ジロ・デ・イタリア2021第11ステージはシュミットが初優勝

イタリアで開催中の第104回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、休養日明けの5月19日にペルージャからモンタルチーノまでの162kmで第11ステージを競い、スイス出身でネオプロのマウロ・シュミット(チームクベカ・アソス/21歳)が逃げ切り、グランツール初参加で区間初優勝を果たした。

ジロ・デ・イタリア

一騎打ちのゴール勝負を制したシュミット(photo : LaPresse)

区間2位は地元イタリアのアレッサンドロ・コーヴィ(UAEチーム・エミレーツ)、3位はベルギーのハルム・ヴァンハウケ(ロット・スーダル)だった。

総合リーダーのマリア・ローザを着たコロンビアのエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアズ)は、ゴール手前のカテゴリー3の坂でメイングループからアタックし、ライバルたちよりも先にゴール。総合でのリードを更に広げた。

総合2位でマリア・ビアンカを着ていたベルギーのレムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ)は、後半に続いた未舗装路セクションで遅れてしまい、ベルナルよりも2分以上遅れてゴールし、総合7位へと後退した。

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マリア・ローザのベルナルはミニ・ストラーデ・ビアンケ区間で総合のリードを広げた(photo : LaPresse)


新型コロナのPCR検査は全員陰性

前日の休養日には、選手とチームスタッフを対象に行われた新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のPCR検査(600件)が、全て陰性だった事が発表された。第11ステージは171選手が出走。ベルギーのティム・メルリール(アルペシン・フェニックス)は、胃のトラブルでジロを去った。

“ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・ワイン・ステージ”と名付けられた第11ステージは、後半にストラーデ・ビアンケで登場する白い砂利道セクションが4カ所設定されていた。

レース序盤に逃げ出した11人の先頭グループは、白い砂利道セクションが始まった残り69km地点で、集団に14分半のタイム差を付けていた。集団では、最初の9.1km続く砂利道セクションでイネオス・グレナディアズが攻撃を開始し、エヴェネプールは30秒ほど遅れてしまった。しかし、チームメートの働きにより、この時は集団に戻る事ができた。

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白い砂利道でマリア・ローザを擁するイネオス・グレナディアズが攻撃し続けた(photo : LaPresse)

ゴールまで残り52.2km地点から、13.5km続く2つ目の砂利道セクションが始まり、残り46kmで先頭の逃げは8人に減っていたが、集団とのタイム差はまだ9分以上開いていた。集団は30人ほどに減り、エヴェネプールは何とか後方に留まっていた。

3つ目の砂利道セクションは全長7.6kmで、ゴールまで残り25.9kmからスタート。マリア・ローザの集団はジャンニ・モスコン(イネオス・グレナディアズ)が引き、エベネプールは再び遅れてしまった。集団にいたジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が彼を待ち、合流してアシストしたが、集団に戻る事はできなかった。

ゴールまで残り13.6kmから最後の砂利道セクションに入り、ベルギーチャンピオンのドリース・デボント(アルペシン・フェニックス)とコーヴィが逃げグループからアタックし、シュミットが合流して先頭は3人になった。残り7kmでデボントは遅れたが、コーヴィとシュミットは先頭を逃げ続け、マリア・ローザ集団とのタイム差はまだ5分以上あった。

2人はそのまま逃げ切り、最後は一騎打ちのゴールスプリントを制したシュミットが、区間初優勝を手中に収めた。彼は21歳5ヶ月15日で、スイス人選手で最も若いジロ区間優勝者になった。彼は国際レベルのレースでは、ジュニアでもアンダー23でも優勝した事がなかった。

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一騎打ちのゴール勝負を制したシュミット(photo : LaPresse)

マリア・ローザ集団では、ゴールまで残り3.8kmに設定されていたカテゴリー3の丘でベルナルがアタックし、先行していたエマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ)に合流し、ゴールを目指した。

マリア・ローザのベルナルは、逃げ切った10人の後ろでゴール。折り返し地点の第11ステージで、総合2位に浮上したロシアのアレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プルミエテック)に45秒差、英国のサイモン・イェーツ(チームバイクエクスチェンジ)に1分22秒差という戦況になった。

■グランツール初参加で区間初優勝したシュミットのコメント
「実際のところ、信じられない。ジロのチームには、レースのたった2週間前に選ばれていた。準備はよくできていたが、シーズン序盤には、グランツールを走る事さえ考えていなかった。前の2ステージでとても苦しんだが、今日は本当にアタックを続けたいと望んでいた。ボクはストラーデ・ビアンケが大好きで、未舗装路が大好きだからだ」

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(photo : LaPresse)

 

■第11ステージ結果[5月19日/ペルージャ~モンタルチーノ/162km]
1. SCHMID Mauro (TEAM QHUBEKA ASSOS / SUI) 4:01:55
2. COVI Alessandro (UAE TEAM EMIRATES / ITA) +1
3. VANHOUCKE Harm (LOTTO SOUDAL / BEL) +26
4. DE BONDT Dries (ALPECIN-FENIX / BEL) +41
5. GUGLIELMI Simon (GROUPAMA – FDJ / FRA) +41
6. BATTAGLIN Enrico (BARDIANI CSF FAIZANE’ / ITA) +44
7. KLUGE Roger (LOTTO SOUDAL / GER) +1:23
8. GAVAZZI Francesco (EOLO-KOMETA CYCLING TEAM / ITA) +1:37
9. VAN DER HOORN Taco (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / NED) +1:43
10. NAESEN Lawrence (AG2R CITROEN TEAM / BEL) +1:59

11. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +3:09
12. BUCHMANN Emanuel (BORA – HANSGROHE / GER) +3:12
13. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +3:32
14. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +3:35
15. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +3:35
18. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +3:41
19. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +4:56
24. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +5:07
26. EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) +5:17
27. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +5:17
65. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +18:59

■第11ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) 42:35:21
2. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +45
3. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +1:12
4. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +1:17
5. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +1:22
6. BUCHMANN Emanuel (BORA – HANSGROHE / GER) +1:50
7. EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) +2:22
8. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +2:24
9. FOSS Tobias S. (JUMBO-VISMA / NOR) +2:49
10. MARTINEZ POVEDA Daniel Felipe (INEOS GRENADIERS / COL) +3:15
85. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +1:16:42

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):SAGAN Peter (BORA – HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):BOUCHARD Geoffrey (AG2R CITROEN TEAM / FRA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL)
※第12ステージは VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS)が着用
■チーム成績 : INEOS GRENADIERS (GBR)


第12ステージはアペニン山脈横断

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●第12ステージのコースプロフィール(MAP :RCS Sport)

5月20日はトスカーナ州のシエナから、エミリア・ロマーニャ州のバンニョ・ディ・ロマーニャまでの212kmで、カテゴリー2と3の峠を4カ所越えてアペニン山脈を横断する、中級山岳区間の第12ステージが行われる。

ジロ・デ・イタリア公式サイト

ジロ・デ・イタリア2021はJ SPORTSで全21ステージ生中継/ライブ配信
 
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