ジロ・デ・イタリア2025 落車で混沌となったスロベニア越境ゴールの第14ステージはアスグレーンが初優勝

イタリアで開催中の第108回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、イタリア北東部ヴェネト州のトレヴィーゾをスタートし、隣国スロベニアへと越境してノヴァ・ゴリツァにゴールする195kmで、中級山岳区間の第14ステージを競い、デンマークのカスパ・アスグレーン(EFエデュケーション・イージーポスト)が独走で逃げ切り、初参加で区間初優勝を果たした。
 

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アスグレーンが独走で逃げ切り、30歳でジロ区間初優勝を果たした (photo : LaPresse)

 
残り25kmの落車事故で予想外の総合シャッフル

メイン集団ではゴールまで残り25kmでスロベニア国境の街ゴリツィアを通過中、狭い路地で落車事故が発生し、マリア・ローザを着たメキシコのイサーク・デルトロ(UAEチーム・エミレーツ・XRG)や前日区間4勝目を上げたマリア・チクラミーノのマス・ピーダスン(リドル・トレック)、総合7位のジューリオ・チッコーネ(リドル・トレック)らが巻き込まれた。

この落車事故の混乱で集団は分断し、マリア・ローザのデルトロは落車に巻き込まれたにもかかわらず16秒遅れの集団でゴールできたが、総合2位のフアン・アユソ(UAEチーム・エミレーツ・XRG/スペイン)、故郷スロベニアがゴールだったプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、コロンビアチャンピオンのエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアズ)は1分4秒遅れの集団でゴールし、総合成績は2位以下が予想外の大シャッフルになってしまった。
 

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サイモン・イェーツとマリア・ローザのデルトロは16秒遅れの集団でゴールした (photo : LaPresse)

 
スロベニア越境区間

第14ステージは170選手がトレヴィーゾからスタート。後半のスロベニア越境までは平坦な道程でアタックが続き、最初の1時間の平均時速は50km/hを超えていた。23km地点でアスグレーンがアタックし、5人の逃げグループが形成された。ゴールまで残り45.7kmで一度スロベニアに入り、最初のカテゴリー4の丘を越えた時、逃げと集団のタイム差は1分半あった。

この日のゴールはイタリアとスロベニアの国境をまたぐローカルサーキットになっていて、フィニッシュラインはスロベニア側にあった。レース終盤は雨が降り始め、ゴールまで残り25kmの国境の街を通過中、集団で落車事故が発生し、レースは一時混沌となった。落車現場ではチッコーネが座り込み、なかなかレースに復帰できなかったが、5分近く遅れてやっとチームメイトたちと一緒に走り出した。彼は結局16分以上遅れてゴールした。

落車の混沌の中で20人ほどが逃げを追走する集団を作り、マリア・ローザのデルトロはそこに入っていたが、新人賞総合2位でマリア・ビアンカを着ていたアユソやログリッチの姿はそこになかった。チームヴィスマ・リースアバイクは総合を争う英国のサイモン・イェーツと区間優勝を狙うオラフ・コーイがこの集団に入っていたため、チームメイトたちが先頭を引いてペースを上げた。

ゴールまで残り10kmで、逃げとマリア・ローザの集団は22秒差、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエが引くログリッチとアユソの集団は1分12秒差だった。前日まで総合3位だったイタリアのアントニオ・ティベーリ(バーレーン ヴィクトリアス)はこの集団からも遅れ、チームメイト3人に引かれてさらに後方を走っていた。
 

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スロベニアの丘を上がる逃げグループ (photo : LaPresse)

 
ゴールまで7.6kmの最後のカテゴリー4の丘を越えた後、逃げグループからアスグレーンがアタックし、そのまま独走で逃げ切って区間初優勝を勝ち取った。勝利を確信したアスグレーンは、ゴール手前150mでもう両手を上げて自らの勝利を祝福していた。

マリア・ローザ集団は16秒遅れでゴールし、デルトロが総合首位の座を守った。前日まで総合2位だったアユソの集団は1分4秒遅れたため、マリア・ローザ集団でゴールしたサイモン・イェーツが1分20秒遅れの総合2位にランクアップし、アユソは1分26秒遅れの総合3位になった。

