女子Qリーグ、中学生Nリーグ2025-2026シーズン第7戦:しもふさクリテリウム9月結果
目次
サイクルロードレースの女子リーグ「クイーン・リーグ(Qリーグ)」、中学生リーグ「ニュー・エイジ・リーグ(Nリーグ)」第6期 2025-2026シーズン第7戦「しもふさクリテリウム 9月」が9月7日(日)、台風一過の残暑のなか千葉県成田市・下総運動公園で開催された。

強い日差しが照りつける中、スタートを切る中学生クラスの参加選手たち(Photo:gg_kasai)
この大会はサイクルロードレース協会東日本(MATRIX)主催で、会場内にある1周回・約1.5kmの常設サイクリングコースで行なわれ、“しもふさクリテ”の通称で親しまれている人気の高い大会。今回もトップクラスのほか、ジュニアやキッズ、女子でも多くの参加者が集まるなか、対象レースをQリーグとNリーグ中学生女子NWはレディースクラス、Nリーグ中学生男子Nは中学生クラスに設定した。
プログラムはサイクルクリニックからスタート。今回は特別に大会実行委員長の中川康二郎氏が講師を担当し、走行前のヘルメット装着や自転車のチェックから、今大会のコースで注意するべきポイントなどきめ細かいアドバイスをしてコース試走へ。この流れは5回のレース試走ごとにレース普及目的で毎回実施される。
初参戦や、久しぶりの出場になるライダーはもちろん、普段からレース出場しているライダーにとっても再確認にもなり、安心・安全にレースに臨める配慮だ。さらにサイクルクリニックの時間外でも、会場内にスラローム走行ができるスペースも設け、特にキッズ選手達にはレース前のちょっとしたウォームアップにも利用されていた。
今回はうれしいサプライズが2つも。1つ目は成田市のマスコットキャラクター・うなりくん登場!レース表彰式を盛り上げ、会場に居合わせた観客や参加者の皆さんとの撮影にも応じていた。成田市は昨年、市政70周年を迎え、その市内で長年定期的に開催されている定番自転車レースとして特別に来場したようだ。うなりくんは「ゆるキャラグランプリ 2017」優勝の実力を持ち人気が高く、さまざまなイベントに呼ばれ成田市民でも直接会える機会が少ないので、出会えた皆さんは非常にラッキーだった。

元実業団ロード選手の経験を活かした指導が中川氏から受けられるサイクルクリニックは好評 Photo:QNリーグ事務局

右:成田市の人気マスコットうなりくんと並ぶチーム MATRIX POWERTAG所属選手達、そして小林海氏(左端)Photo:QNリーグ事務局
2つ目のサプライズは、大会ホストチームでJプロツアーを中心に活躍するチームMATRIX POWERTAGの所属選手達とともに、今年6月に開催された全日本選手権ロードレース・男子エリートで2連覇を果たし、その表彰式の場で電撃引退を発表した小林海(マリノ)氏の来場。昨年に初めて全日本チャンピオンとなった際、着用したチーム MATRIX POWERTAGのロゴ入りチャンピオンジャージ姿で登場した際には、会場にどよめきが起こった。
第1レースとなる120分エンデューロは朝8時10分からスタート。参戦ライダーをチーム MATRIX POWERTAGの所属選手達がエスコート。会場では今回も協賛の出展ブースや飲食屋台が立ち並び、さまざまな自転車関連ブースでの買い物や、朝から晴れて気温が上がるなかで冷たい飲み物やカキ氷などに人気が集まった。

今回も多くの出展ブースが並んだ会場では、メーカーなどに直接、気になることが聞けるチャンスの場。Photo:QNリーグ事務局

昨年のNリーグ中学生男子N総合ポイントリーダー西澤崇介(写真右)は、リーグ年間特別賞・協賛である鼻パッドが無い形状が特徴のスポーツサングラス Airflyのブースで選定と調整を担当してもらっていた(Photo:QNリーグ事務局)
その後は個人タイムトライアル、キッズの年齢別クラスレースを経て、「レースイベント参加に不安を感じている方や、以前レースに参加したことはあるが期待ほどの結果を残せず参加を諦めてしまった方などのために、今回30分の疑似レースを経験してもらいたい」という狙いで、以前より改定された“フレッシュ・エンデューロ”も開催。今後さまざまな自転車レースにチャレンジしてみたいと考えるビギナーには、非常に良いレース体験の機会だ。
NリーグNW首位の岡田愛裕來はレディースクラス2位
昼過ぎの12時55分にはレディースクラス、そして小学生チャンピオンクラスが時差スタート。
11人エントリーのスタート地点には、Nリーグ中学生女子NWはバトルマリンジャージの岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツエン U15)が最前列の中央に陣取り、その横には現在 NWポイントランキング2位に付ける板垣美希(ベルエキップ)、さらには久しぶりに今大会へ参戦するNリーグNW卒業生の小田島寛奈(#1-PRIMERA-)が並び、女子ジュニア選手達の闘いが楽しみとなった。

