SDA王滝グラベル100km優勝者レースレポート

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2023年9月17日(日)に「SDAクロスマウンテンバイク120km/100km/42km/20km」が長野県木曽郡王滝村で開催された。このレースは松原スポーツ公園をスタートし、村内の林道を走破する、チャレンジングなオフロードレースだ。このレースにはMTBカテゴリーと、グラベルバイクカテゴリーの2つが存在する。

今回、グラベルカテゴリー100kmで優勝した松尾 遊さんに、いかにしてこのレースを戦ったのかをレポートしてもらう。

グラベル100kmのレースとは?

SDA王滝グラベル100kmレースレポート

通称「SDA王滝」とも呼ばれている、オフロードのエンデュランスレースとして国内では有名なこのレース。筆者がエントリーしたグラベル100kmカテゴリーがいかなるレースなのか、その雰囲気をお届けしたいと思う。

グラベルカテゴリーのレギュレーション

グラベルバイクには、以下3つのレギュレーションがあり、機材の選択が制限されている。

1:ドロップハンドルであること
2:タイヤは700cは45mm、650Bは48mmまで
3:サスペンション装備可能

国内グラベルレースには、グラベルバイク以外(シクロクロスバイク)で参戦するライダーも多い。なので、SDA王滝グラベルはグラベル・シクロクロスバイクどちらでも参戦できる、絶妙なレギュレーションだと思っている。筆者は今回、YOELEO G21(ヨーレオG21)というグラベルバイクを使用した。

ヨーレオG21

タイヤは、Vittoria TERRENO MEZCAL 44c TLR(ヴィットリア・テレーノメスカル44c TLR)を使用。

テレーノメスカルTLR テレーノメスカルTLRのブロックパターン

王滝は、荒れた路面や尖った石でサイドカットやリム打ちパンクが頻発する。なので、空気圧は前後2.6barという高圧で走った。
タイヤはTLRだが、軽量化とパンク後のタイヤ交換の利便性を鑑み、シーラントにはMAKUHARU(マクハル)を使用した。
また、補給食と予備のチューブは、アクセスしやすいハンドルバーバッグへ収納した。

ゼッケン

王滝はゼッケンをフロントへ貼るが、少しでもエアロになるよう、ORUCASE(オルケース)のハンドルバーバッグにゼッケンを貼っておいた。

ハンドルまわり

パッキングや携行するアイテムチョイスも、自分自身でトラブルを全て解決して、ゴールまで走り切らねばならない本レースの重要な要素だ。
レーススタートは6時〜だが、事前のバイク整列は4時30分。1000人を超えるライダーが同時出走する王滝では、事前のバイク整列で確保するポジションが勝敗を分けかねない。なので、少しでも良い位置でスタートしたいライダーは、遅くとも4時には会場に来る事をオススメする。

冒険へ、いざスタート

スタート前

朝6時、MTB・グラベル含めて同時にスタートした。はじめの5kmはローリングスタートで、以降がリアルスタートとなった。
序盤の上りで、筆者を含む3人でレースは進む。20km~26.5km地点の下りにて先頭を走っていた1人がパンクにてドロップ、もう1人はフロントにショートサスペンションを搭載している事もあり、軽快に下っていた。

筆者は下りが苦手という事もあり、この時は2番手であった。ただ、先頭の選手はタイヤの幅が38cという事もあり、どこかでパンクするのではないかと思っていた。なので、焦らずパンクしないラインを安全に下る事だけを意識した。

レース開始から40km地点あたりの下りで、先頭の選手がパンクにてドロップ。この時点で筆者が先頭となった。上りは軽快に走れるが、王滝の荒れた下りの路面で脚を踏ん張り続けたせいで、下りで脚の前側がつりかける。

そして下り途中で両腿がつり(!)、停車後に草むらへダイブした。つりが治まって再スタートするまでに6分35秒かかり、その間1人に抜かれて2位となる。だが、その先頭ライダーはパンクにてドロップ。

以降76km地点までは先頭を走っていたが、1人に下りで猛烈に追い抜かれた。コースレイアウト的に、その後は12kmの上り&最後は8km程の下りでゴールする。下りゴールでは勝ち目が無いなと思い、この時点で心が折れて2位でも良いかと思ったが、12kmの上りで差をつければ優勝できるかもしれない!

そう思い、上りでアタックする事にした。アタックしている最中、疲労でシフトチェンジする指がつり、上ハンドルを持てなくなる場面もあった。だが、この作戦が成功し、逃げ切って先頭でゴールする事ができた。ゴールのタイムは5時間30分で、MTBを含めた100kmの総合でもシングルリザルトを獲得することができた。

勝因は?

表彰台

結局、パンク含めてトラブルなく走り切れたのが優勝した要因だと感じた。パンク修理を行う場合、チューブ交換だと5分~10分程はかかる。その間、他選手との差を広げてしまう為、王滝はいかにトラブル無く走りきれるかが重要だ。昨今グラベルが国内でも流行りつつあるので、これを期にグラベルレースが増えてほしいと筆者は切に願っている。

 

SDAクロスマウンテンバイク グラベルバイク100km【9月】
1位 松尾遊(チャンピオンシステムジャパンテストチーム) 5:30:19
2位 野中秀樹(ホダカファクトリーレーシング) 5:32:00
3位 梶谷隆太(サンワトーカーズ) 5:33:23