走った。チームは同じようにブエルタもできるかどうかボクに聞いてきた…。これが自転車競技の美しさだ。ボクはココでグランツールをリードしているんだよ!」
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

フィリプセンはポイント賞ジャージを取り戻した


■第5ステージ結果[8月18日/タランコン~アルバセテ/184.4km]

1. PHILIPSEN Jasper (ALPECIN-FENIX / BEL) 4:24:41
2. JAKOBSEN Fabio (DECEUNINCK – QUICK-STEP / NED)
3. DAINESE Alberto (TEAM DSM / ITA)
4. MOLANO BENAVIDES Juan Sebastian (UAE TEAM EMIRATES / COL)
5. ALLEGAERT Piet (COFIDIS / BEL)
6. ABERASTURI IZAGA Jon (CAJA RURAL-SEGUROS RGA / ESP)
7. MEEUS Jordi (BORA – HANSGROHE / BEL)
8. MINALI Riccardo (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / ITA)
9. JANSE VAN RENSBURG Reinardt (TEAM QHUBEKA NEXTHASH / RSA)
10. DEMARE Arnaud (GROUPAMA – FDJ / FRA)

124. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +2:08
125. TAARAMÄE Rein (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / EST) +2:21
180. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +12:32
182. NIEVE ITURRALDE Mikel (TEAM BIKEEXCHANGE / ESP) +12:32

■第5ステージまでの総合成績(ラ・ロハ)
1. ELISSONDE Kenny (TREK – SEGAFREDO / FRA) 17:33:57
2. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +5
3. CALMEJANE Lilian (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +10
4. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +20
5. LOPEZ MORENO Miguel Angel (MOVISTAR TEAM / COL) +26
6. VALVERDE Alejandro (MOVISTAR TEAM / ESP) +32
7. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +32
8. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +32
9. LANDA MEANA Mikel (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +44
10. MÄDER Gino (BAHRAIN VICTORIOUS / SUI) +45

27. TAARAMÄE Rein (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / EST) +1:56
163. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +23:56

[各賞]
■ポイント賞 : PHILIPSEN Jasper (ALPECIN-FENIX / BEL)
■山岳賞 : TAARAMÄE Rein (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / EST)
■新人賞 : BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL)
■チーム成績 : UAE TEAM EMIRATES (UAE)
■敢闘賞 : LAZKANO LOPEZ Oier (CAJA RURAL-SEGUROS RGA / ESP)


第6ステージはカテゴリー3の頂上ゴール

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

●第6ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)

8月19日はレケナをスタートし、カテゴリー3のアルト・デ・ラ・モンターニャ・クリェラ頂上にゴールする158.3kmで第6ステージが行われる。ゴールのアルト・デ・ラ・モンターニャ・クリェラはクリェラ城へと向かう全長1.9kmの上り坂で、平均勾配は9.4%だ。
 
ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

ブエルタ・ア・エスパーニャ公式サイト

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