アメリカの総合スポーツ自転車ブランド、スペシャライズド（SPECIALIZED）から新登場のマウンテンバイク（MTB）用フラットペダルシューズ「2FO METHOD SHOES（2FOメソッドシューズ）」の特徴を紹介するとともに、使用してみたインプレッションをお届けする。

SPECIALIZED 2FO METHOD SHOES　価格：9900円　カラー：バーチ/ホワイトマウンテン、ブラック/ガム、ブラック　サイズ：38、39、40、41、42、42.5、43、44、45　写真のカラー：ブラック

2FO METHOD SHOESの特徴

2FO METHOD SHOESはMTBトレイルライドやダートジャンプなど、さまざまなMTBシーンに向けたフラットペダル用シューズだ。

まず魅力的なのは価格だ。税込で9900円と1万円を切る。かつカラーは3つもあり、日本国内で手に入るサイズ展開も非常に豊富である。現在、日本国内で（正式に代理店が存在していて）販売されているMTB用フラットペダルシューズは数が少なく、かつ価格もそれなりにするものばかりで、サイズ展開もそこまで豊富ではないものが多いので、まずはこの価格とラインナップだけでも十分に価値がある。

アウトソール部分

アウトソールにはスペシャライズド独自の「スリップノット」と呼ばれるラバーコンパウンドを用いており、他の同社MTB用フラットペダルシューズと遜色のない食いつきの良さを実現しているという。

爪先部分。プロテクションは施されていない

タン部分。靴ひもを束ねて収納する部分は設けられていない

ヒール部分。ヒールカウンターが内蔵されており、かかとのサポート機能も持っている

アッパーにはキャンバス地を用いており、ぱっと見スニーカーのようなカジュアルなルックスをしているのも特徴の一つと言える。

また、ソール構造とインソールには同社お得意の「ボディジオメトリ」が採用されており、人間工学に基づいた設計で股関節・膝・足の位置を適切に保つようサポートする機能が持たされている。

なお、同社には他のMTB用フラットペダルシューズとして、トレイルライド向けの「2FO ROOST FLAT MOUNTAIN BIKE SHOES」（1万4300円）と、ダウンヒル向けの「2FO DH FLAT MOUNTAIN BIKE SHOES」（1万8700円）がある。

2FO METHOD SHOESインプレッション〜食いつき抜群。ソールは柔らかめ

インプレッションライダー：サイクルスポーツ編集部・大宅宏幸。長年ロードバイクに乗っていたが、近年はMTBグラビティライドに取り組んでいる

筆者は普段から前述のトレイルライド向けの2FO ROOST FLAT MOUNTAIN BIKE SHOESを使用している。まず第一印象として、本格的なMTBシューズの仕様をしている前述の2FO ROOST FLAT MOUNTAIN BIKE SHOESと遜色のない高い食いつきの良さが感じられた。

本格的な下り系MTBコースも走ってみたが、ペダルから足が弾かれてしまう不安感がなく、とにかく食いつきが良くて安定感がある。

一方、ソール部分は見た目こそ厚みがあるが、2FO ROOST FLAT MOUNTAIN BIKE SHOESと比較するとやや柔らかめな印象だ。しかし、下りで剛性が足りなくなるという感じのものではなく、足裏の感覚をつかみやすく、人によってはこちらのモデルの方が好みと思えるかもしれない。そういった種類の柔らかさである。

ペダリングしてみた印象も良い。ボディジオメトリが良い働きをしているからと思われるが、腰から下全体の動きをシューズがサポートしてくれる感覚があり、脚がよく回ってくれると思われた。また、土の急斜面で自転車の押し上げをするようなシーンでも歩きやすく、滑りにくかった。その点も良い。

フィット感は、シュッとして細い作りの見た目のとおり、結構きつめだ。公式ウェブサイトにも「※こちらのシューズは小さめのお作りとなっておりますため、通常より0.5～1サイズ大きめをお勧めいたします」と表記があり、普段使っているシューズよりもその程度大きめのものを選んだ方が良いのは確かだ。甲高・幅広の日本人型な足の形をしている人の場合、きゅうくつに感じられる可能性はある。

気になるのはコストパフォーマンスを優先した作りだからか、爪先にプロテクションが設けられていないことだ。MTBに乗っている以上、どうしても爪先部分に石なり岩なり木の根なり車体なりがヒットする可能性があり、そのときのダメージを抑える保護機能は欲しいところだ。

また、多くのMTB用フラットペダルシューズに設けられている靴紐の収納部分がないのもちょっと惜しい。これがあるのとないのとでは、結構利便性に差が出る。なお、2FO ROOST FLAT MOUNTAIN BIKE SHOESにはそれがきちんと設けられている。

とはいえ、1万円を切る価格で、MTBグラビティライドまで対応できる十分な性能を実現していると実感されたので、コストパフォーマンスの高さで非常に評価できる一足だ。入門用として、あるいは気軽にパークで遊んだり家の近所で基礎練習をするとき用などとしておすすめできる。