ピアンカバッロ頂上ゴールのジロ・デ・イタリア2020 第15ステージはゲーガンハートが初優勝/アルメイダがマリア・ローザを死守!

  • photo LaPresse / ©Bettiniphoto

イタリアで開催中の第103回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、10月18日にバーゼ・アエレア・リボルト(リボルト空軍基地)からカテゴリー1のピアンカバッロ頂上までの185kmで第15ステージを競い、英国のテイオ・ゲーガンハート(イネオス・グレナディアズ)が、オランダのウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)をゴール勝負で下し、グランツール初優勝となる区間初優勝を果たした。

ジロ・デ・イタリア2020

ゲーガンハートがイネオス・グレナディアズに区間5勝目をもたらした(©Bettiniphoto)

区間3位にはケルデルマンの山岳アシストとしてゴールまで働き続けたオーストラリアのジャイ・ヒンドリー(チームサンウェブ)が入った。

マリア・ローザのジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は、ゴールまで残り7kmで先頭グループから脱落し、ピアンカバッロを単独で上らなければならなくなったが、苦しみながらも何とか遅れを最小限に留める事ができ、ケルデルマンに対して15秒差で総合首位の座を死守した。

22歳のアルメイダは、これで13日間マリア・ローザを守り、2018年のサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)の記録に並んだ。19日は2度目の休養日となり、アルメイダはマリア・ローザを着てジロ最終週に臨む事になった。

ジロ・デ・イタリア2020

22歳のアルメイダがマリア・ローザを死守した(©Bettiniphoto)


ヴィスコンティが逃げに加わり、山岳賞で総合首位

第15ステージは141選手が出走。前日の個人タイムトライアルで落車して負傷したフアンセバスティアン・モラノ(UAEチーム・エミレーツ)が出走しなかった。12人が2km地点から逃げ始め、地元イタリアのジョヴァンニ・ヴィスコンティ(ヴィーニザブ・KTM)とローハン・デニス(イネオス・グレナディアズ)が加わっていた。

第9ステージで逃げた時、レース中に一度山岳賞で暫定首位になっていたヴィスコンティは、そのステージで区間優勝して以来マリア・アッズーラを守っているルベン・ゲレイロ(EFプロサイクリング)と山岳賞でのポイント差がたった11ポイントだった。

ヴィスコンティは前半に越えた2つのカテゴリー2の峠を先頭で通過し、山岳賞総合で首位に立った。しかし、3つ目のカテゴリー2の峠では、デニスに置いていかれてしまった。143.4km地点の頂上を単独で越えたデニスはそのまま逃げ続け、最後のピアンカバッロ(カテゴリー1)を先頭で上り始めた。

ゴールまで残り11kmで、20人ほどに減ったマイヨ・ジョーヌ集団と先頭のデニスのタイム差はまだ50秒ほど開いていた。しかし、チームサンウェブが先頭を引き、1.5km先でデニスは吸収された。マイヨ・ジョーヌ集団からは、チームサンウェブの加速に耐えられなくなった選手たちが次々と遅れ、残り9kmを切った所でヴィンチェンツォ・ニバリ(トレック・セガフレード)も遅れてしまった。

ジロ・デ・イタリア2020

ケルデルマンをアシストしたクライマーのヒンドリーは総合3位になった


アルメイダがマリア・ローザを死守

ケルデルマンをアシストするヒンドリーのスピードに、最後まで付いて行けたのはゲーガンハートだけだった。マリア・ローザのアルメイダは残り7kmで脱落し、自分のペースでゴールを目指す事を選択した。フラム・ルージュを通過し、ヒンドリーが仕事を終えた後は、ゲーガンハートが満を持してスパート。彼はケルデルマンを難なく下し、イネオス・グレナディアズに今大会5勝目をもたらした。

カテゴリー1のピアンカバッロ頂上で、マリア・ローザのアルメイダは善戦し、総合2位のケルデルマンに対して35秒しか失わなかった。例えケルデルマンが区間優勝して10秒のボーナスタイムを獲得していたとしても、総合首位が変わる事はなかった。

