安全、観光に自転車活用。東京都の覚悟

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5月31日、東京都江東区の豊洲文化センターで、東京の自転車の未来を考える「東京都自転車政策勉強会」が行われた。

会の出席者は小池百合子東京都知事、都民ファーストの会の白戸太朗都議、森村隆行都議、荒木千陽都議。(一社)グッド・チャリズム宣言プロジェクトの片山右京リーダー。

小池百合子東京都知事

小池百合子東京都知事。「東京を自転車天国に」と語った

小池百合子東京都知事は、「コロナ禍の行動変容で自転車の活用が進み、都内でも利用者が増えてきた。自転車活用を促進するために都としても取り組んでいく」と語った。

サイクルスポーツの読者にはトライアスリートのイメージが強い白戸氏も、都議として5年、2期目を務める。自転車業界出身の知見を生かし、どのように都政に活かしてきたのか、今後の展開について報告が行われた。

自転車の安全利用推進のための走行空間確保。そのために、2030年までに都内に総延長900kmの自転車通行エリア(自転車道や、ブルーラインなど)整備の計画があることや、無電柱化を進めていること。健康促進、観光利用のためのシェアサイクル整備計画があること。タンデム自転車の解禁に向けた動きが報告された。

臨海部レガシースポーツイベント

臨海部レガシースポーツイベントロングコース

臨海部レガシースポーツイベントのロングコース。レインボーブリッジを渡り、海の森公園を回るルート

なかでも今年の目玉となるのが、「臨海部レガシースポーツイベント」だ。東京五輪の競技会場が多数ある東京臨海部をサイクリングで巡るイベントで、レインボーブリッジの高速道路区間や、東京港海の森トンネルといった普段は自転車で通行できない道路を封鎖しての開催が計画されている。

森村たかゆき都議、白戸太朗都議、片山右京チェアマン

森村隆行都議、白戸太朗都議(共に都民ファーストの会)、片山右京臨海部レガシースポーツイベント実行委員長

荒木千陽都議

荒木千陽都議

片山右京氏はこのイベントの実行委員長も務めている。11月23日に3000人規模での開催を予定している。「東京五輪のレガシーを生かしたコース。このイベントを通じて、”自転車っていいね”と思ってもらえることを目指す。自転車をもっと活用しようという気運を高めるきっかけにしたい。東京マラソンのような、象徴的イベントに育てていく。そして、将来的には世界から参加者が来るような魅力あるイベントにしていきたい」と語った。

臨海部レガシースポーツイベント

臨海部レガシースポーツイベントのショートコース。ショートコースは2種類あり、こちらは海の森公園のみを巡るコース

臨海部レガシースポーツイベント

臨海部レガシースポーツイベント、もうひとつのショートコース。レインボーブリッジを往復する

白戸太朗氏は「自転車愛好者にとっては、ずいぶんとコースが短い、と感じられると思う。まずは第1回目を無事に開催し、その実績を持って徐々にコースを充実させていきたい」と語った。

同様のレガシースポーツイベントを、来年度に多摩地区でも計画されている。

臨海部レガシースポーツイベントは目玉だが、これに限らず都内の自転車走行空間の整備計画が距離を含めて具体的な数値が示されたのは評価すべき点だ。今後の整備進捗に期待したい。