大会MCシンジ氏の紹介アナウンスに応えるバトルマリンジャージ姿のブラウ岡田(Photo:gg_kasai)
女子エリート勢もQリーグの現ポイントランキング2位につける根本香織(Team一匹狼)や、増輪心(Team一匹狼)などメンバーが揃い気合十分。一方で、Qリーグ現ポイントリーダーの岡本彩那(SPECIALIZED UTSUNOMIYA)、そして佐藤直美(Yahoo! JAPAN Cycle Racing team)が欠場となり、強豪選手によるトップ空席を虎視眈々と狙う展開が予想された。

メイン集団の隙を衝いて時折、アタックしながら様子を見る小田島(写真右)(Photo:gg_kasai)

中盤からのスピードアップに対応する根本(写真左)と岡田(写真中央)は先頭集団に残る(Photo:gg_kasai)
1周回1.5kmのコースを5周回するレディースクラスの1周目は集団がひとつ。リーグ開幕戦だった“しもふさクリテリウム 5月”では、序盤からハイスピードの展開となったが、今回も1周目は2分23秒、2周目には2分26秒と若干、速いペースで進む。
そのため3周目から小田島を先頭に、岡田、根本、そして中島深希(TEAM KOBATON)の4人が先頭集団を形成。その後ろ約10秒のタイム差でNリーグNWの板垣を含む3人が追いかける展開となった。

追いかける後続集団から最後まで逃げ切った小田島。この後はアジア選手権が待っている(Photo:gg_kasai)
レースは残り1周に入ったコントロールラインで若干、先行していた小田島が、そのまま先行を守り優勝を決めた。ゴール後に本人に聞くと、じつは体調があまり良くなかったので、スタートから中盤までは一緒にいた集団の様子を見ながら走っていたとのこと。
「中盤を過ぎて少しスピードを上げながら、残り 1周回に入る少し前の短い登坂でペースを一気に上げて、再度様子を見ようと思ったら予想よりも後ろの集団が離れたので、ゴールまで頑張って踏んで(後続集団から)ギリギリ逃げ切られました」と安堵の表情を見せていた。
彼女は10月にバーレーンで開催されるロードレースの日本代表チームメンバーに選ばれていており、ロードレースだけでなくタイムトライアルレースにも出場するとのことで、「その準備も含めて今後もトレーニングを積みます!」と元気に語ってくれた。Nリーグでの経験をぜひ海外のレースでも糧にして発揮して欲しい。

3人の集団から早く飛び出した岡田が2位に入り、バトルマリンジャージを守った(Photo:gg_kasai)

レディースクラス表彰。表彰台の左より2位・岡田、優勝・小田島、3位・中島(Photo:gg_kasai)
優勝を決めた小田島に遅れること3秒で、3人のゴールスプリントを制した岡田が2位となり、ポイントを積み上げバトルマリンジャージを守った。3位には中島、4位にはスタート前に「最近、練習が不足していたので自信がない」と不安を滲ませていた根本が入り、最後まで先頭集団に残る粘りを見せた。
EXLUB・Nリーグ中学生女子NWポイントリーダー授与式で、岡田は今回のレースを振り返って「今回のレースはスピードも速くて、残り1周で判断をミスって思いきりいけなかったので、次はシッカリ(先頭に)付いていけるように頑張ります!」と力強いコメント。
優勝した小田島の走りについては「カッコ良かったです」と答えながらも、良きライバルとして目標にしているようだ。次戦の参加は箱根ヒルクライムとなるようで「タイム更新を狙います!」と第4戦あぶくま洞ヒルクライムで達成したタイム更新を再び狙う勢いを宣言した。

中学1年生の頃からNリーグに登録し、バトルマリンジャージを守り続けるブラウ・ブリッツェン岡田。その成長の過程をリーグでの活躍を通して、今後も応援いただきたい(Photo:gg_kasai)
中学生クラス優勝の渡邉公太がバトルマリンジャージ奪還
この後も強い日差しのなかジュニア強化レースなどさまざまなレースが行なわれ、いよいよ中学生クラスがスタートとなる午後3時過ぎには風も一層強くなった。特にゴールに向かう上り坂が向かい風のため、ここでの早めの動きがポイントとなりそうだ。
スタートラインでは、前回の第5戦「小野こまちロードレース」で獲得したバトルマリンジャージを纏う柬理日楠詩(TeamFITTE)が、MCシンジ氏から紹介コールを受けて観客の声援に応えるも、少し緊張の様子。その隣にいる、ポイントランキング2位の渡邉公太(ブラウ・ブリッツエン U15)と軽く言葉を交わしながら号砲を待つ。そして3時17分の定刻に、総勢24人が8周回=12kmの闘いに挑んでいった。

