ツール・ド・フランス2024 アルプス山岳区間の第17ステージはカラパスが区間初優勝
第111回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月17日にサン・ポール・トロワ・シャトーからカテゴリー3のシュペールデヴォリュイ頂上までの177.8kmでアルプス山岳区間の第17ステージを競い、31歳のリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)が独走で逃げ切り、南米エクアドルに初のツール区間優勝をもたらした。
区間2位は37秒遅れで英国のサイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー)、3位は57秒遅れでスペインのエンリク・マス(モビスターチーム)だった。
カラパスは総合優勝した2019年のジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)で区間3勝、2022年のブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)で区間3勝しており、これでグランツール全てで区間優勝した選手の仲間入りを果たした。
今大会カラパスは第3ステージで総合首位に立ち、エクアドル人として初めてマイヨ・ジョーヌを着たが、翌日のガリヴィエ越えステージで5分以上遅れてしまい、たった1日でそれを失ってしまっていた。このステージの開始時点でも、彼は59分22秒遅れの総合21位だったため、マイヨ・ジョーヌはスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が守った。
スタートから高速でリタイア続出
第17ステージは148人が出走。前日区間2位だったドイツのフィル・バウハウス(バーレーン ヴィクトリアス)とオランダのエルマール・レインデルス(チーム ジェイコ・アルウラー)がスタートしなかった。序盤から高速レースになり、アイルランドのサム・ベネット(デカトロン・AG2Rラモンディアル)、コロンビアのフェルナンド・ガビリア(モビスターチーム)、カザフスタンのアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン チーム)が付いて行けずレースをリタイアした。
アタックと吸収が続いた後、57km地点でマウヌス・コート(ウノエクス モビリティ)、ティシュ・ベノート(チーム ヴィスマ・リースアバイク)、ボブ・ユンゲルス(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、ロマン・グレゴワール(グルパマ・FDJ)が逃げ出す事に成功した。横風の影響もあり、集団は分断と吸収が続いた。
114.8km地点の中間スプリントで、4人の逃げと集団は45秒差だった。集団は前日に落車して右膝を負傷したマイヨ・ベールのビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ)が中間スプリントを先頭で通過した。120km地点で集団から47人の大きな追走集団が抜け出し、カラパスはそこに加わっていた。カテゴリー2のバヤール峠のふもとで先頭の4人と追走集団は1分45秒差、UAEチーム・エミレーツがコントロールするメイン集団は4分50秒差だった。
バヤール峠で追走集団からギヨーム・マルタン(コフィディス)とヴァランタン・マドゥアス(グルパマ・FDJ)がアタックし、先頭の4人を追いかけた。2人は次のノワイエ峠の麓で4人に追いつき、先頭の逃げは6人になった。しかし、カテゴリー1のノワイエ峠が始まると、追走グループからサイモン・イェーツがアタックし、山頂まで残り6kmで6人を追い抜いて先頭に立った。
追走グループからはカラパスもアタックし、頂上まで残り3.3kmで先頭のサイモン・イェーツに追いついた。そして頂上まで残り1.8kmでカラパスがアタックすると、サイモン・イェーツは付いて行けなかった。ゴールまで残り11.6kmの山頂でカラパスはサイモン・イェーツに12秒差、追走するマスに37秒差を付けていた。ここでマイヨ・ジョーヌ集団は9分近く遅れていた。カラパスはそのまま独走でゴールし、ツール区間初優勝を果たした。
マイヨ・ジョーヌのポガチャルがアタック
カテゴリー1のノワイエ峠でジョアン・アルメイダ(UAEチーム・エミレーツ)が引くマイヨ・ジョーヌ集団は11人に絞られていた。山頂が近づくと、そこからマイヨ・ジョーヌのポガチャルがアタックし、山岳賞総合2位でマイヨ・アポワを着ていたヨーナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク)とマイヨ・ブランのレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)が追走したが、山頂でエヴェネプールは7秒差、ヴィンゲゴーは13秒差を付けられてしまった。
下りでヴィンゲゴーは逃げに加わっていたヨーロッパチャンピオンのクリストフ・ラポルト(チーム ヴィスマ・リースアバイク)の助けを借り、エヴェネプールに追いついた後、ポガチャルにも追いつく事ができた。エヴェネプールはゴール手前でそのグループから抜け出す事に成功し、ポガチャルに10秒差を付けてゴールする事ができた。
■第17ステージ結果
[7月17日/サン・ポール・トロワ・シャトー~シュペールデヴォリュイ/177.8 km]
1. R. CARAPAZ (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) 04h 06′ 13”
2. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 00′ 37”
3. E. MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 00′ 57”
4. L. DE PLUS (INEOS GRENADIERS / BEL) + 01′ 44”
5. O. ONLEY (TEAM DSM-FIRMENICH POSTNL / GBR) + 01′ 44”
6. G. MARTIN (COFIDIS / FRA) + 02′ 36”
7. M. CORT (UNO-X MOBILITY / DEN) + 02′ 38”
8. W. POELS (BAHRAIN VICTORIOUS / NED) + 02′ 39”
9. J. JEGAT (TOTALENERGIES / FRA) + 02′ 39”
10. A. ARANBURU (MOVISTAR TEAM / ESP) + 02′ 39”
26. 3. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 07′ 13”
27. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 07′ 23”
28. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 07′ 25”
■第17ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 70h 21′ 27”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 03′ 11”
3. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 05′ 09”
4. J. ALMEIDA (UAE TEAM EMIRATES / POR) + 12′ 57”
5. M. LANDA (SOUDAL QUICK-STEP / ESP) + 13′ 24”
6. C. RODRIGUEZ (INEOS GRENADIERS / ESP) + 13′ 30”
7. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 15′ 41”
8. G. CICCONE (LIDL-TREK / ITA) + 17′ 51”
9. D. GEE (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 18′ 15”
10. S. BUITRAGO (BAHRAIN VICTORIOUS / COL) + 18′ 35”
[各賞]
■ポイント賞:B. GIRMAY (INTERMARCHÉ – WANTY / ERI)
■山岳賞 : T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
(第18ステージは J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) が着用)
■新人賞 :R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL)
■チーム成績:UAE TEAM EMIRATES (UAE)
■敢闘賞 : R. GREGOIRE (GROUPAMA-FDJ / FRA)
第18ステージはアルプスの丘越え区間
7月18日はギャップからバルスロンネットまでの179.5kmで、カテゴリー3の丘を5カ所越える第18ステージが行われる。