シマノXTR M9200シリーズの実力をMTBのプロがチェック

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Presented by SHIMANO 撮影協力:富士見パノラマリゾート マウンテンバイクパーク

M9200シリーズにフルモデルチェンジした、シマノによるマウンテンバイク(MTB)用コンポーネントの最高峰「XTR」。今回は世界的に人気が高まるエンデューロバイク/トレイルバイク向けの仕様をもとに、改めてその全体像をおさらいするとともに、気になる実力について深掘りしてみたい。

シマノ・XTR M9200シリーズインプレッション

 

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シマノ・XTR M9200シリーズについておさらい

XTR M9200シリーズは、「ROBUST(堅牢である)」、「INTUITIVE(直感的である)」、そして「CONSISTENT (一貫性がある)」の3つをコンセプトに開発され、それらを体現する機能が随所に盛り込まれている。

 

リヤディレーラー

RD-M9250-GS

RD-M9250-GS 価格:9万6616円

ワイヤレス化と電動化を果たし、バッテリーはリヤディレーラー本体に格納される形式となった。大きな特徴としては、新機能となるオートマチック・インパクトリカバリーを搭載したことだ。もし衝撃を受けたとしても、ディレーラーを自動で元の位置へ戻してくれる機能である。プーリーはカバー付きで丈夫な仕様となっており、異物の侵入を抑え破損にも強くなっている。

9-45Tカセットスプロケット用のミッドケージタイプと、10-51T用のロングケージタイプの2種類を用意する。なお、上の写真はミッドケージタイプだ。

シマノ・シャドーES

ウェッジをつけたデザインをしている

また、新たに「シマノ・シャドーES」というデザインを採用し、万一木の根や岩などにディレーラーがぶつかっても、ひっかかりを最小限に抑える。

XTRのリヤディレーラーのバッテリー

バッテリーは、レバーを起こしてカバーを外すことで簡単に取り出せる

バッテリーは本体から取り外して充電する。

 

カセットスプロケット

CS-M9200

CS-M9200(9-45T) 価格:7万2566円

カセットスプロケットは、過酷な状況でもスムーズな変速を実現すべく歯先形状が新しくなり、変速の速度となめらかさ・耐久性を向上させつつ、高い負荷がかかったときの変速性能も向上させた。先ほども説明したように9-45Tと10-51Tの2つのギヤ構成を用意する。

 

シフトスイッチ

XTRのシフター

SW-M9250-IR(I-SPEC EV) 価格:3万1826円 クランプバンドタイプもある

ワイヤレス化によりクリーンなコクピットまわりを実現できることはもちろんのこと、より直感的で自然な操作ができるよう工夫が凝らされている。シフトスイッチは押したときに自然なフィーリングが得られるようになっており、素早いマルチシフトも可能だ。

一体型のサードボタンも搭載。ここでシフト調整、シフトモードの変更、アクセサリー類への接続といった機能をアプリを使って割り当てることができる。

XTRのシフトスイッチ

シフトスイッチの調整機構。調整は六角レンチ1本でできる

また、新たに4軸方向で調整できる機能を搭載し、自分の好みに合うようにシフトスイッチ自体の細かな角度調整ができる。

 

ブレーキ

XTRのブレーキ

BL-M9220 価格:1万5312円(片側) レバーはわずかにアップスイープしている

ブレーキレバーは「シマノ・エルゴフロー」という新設計となった。レバーはアップスイープしており、下りでのフィット感を高めている。

ブレーキレバーのビボットポイントがより近くなり、ブレーキングしたときに指の曲線に自然にフィットするようにもなっている。

XTRのアジャスターダイヤル

アジャスターダイヤルも新型に

BR-M9220

BR-M9220(4ピストンタイプ) 価格:2万4292円(前後兼用)

ブレーキオイルが新しくなり、低粘度のミネラルオイルを採用。またブレーキキャリパーはシールも刷新している。これにより、さまざまな気温・天候の条件下でも安定した制動力を発揮する。

また、ブレーキパッドはレジンパッドとメタルパッドの2種類を用意。フィンの有無と合わせて好みのブレーキフィーリングを選べる。さらに、マウント部の改良によって異音がより発生しにくくなった。

 

クランクセット

FC-M9220

FC-M9220 価格:4万4734円 チェーンリングは別売りとなる(SM-CRM96・2万1916円)

アルミ製の中空構造で、剛性・強度・そして重量のバランスが最適化される。エンデューロバイク向けについては、より耐久性が高く衝撃に強い。

 

ホイール

WH-M9220

WH-M9220 価格:前輪/12万7991円、後輪/14万6276円

XTRのハブ

ハブも新型に

XTRグレードのフルカーボンホイールが新登場。ハブは完全に新開発のもので、カートリッジ式のベアリングを採用。信頼性・パフォーマンスともに向上させている。エンデューロバイク向けホイールについては、世界トップレベルのエンデューロレースで使えるようメンテナンス性も考慮された作りとなっており、現行のシマノ製品の中で最も頑丈なフルカーボンホイールとなっているのが特徴だ。なお、ハブ単体でもラインナップする。

 

シマノ・XTR M9200シリーズをインプレッション

インプレッションライダー:板垣奏男(いたがき かなお)さん

インプレッションライダー:板垣奏男(いたがき かなお)さん。プロMTBライダー、MTBインストラクター、トレイルビルダーとして活躍する。「MTBはじめよう!」のシリーズではメイン講師を務め、好評を博している

サイクルスポーツ(以下CS):さて板垣さん、全体的な印象はいかがでしたか?

