ツールを支えた縁の下の力持ち シマノニュートラルサポートを知る

目次

チームカーに混じる真っ青な車が気になった人も多いはず。レースに欠かせないシマノニュートラルサポートを紹介しよう。

 

シマノブルー

 

サポートの歴史

シマノによるヨーロッパでのニュートラルサポートが始まったのは01年のこと。同社が創業100周年を迎えた21年にツールのニュートラルサポートを開始し、23年で3年目を迎える。ツール以外にも世界選手権やビッグレースをサポート。その名の通り「中立な」サポートであり、出場選手全員を公平にケアするための体制が整えられている。

 

ブルーノ・マレット氏

サポート体制を仕切るチーフディレクターのブルーノ・マレット氏。自ら「シマノブルー」のハンドルを握ってレースを追いかける

 

機材以外のサポート

チームカーが周囲にいない状況で機材トラブルが発生した場合、シマノのニュートラルサポートカーが駆けつけて対応する。最も多いトラブルはホイール交換で対応するパンクだが、他にもボトルやジェルなどの補給にも対応。機材に限らず総合的なサポートを行っている。

 

サポート体制

レース全体をカバーするために、大きくロゴが入ったシュコダのステーションワゴン通称「シマノブルー」3台とモーターサイクル2台が稼働。ルーフラックに搭載されるサポートバイクは合計18台で、車内を含めて合計50以上のホイールが詰め込まれている。当然シマノ以外のコンポーネントにも対応し、多種多様なペダルとディスクローターを準備。スタッフは全選手のサドル高を把握しており、その統計に準じた配分でフレームサイズを用意している。ルーフラックの取り出しやすい位置には、マイヨジョーヌを含む総合上位陣のサイズとペダルに合わせたバイクが搭載されていた。

 

各チームの機材リスト

各チームの使用コンポーネントや変速の段数、ディスクローター径、ペダル、ロック方式を記したリストを後部座席のメカニック用に配置

モーターサイクルに搭載されたホイール

モーターサイクルには1台につきホイール6本を搭載。各種ディスクローターとカセットを用意してトラブルに対応する

 

ここ数年の変化

ディスクブレーキ化が完了した今、キャリパーブレーキ時代よりもホイール交換に時間を要することから「スペアバイクで対応する状況が増えた」とマレット氏。それに伴って搭載するホイールの数を減らし、バイクの数を増やしている。23年からは、NTTデータが提供する位置情報をタブレットで確認可能に。より効率的な車両配置ができる。

 

シマノブルーに搭載されたホイール

ルーフラックに所狭しと並ぶ各種ホイールは毎日洗浄されて臨戦体制。パンク時に回収したホイールはレース後にチームに返却される

デュラエース50周年を祝うペイント

「50年前、全ては始まった」。ピレネーを代表するツールマレー峠に、シマノのデュラエース50周年を祝うペイントが描かれた