ジロ・デ・イタリア2021第6ステージはメーダー優勝/ヴァルタ総合首位

  • photo LaPresse / ©Bettiniphoto

イタリアで開催中の第104回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月13日にグロッテ・ディ・フラザッシから、標高1090mでカテゴリー2のサン・ジャコモ頂上(アスコリ・ピチェーノ)までの160kmで第6ステージを競い、スイスのジーノ・メーダー(バーレーン・ヴィクトリアス/24歳)が独走で逃げ切り、グランツール初優勝となる区間初優勝を果たした。

ジロ・デ・イタリア

メーダーが逃げ切り、総合のエースを失ったチームに区間優勝をもたらした(photo : LaPresse)

逃げ切ったメーデルの後方では、総合争いのグループが形成され、コロンビアのエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアズ)が区間2位、アイルランドのダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)が区間3位に入った。

前日までの総合成績で上位だったベルギーのレムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ)は、ベルナルのグループでゴールして区間4位になり、誰もが彼が総合首位になったと確信した。

ジロ・デ・イタリア

残り1.5kmでアタックしたベルナルを追うエヴェネプール、チッコーネ、マーティン(photo : LaPresse)

しかし、エヴェネプールよりも総合上位で、新人賞のマリア・ビアンカを着用していたハンガリーのアティラ・ヴァルタ(グルパマ・FDJ/22歳)が、29秒遅れの区間12位でゴールし、エヴェネプールに11秒差で総合首位に立ち、マリア・ローザを獲得した。

ハンガリー出身の選手がグランツールでリーダージャージを着用したのは、史上初の快挙だった。しかも、フランスのグルパマ・FDJがジロでマリア・ローザを獲得したのは、2004年のブラッドリー・マクギー(オーストラリア)以来の事だった。

ジロ・デ・イタリア

ハンガリーのヴァルタがサプライズなマリア・ローザになった(©Bettiniphoto)


ドンブロウスキーが不出走

第6ステージは179選手が出走。第5ステージの落車で脳震盪を起こしていた米国のジョゼフロイド・ドンブロウスキー(UAEチーム・エミレーツ)は、前夜の検査でバランス障害が見つかり、ジロを棄権する事になった。彼は山岳賞総合首位だった。

ドンブロウスキーがスタートしなかったため、山岳賞のマリア・アッズーラは再びイタリアのヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(エオロ・コメタ サイクリングチーム)の手に戻った。

第5ステージでドンブロウスキーと一緒に落車し、そのまま救急車で搬送されてレースを棄権していたスペインのミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)は、鎖骨と肋骨を骨折していた。

スタートからアタックと吸収が繰り返された後、22km地点で5選手が集団から逃げ出す事に成功し、前日に総合のエースを失ってしまったバーレーン・ヴィクトリアスのメーダーとマテイ・モホリッチの2人がここに加わっていた。54.7kmの中間スプリント地点を通過した後、バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)とジョフレ・ブシャール(AG2R・シトロエンチーム)が追いつき、先頭の逃げグループは8人になった。

ジロ・デ・イタリア

(photo : LaPresse)

レースは中盤から雨が激しく降り出した。88.1km地点のカテゴリー2のフォルカ・ディ・グァルド峠はブシャールが先頭で通過。集団とのタイム差は5分7秒だった。

集団では、上りでフィリッポ・ガンナを先頭にしたイネオス・グレナディアズが引き続け、マリア・ローザを着たアレッサンドロ・デマルキ(イスラエル・スタートアップネイション)は早々に遅れ始めてしまった。ゴールまで残り62kmで、メイン集団は40人ほどに絞られていた。

続くカテゴリー3のフォルカ・ディ・プレスタ峠は、モホリッチが先頭で通過した。ゴールの峠へと向かう下り坂で、先頭はモホリッチ、メーダー、モレマ、ダリオ・カタルド(モビスターチーム)の4人になった。

集団からは下りでジューリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)がアタックし、ロマン・バルデ(チームDSM)、アルベルト・ベッティオール(EFエディュケーション・NIPPO)と一緒に先頭の逃げを追った。しかし、ガンナが引き続ける集団は、最後の峠が始まる前に先頭を逃げる4人以外の選手を全て捕まえてしまった。

ジロ・デ・イタリア

激しい雨の下、総合争いがスタート(photo : LaPresse)

ゴールまで残り15.5kmで最後の峠がスタート。逃げと集団のタイム差は3分を切っていた。残り13.3kmでモホリッチは力尽き、先頭は3人になった。ここからゴールまで残り3.3kmでメーダーがアタックし、独走を開始した。

集団は残り4kmでドゥクーニンク・クイックステップのファウスト・マスナダとジョアン・アルメイダがエヴェネプールのために先頭を引き始めた。ここから最初にダニエルフェリペ・マルティネス(イネオス・グレナディアズ)がアタックした後、ゴールまで残り1.5kmでベルナルがアタック。チッコーネ、エヴェネプール、マーティンが追走し、4人でゴールを目指した。