板垣:総合的に見て、シマノらしい、本当に良いものを出してきたなという印象でした。日本人としてこういう製品が出てくるのは純粋にうれしいと感じますね。

CS:では具体的なことを。まず変速性能はどうでしたか?

板垣:これはもう、繰り返しになりますが本当に“シマノらしい”、他メーカーとは一線を画すものでした。かなり“いじめ気味”に使ってみましたが、とにかくビシッと正確に変速します。ダンシングや上り坂でトルクをかけた走りをしてもいともたやすく変速してしまうと言いましょうか。歯飛びなんてまず発生しないし、しっかりとチェーンにスプロケットの歯がかみつきながら変速していく感覚です。

CS:シフターの使い心地はどうでしたか?

板垣:操作したときのボタンの音や押し込む感覚を含めて、非常に自然で直感的でした。指へ変速する感覚がしっかりと伝わってくるイメージです。タッチ感はかなり機械式に近いものがあり、また設定によってはボタンをぐっと押し込んでマルチシフトできるわけですが、物理的に2段階で入り込み、これも非常に機械式に近いというか、ほぼ一緒と言えるくらいの感覚が得られます。これは非常に良いなと思いましたね。

板垣:でね、ドライブトレインまわりで特にいいなと思ったのはクランクなんですよ。乗っていてすごくしっかりとした剛性感が得られます。コーナーなんかでバイクを振ったときに、パンパンッっとすぐに反応してくれる感じです。

CS:なるほど。さて、板垣さんのような下り系ライダーにとって非常に重要となるブレーキについては?

板垣:非常にバランスが取れているな、というのが総合的なフィーリングです。まず、パッドコンタクトまではスッと素早く持っていってくれる印象です。ですが、そこからガックンと一気にブレーキがかかるのではなくて、マイルドになっていますね。なので、パッドコンタクトのポイントまで素早く持っていくと同時に、そこからのコントロールがしやすい性格と感じました。そこがすごく進化したポイントだと思います。特に、このブレーキング力のコントロールという点では、現行で手に入るブレーキの中でもかなり高いレベルにあります。

CS:ブレーキング力自体はどうなんでしょうか?

板垣:パワーの立ち上がり自体はパワフルだと思います。ただ、今私が使っているブレーキもそうなんですが、ライバルメーカーでは恐ろしいくらいに強力なストッピングパワーを発揮する製品があります。それに比較すると割とマイルドだと思います。しかし、これには好みとブレーキに対する考え方の問題があります。“危ないレベルで利く”ブレーキがいいのか、それともコントロール性重視でしっかりと握り込むことで利くブレーキが良いのか、ということですね。このどちらの方向にブレーキは向かっていくのか、というのはマウンテンバイカーの中では大きな話題なのですが、この新型XTRのブレーキについては、後者のコントロール性重視でバランスが取れており、その意味では非常に秀逸だと思います。

CS:ああ、私もその危険なほど利くタイプのブレーキがついたバイクに乗ったことがあるので、言わんとしていることは分かります。つまりは、ブレーキング力自体は高い方で、かつコントロール性とのバランスが取れているってことですね?

板垣:そのとおりです。

CS:アップスイープしたこのブレーキレバーの使い心地はどうでしたか?

板垣:これはですね、自然とライダーが良いフォームになるよう導いてくれる効果がありますね。MTBでは肘を開いて乗れってよく言われますよね。それが良いフォームとされています。このレバーに指をかけていると、自然とその肘を開いた良いフォームになるように感じました。けっこう、乗車フォームってブレーキのセッティングによって崩れたりもするんですよ。なので、その意味で良い影響があると感じましたね。

CS:ホイールはどうでしょう? 私は全体の中で一番好印象だったんですが。

板垣:そう! ホイールはもう文句なく良いです。頑丈にできているということですが、それでもすごく軽いですし、剛性の不足も感じません。かといってガッチガチに固いとも感じないし。カーボンの特性をうまく引き出した印象です。特にいいなと思ったのは、コーナーでバイクを倒したり踏んでみたときに、“リムをすっ飛ばしてタイヤを感じられるような感覚”が得られることですね。タイヤがどこにあるのかをダイレクトに感じて・考えて走ることができるんです。そして、ハブの回転がものすごく良くなりましたね。とにかく良く回ってくれるホイールだとも感じました。

CS:最後に総合評価を。

板垣:今回、乗ることができて本当に良かったと感じられました。これは買って損をしない、すごく武器になるコンポーネントです。

CS:ありがとうございました。

 

撮影協力:富士見パノラマリゾート マウンテンバイクパーク