BMC・URSスリー リヤサスペンション機構を備えた限界突破マシーン
目次
見た目と裏腹? しなやかな癒し系
設計と素材の双方で常に革新的なバイクを送り出してきたスイスのブランドがBMC。そのグラベルバイクとして新登場したのがURS。ネーミングの由来は「UNRESTRICTED」(無制限)。同ブランドのロードバイクと共通する低いシートステーが印象的だが、各部を子細に見るとMTBからの技術投入が多いことが察せられる。リア三角に組み込まれたMTT(マイクロトラベルテクノロジー)と呼ばれるサスペンションと長いトップチューブ&ショートステムが特徴だ。フォークはハブダイナモの配線に対応しつつ、フォックスのサスペンションフォークへの換装も可能。
ダウンチューブやヘッドチューブのボリューム感から、剛性至上主義の印象を受けるが、乗ってみると思いのほかおとなしく、しなやかな弾性が足にも手にも優しい。乾燥度が低いというか、何か潤いを感じさせる剛性感だ。特にシッティング時の安定感は抜群で、見た目ではほとんど動作を感じないMTTや細身のシート&チェーンステーの働きを実感できる。ショートステムによる穏やかなハンドリングと相まって、かなり荒れたダートも余裕だ。舗装路の走りは従来のエンデュランスロードに遜色がないほど軽快であり、持ち前の振動吸収性によっていっそう疲れにくい。オンとオフが混在するツーリングシーンやロングライドに最適なモデルだ。
インプレッション
オフロード:抜群の安定感はサスゆえか
高くて近いハンドルによって路面の変化に対応しやすく、安定感はかなり高い。サスペンションの作動量は10mmとわずかだが、着座しての上りなどではトラクションをしっかり稼いでくれる。700×42Cのタイヤで左右クリアランスは数mmしかないので、これ以上に太いタイヤを使うのは難しそうだ。
オンロード:座りのよさと軽快さが調和
見た目はかなりゴツいフレームだが過度な剛性感はなく、素直に前へ進んでくれる。下ハンドルを握れば、タイヤの太さを感じさせないほどスムーズな加速感を味わうことができる。サスペンションの効果はオンロードのほうがわかりやすく、独特な座りのよさはロングライドでも大きな魅力だ。
SPEC
シマノ・GRX完成車価格:50万円(税抜)
フレーム:URSプレミアムカーボンフレーム
フレームサイズ:S、M、L
フォーク:URSプレミアムカーボンフォーク
カラー:ディスタントブルー
メインコンポーネント:シマノ・GRXシリーズ
クランクセット:シマノ・GRX RX600 40T
カセット:シマノ・デオーレSLX 11-42T
ブレーキ:シマノ・GRX RX 400 RT64ローター(180/160mm)
ホイール:マヴィック・オールロードディスク
タイヤ:WTB・リゾリュート 700×42C
ハンドル:イーストン・EA70AX
ステム:BMC・ICS 01
サドル:WTB・SL8レース142
シートポスト:URS・Dシェイプカーボン
試乗車実測重量:9.1kg(ペダルなし)