残り1kmのフラム・ルージュを通過した時、先頭のメーダーはまだベルナルのグループに34秒のタイム差を持っていた。彼はそのまま逃げ切り、総合のエースを失ったチームに区間優勝をもたらした。

メーダーは今年のパリ~ニース第7ステージでも独走で逃げたが、プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)にゴール手前50mで抜かれて区間優勝を逃した苦い経験があった。この日は逃げ切って区間優勝しただけでなく、山岳賞でも総合首位になり、マリア・アッズーラも獲得している。

第4ステージの中級山岳区間で集団から逃げ切り、エヴェネプールよりも28秒早い総合4位で第6ステージをスタートしていたヴァルタは、区間優勝したメーダーに29秒遅れの区間12位でゴールし、エヴェネプールに11秒差を付けてマリア・ビアンカからマリア・ローザに着替えた。彼は怪我で欠場したティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)のアシストとしてジロに参加していた。

ジロ・デ・イタリア

区間優勝したメーダーは山岳賞のマリア・アッズーラも獲得した(photo : LaPresse)

■ジロで逃げ切って区間初優勝したメーダーのコメント
「昨日はミケル・ランダを失い、我々にとってとても悲しい日だった。今日我々は、彼に敬意を表して走ることに決めた。マテイ・モホリッチがとても強かったから、ボクは何とかこれをやり遂げることができた。最後はパリ〜ニースのように捕まる事を恐れたが、最後は素晴らしい勝利だった」

■サプライズなマリア・ローザを獲得したヴァルタのコメント
「エヴェネプールとベルナルをがっかりさせて申し訳ないが、彼らにはチャンスがあるだろう。今日は何とか彼らに付いて行った。ゴールが近づくほど、マリア・ローザが着られると確信した。ボクはこのジャージのために、自分の人生と戦ってきた。それが起きてとても嬉しい。(去年の)アルメイダがしたように、リードを長く維持したい。これはボクにたくさんの自信を与えてくれる。将来、最終日にマリア・ローザを獲得するために戻って来たい。ジロがブダペストで開幕し、自分がそのレースの一部になることを今でも望んでいるよ」


■第6ステージ結果

[5月13日/グロッテ・ディ・フラザッシ~アスコリ・ピチェーノ(サン・ジャコモ)/160km]
1. MÄDER Gino (BAHRAIN VICTORIOUS / SUI) 4:17:52
2. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +12
3. MARTIN Daniel (ISRAEL START-UP NATION / IRL) +12
4. EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) +12
5. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +14
6. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +25
7. MARTINEZ POVEDA Daniel Felipe (INEOS GRENADIERS / COL) +25
8. SOLER Marc (MOVISTAR TEAM / ESP) +27
9. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +29
10. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +29

11. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +29
12. VALTER Attila (GROUPAMA – FDJ / HUN) +29
13. BUCHMANN Emanuel (BORA – HANSGROHE / GER) +40
14. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +40
18. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +57
22. VERVAEKE Louis (ALPECIN-FENIX / BEL) +1:12
114. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +24:49
136. DE MARCHI Alessandro (ISRAEL START-UP NATION / ITA) +24:49

■第6ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. VALTER Attila (GROUPAMA – FDJ / HUN) 22:17:06
2. EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) +11
3. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +16
4. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +24
5. VERVAEKE Louis (ALPECIN-FENIX / BEL) +25
6. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +38
7. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +39
8. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +41
9. MARTIN Daniel (ISRAEL START-UP NATION / IRL) +47
10. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +49

14. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +1:14
16. BUCHMANN Emanuel (BORA – HANSGROHE / GER) +1:40
17. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +1:43
127. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +51:47

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):NIZZOLO Giacomo (TEAM QHUBEKA ASSOS / ITA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):MÄDER Gino (BAHRAIN VICTORIOUS / SUI)
■新人賞(マリア・ビアンカ):VALTER Attila (GROUPAMA – FDJ / HUN)
※第7ステージは EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) が着用
■チーム成績 : BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)


第7ステージはアドリア海岸のスプリント・ステージ

ジロ・デ・イタリア

●第7ステージのコースプロフィール(MAP :RCS Sport)

5月14日はアブルッツォ州のノタレスコからモリーゼ州のテルモリまでの181kmで、アドリア海岸線を南下する第7ステージが行われる。序盤は丘越えが続くが、後半は平坦なスプリント・ステージだ。

ジロ・デ・イタリア公式サイト

ジロ・デ・イタリア2021はJ SPORTSで全21ステージ生中継/ライブ配信
 
GCN+ ライブ配信 (globalcyclingnetwork.com)
 
ジロ・デ・イタリア2021開幕情報(スタートリスト)
 
チクリッシモ no.64 ワールド&プロチームガイド/選手名鑑号2021 発売中