しかし、22歳で今回のジロはグランツール初参加というアルメイダに対し、29歳で経験豊富なケルデルマンは、総合でたった15秒差にまで迫っている。驚いた事に、ピアンカバッロでケルデルマンをアシストしたクライマーのヒンドリーは、総合成績を10位から3位まで上げてしまった。区間優勝したゲーガンハートも、総合11位から4位へと順位を上げている。

ジロ・デ・イタリア2020

ポルトガルのアルメイダがマリア・ローザを守り、ジロは最終週へと突入する

■区間初優勝したゲーガンハートのコメント
「ゲラント・トーマスは絶好調だったから、我々は明確な計画を持ってジロに来た。シチリアの(第3ステージの)ニュートラル・ゾーンでの落車のせいで、想定していたようには進まなかったが、我々はこの信じられないような年の残りを最大限に活用しようと努力している。このジロでは、チームメート全員がボクに大きな意気込みを与えてくれた。総合成績の事は考えていない。最終週にビッグネームたちがこのレースで何か素晴らしい事を試みるだろうとわかっているからね」

■2週目の終わりにマリア・ローザを守る事ができたアルメイダのコメント
「マリア・ローザをキープできてとても嬉しいよ。最後の上りでは一瞬、それを失うだろうと思った。全体的には、ボクにとってポジティブなステージだった。今日はすごく調子がいいと感じているけど、自分よりも強い選手たちがいただけさ。このジロは残り6ステージになった。自分がどこまで行けるか楽しみだ。こんなに長いレースはしたことがない。でも、まずは明日の休養日が楽しみだ。間違いなく、自分の心をちょっと休ませる必要があるよ」

ジロ・デ・イタリア2020

地元イタリアのヴィスコンティが山岳賞のマリア・アッズーラを獲得した

■第15ステージ結果[10月18日/バーゼ・アエレア・リボルト~ピアンカバッロ/185km]
1. GEOGHEGAN HART Tao (INEOS GRENADIERS / GBR) 4:58:52
2. KELDERMAN Wilco (TEAM SUNWEB / NED) +2
3. HINDLEY Jai (TEAM SUNWEB / AUS) +4
4. ALMEIDA Joao (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR) +37
5. MAJKA Rafal (BORA – HANSGROHE / POL) +1:22
6. KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT) +1:29
7. KNOX James (DECEUNINCK – QUICK – STEP / GBR) +1:36
8. BILBAO Pello (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) +1:36
9. FUGLSANG Jakob (ASTANA PRO TEAM / DEN) +1:36
10. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +1:36
11. MASNADA Fausto (DECEUNINCK – QUICK – STEP / ITA)
12. POZZOVIVO Domenico (NTT PRO CYCLING / ITA) +1:54
83. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN – MCLAREN / JPN) +32:02

■第15ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. ALMEIDA Joao (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR) 59:27:38
2. KELDERMAN Wilco (TEAM SUNWEB / NED) +15
3. HINDLEY Jai (TEAM SUNWEB / AUS) +2:56
4. GEOGHEGAN HART Tao (INEOS GRENADIERS / GBR) +2:57
5. BILBAO Pello (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) +3:10
6. MAJKA Rafal (BORA – HANSGROHE / POL) +3:18
7. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +3:29
8. POZZOVIVO Domenico (NTT PRO CYCLING / ITA) +3:50
9. KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT) +4:09
10. MASNADA Fausto (DECEUNINCK – QUICK – STEP / ITA) +4:12
12. FUGLSANG Jakob (ASTANA PRO TEAM / DEN) +5:07
90. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN – MCLAREN / JPN) +2:29:01

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):DEMARE Arnaud (GROUPAMA – FDJ / FRA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):VISCONTI Giovanni (VINI ZABU’ BRADO KTM / ITA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR)
(※第16ステージは HINDLEY Jai (TEAM SUNWEB / AUS) が着用)
■チーム成績 : INEOS GRENADIERS (GBR)

ジロ・デ・イタリア2020

(©Bettiniphoto)


ジロ・デ・イタリア公式サイト