中学生クラスのスタートを前に緊張の面持ちを見せるブラウ渡邉(左)と FITTE柬理(右)Photo:gg_kasai
1周目からペースは速く、真新しいバトルマリンジャージ姿の柬理を先頭にした大きな集団が2分08秒で周回を終えてコントロールラインを通過。そのため早々に4人がメイン集団からこぼれてしまう。2周目からは少しペースが落ち着いたものの、続々とメイン集団から遅れて3周目にはメイン集団は13人にまで絞られ、そのタイミングでいったんペースが落ちつく。

未来を担う中学生達の熱い走りを応援する観客の皆さん。声援も熱い!(Photo:gg_kasai)

拮抗するメイン集団の中でバトルマリンジャージ姿の柬理(中央)はマークされる(Photo:gg_kasai)
しかし5周目に、今大会でNリーグ対象レース初参加となった佐谷輝成(#1-PRIMERA-)がアタックをかけて、追いかけるメイン集団のペースが一気に上がり長く引き伸ばされる状況に。この佐谷の逃げはほどなく集団に吸収されたものの、このアタックで目が覚めたように集団は活性化、中盤では2分20秒近いペースまで落ちていたラップタイムが残り 1周回では2分06秒までペースアップした。

狙いすませたアタックで優勝を決め、バトルマリンジャージ奪還に成功したブラウ渡邉(Photo:gg_kasai)
そして13人に戻ったメイン集団から、強い向かい風の吹く上りの左カーブでいち早く飛び出したのは渡邉。ゴール後のインタビューでも教えてくれたように「最後は行ける!となったタイミングで行け!とコーチにアドバイスをもらっていたので、思い切って飛び出しました」と長くブラウ・ブリッツェンのコーチを務める、現・宇都宮ブリッツェンコーチ鈴木真理氏のアドバイスが非常に役立ったようだ。そのままタイミング良く飛び出した勢いで、見事優勝を果たした。
その後ろでは 1秒差まで迫った植松大晃(COWGUNMA)と PRIMERA佐谷の一気撃ちで植松に軍配が上がり2位、3位に佐谷が入った。ゴール後に佐谷は「作戦どおりに走れたと思います。スタートから積極的に集団の前方で動いてとにかく前で!前で!を意識していました」とうまくコントロールし動けたことを冷静に振り返っていた。

メイン集団のゴールスプリントは中央から右へ2、3、4位となった。ライン取りも成敗を分けたようだ(Photo:gg_kasai)
次戦の抱負は「前回はメイン集団に付いていけなかったので、今回はシッカリと最後まで付いていって表彰台を獲得したいです」と自信をみせた。一方で、ゴール後に「最後(佐谷と渡邉)2人の番手も見えていたのでしたが、スプリントの体制に入るのが遅れてしまって。(ラインも)膨らんでしまったので、一生懸命に追い上げたのですが 3位に入れなかったです」と語ったように、ライン取りの運が悪く柬理は4位に。
このためNリーグのランキングは、優勝した渡邊が28ポイントを獲得し合計100ポイント。柬理は4位のため12ポイントの獲得で合計96ポイントとなり、僅か4ポイント差でランキングトップが逆転し、渡邉がバトルマリンジャージの奪還に成功した。
R×L・Nリーグ中学生男子 Nポイントリーダー授与式では、バトルマリンジャージ姿で臨む次戦が地元でのレースとなる渡邉は笑顔をみせながら「自分でレースを動かして、勝てるようにします!」とバトルマリンジャージを守り通すことを誓った。

中学生クラス表彰式。左から2位・植松、優勝の渡邉、3位・佐谷(Photo:gg_kasai)

久しぶりの対象レース優勝とバトルマリンジャージ奪還で笑顔を見せるブラウ渡邉(Photo:gg_kasai)