ログリッチの総合順位は変わらず5位だったが、デルトロとのタイム差は2分23秒に開いてしまった。前日まで総合3位だったティベーリは2分遅れでゴールし、3分2秒遅れの総合8位にまで陥落した。
 

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落車に巻き込まれたにもかかわらず、遅れずにマリア・ローザを守ったデルトロ (photo : LaPresse)

 
■30歳でジロ区間初優勝したアスグレーンのコメント
「タフな1日だった。自転車レースで勝つために、こんなふうに自分自身を痛めつけなければならないのは煩わしいが、うまくいけばそれだけの価値があるからとても嬉しい。チームは今日、そのために行く許可と自由を与えてくれた。その事に感謝している。

グランツールの後半戦に入り、全員が疲れた脚を持っていると分かっていた。今日はそれが逃げを成功させる決め手になった。天候は間違いなく有利に働いた。最後のサーキットは全くテクニカルだった。濡れた路面が、集団が我々を捕まえるのを困難にした。(2023年に)ツール・ド・フランスで区間優勝した後に、ジロで区間優勝するのは素晴らしい。グランツール区間全制覇に1歩近づいたよ」
 

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イタリア空軍のフレッチェ・トリコローリがノヴァ・ゴリツァの空を彩った (photo : LaPresse)

 
■第14ステージ結果

[5月24日/トレヴィーゾ~ノヴァ・ゴリツァ/ゴリツィア(スロベニア)/195 km]
1. ASGREEN Kasper (EF EDUCATION – EASYPOST / DEN) 4:04:40
2. GROVES Kaden Alexander (ALPECIN-DECEUNINCK / AUS) + 0:16
3. KOOIJ Olav (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / NED) + 0:16
4. AULAR SANABRIA Orluis Alberto (MOVISTAR TEAM / VEN) + 0:16
5. OLDANI Stefano (COFIDIS / ITA) + 0:16
6. MAESTRI Mirco (TEAM POLTI VISITMALTA / ITA) + 0:16
7. GEE Derek (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 0:16
8. PIDCOCK Thomas (Q36.5 PRO CYCLING TEAM / GBR) + 0:16
9. CARAPAZ Richard (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) + 0:16
10. HONORÉ Frølich Mikkel (EF EDUCATION – EASYPOST / DEN) + 0:16

12. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 0:16
15. DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) + 0:16
16. YATES Simon Philip (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / GBR) + 0:16
23. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) + 1:04
26. ROGLIČ Primož (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 1:04
31. AYUSO PESQUERA Juan (UAE TEAM EMIRATES XRG / ESP) + 1:04
38. TIBERI Antonio (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 2:00
168. CICCONE Giulio (LIDL-TREK / ITA) + 16:14

■第14ステージ後の総合成績(マリア・ローザ)
1. DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) 50:37:55
2. YATES Simon Philip (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / GBR) + 1:20
3. AYUSO PESQUERA Juan (UAE TEAM EMIRATES XRG / ESP) + 1:26
4. CARAPAZ Richard (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) + 2:07
5. ROGLIČ Primož (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 2:23
6. GEE Derek (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 2:54
7. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 2:55
8. TIBERI Antonio (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 3:02
9. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) + 3:38
10. ARENSMAN Thymen (INEOS GRENADIERS / NED) + 3:45

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ): PEDERSEN Mads (LIDL-TREK / DEN)
■山岳賞(マリア・アッズーラ): FORTUNATO Lorenzo (XDS ASTANA TEAM / ITA)
■新人賞(マリア・ビアンカ): DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX)
(※第15ステージは AYUSO PESQUERA Juan (UAE TEAM EMIRATES XRG / ESP) が着用)

 
第15ステージはアルプス山岳区間

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●第15ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

 
ジロ2週目を締めくくる5月25日は、イタリア北部フリウリヴェネツィア・ジュリア州のフィウーメ・ヴェーネトから、ヴェネト州のアジアーゴまでの219kmで、アルプス山岳区間の第15ステージが行われる。コースは中盤に標高1611mでカテゴリー1のモンテ・グラッパ峠を越え、後半にカテゴリー2のドリ峠を上るが、頂上ゴールではない。
 

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(photo : LaPresse)

 

ジロ・デ・イタリア公式サイト

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