レース後のインタビューに答えてくれた Nリーグ登録勢は普段から仲良し!左から PRIMERA佐谷、FITTE柬理、ブラウ・ブリッツェンの渡邉と岡田(Photo:gg_kasai)
そんな渡邉にジャージを奪われた柬理は、バトルマリンジャージの重さを感じたのでは?という問いに対して「いやあ、重いっすねー」と苦笑。
力が拮抗していた今レースは難しかったのでは?という問いには「難しかったのは確かなのですが、逃げるのにビビッてしまったのが何よりも良くなかったので克服したい」と反省しつつ、「スプリントはもちろんですが、思い切った走りで逃げられるように頑張ります。次回は勝つしかないです。出し切れる力を出し切って走りたいです!」とバトルマリンジャージの奪還を誓った。
次戦(9/13)わたらせクリテリウム第2戦で「スキルアップ!レーススクール」開催
次戦は第8戦の9月13日(土)に栃木県栃木市・藤岡渡良瀬運動公園内・わたらせサイクルパークで開催される「わたらせクリテリウム第2戦」となる。このリーグシリーズ戦はNリーグの中学生男子Nと中学生女子NWが対象となり、Qリーグは対象外となる。
今まで特設コースを左回りで行なわれていた大会が、逆の右回りで開催される。そのため、右コーナーの処理がポイントとなるだろう。さらに左回りよりも、今回の右回りでは最終コーナーからの立ち上がりから、ゴールまでの距離が若干、遠くなるためにスプリントのタイミングに気を付ける必要がある。
また、Nリーグ=中学生については、1年生の「エスポワール B」と 2・3年生の「エスポワール A」とクラスが 2つに分かれ、それぞれのレース結果に応じてポイントが付与される。そのため中学1年生の Nリーグ登録選手にはポイント大量獲得のビッグチャンスとなるだろう。

昨年のわたらせクリテリウム、エスポワール Aクラスのスタート模様(Photo:QNリーグ事務局)
そして当日の午前中には、QNリーグ主催のスキルアップ!レーススクール「まもなくシーズンイン!シクロクロスから学ぶコントロール術」を実施する。少人数のゲーム感覚で学べるスクールで、舗装路のみを走るので、どんな車種でも参加可能。
各リーグ ポイントリーダー

<写真左よりQリーグ岡本、Nリーグ渡邉、NW岡田の各ポイントリーダー>
Q リーグポイントリーダー:アメジストジャージ
N リーグポイントリーダー:バトルマリンジャージ
提供:Bioracer
アスリチューン賞Qリーグ(高校生以上女子)
ポイントリーダー:岡本 彩那(SPECIALIZED UTSUNOMIYA)・68p
ランキング2位:根本 香織(Team 一匹狼)・28p
ランキング3位:増輪 心(Team 一匹狼)・10p
RxL賞Nリーグ・N(中学生男子)
ポイントリーダー:渡邉 公太(ブラウ・ブリッツエンU15)・100p
ランキング2位:柬理 日楠詩(Team FITTE)・96p
ランキング3位:髙橋 琉登(Komami.Racing)・44p
EXLUB賞Nリーグ・NW(中学生女子)
ポイントリーダー:岡田 愛裕來(ブラウ・ブリッツエンU15)・131p
ランキング2位:板垣 美希(BELLE EQUIPE)・58p
年間総合ポイントリーダー特別賞:Airfly(株式会社ジゴスペック)
※ランキングにおいて同点者が出た場合、最新のレース着順が優位の選手を上位とする。
※最終戦終了時において、同点者が出た場合は、最終戦直前のランキングで優位の選手を上位とする。
※最終戦については、ポイントテーブルに5 点ずつ加算した点数を付与する(最終戦ボーナス)。

ジュニア強化レースでは、小林海氏(写真前列右)が敢闘賞ライダーの選出とプレゼンターを担当。「勇気を持って参加した、素晴らしい!」とジュニア選手達にエールを送った(Photo:gg_kasai)

暑い中のレースとなったが、夏休みの間に積んだ成果を発揮して会場を盛り上げたブラウ岡田(Photo:gg_kasai)

久しぶりに会えた仲間同士で和気あいあい!これからも切磋琢磨して活躍してほしい(Photo:gg_kasai)
<レポート概要>
写真撮影:gg_kasai、QNリーグ事務局
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:サイクルロードレース協会東日本(MATRIX)
*しもふさクリテリウム 9月公式ホームページ
https://shimofusa-criterium.powertag.jp/
2025-2026シーズン Qリーグ・Nリーグ対象レーススケジュールはこちら。
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html
次戦は第8戦となる9月13日(土)「わたらせクリテリウム第2戦」
https://watarase-criterium.jp/race/1368/
Qリーグ・Nリーグ登録はこちら。各対象レース開催日の 3日前まで登録完了すればポイントランキングに反映。今後も女子とジュニア中学生が活躍するリーグにご声援のほどよろしくお願いします!
https://moshicom.com/122291/













