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【TOJ第8ステージ速報】ラースが最終ステージ勝利、ガルシアが総合優勝

レース
日比谷シティ前でスタートを待つ選手たち
日比谷シティ前でスタートを待つ選手たち
逃げの3人が集団からタイム差2分ほどを稼ぐ
逃げの3人が集団からタイム差2分ほどを稼ぐ
集団はチーム・イルミネートらが先頭を引く
集団はチーム・イルミネートらが先頭を引く
いよいよ今年のツアー・オブ・ジャパンも最終日。例年と同じく、東京ステージは、日比谷シティ前をスタートし、大井埠頭周回コースに入る最後の112.7kmだ。14周する7kmのフラットな周回コースには、多くの観客が詰めかけた。

1周目に入る前に、草場啓吾(日本ナショナルチーム)、チェン・キンロ(HKSIプロ・サイクリング・チーム)、中田拓也(シマノレーシング)の3人の逃げが形成される。集団は、リーダーチームであるキナンサイクリングチームのコントロール。タイム差は最大2分ほどまで開いた。

4周目に入ると、チーム右京やチーム・イルミネート、愛三工業レーシングチーム、チームブリヂストンサイクリングなど、集団スプリントに持ち込みたいチームが集団を牽引し始める。

11周目で、キンロが逃げグループから1人で抜け出すが、12周目を目前にメイン集団に吸収された。

集団では最後のゴールスプリントに向けて位置取り争いが勃発。混戦を制し、両腕を上げたのはチーム・イルミネートのマルティン・ラースだった。

2018年のTOJは、富士山ステージで他を圧倒したマルコス・ガルシア・フェルナンデス(キナンサイクリングチーム)が総合優勝で幕を閉じた。ポイント賞ブルージャージは、区間2勝をあげたグレガ・ボレ(バーレーン・メリダ)、山岳賞レッドジャージは、南信州ステージ、伊豆ステージで逃げに入った鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)、新人賞のホワイトジャージは、富士ステージなどで積極的な動きを見せたクリス・ハーパー(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム)が獲得した。

日本人総合トップは、9位の中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)だった。
最終周回、チームメイトのスプリントのための集団牽引のつもりが前に出てしまったという佐野淳哉
最終周回、チームメイトのスプリントのための集団牽引のつもりが前に出てしまったという佐野淳哉
最後に1勝をあげたチーム・イルミネート
最後に1勝をあげたチーム・イルミネート
ステージ優勝したラースの表彰は小池百合子都知事がプレゼンターを務めた
ステージ優勝したラースの表彰は小池百合子都知事がプレゼンターを務めた
総合優勝を決めたマルコス・ガルシアがNTNのベアリングトロフィーを掲げる
総合優勝を決めたマルコス・ガルシアがNTNのベアリングトロフィーを掲げる


第8ステージ順位

1位 マルティン・ラース(チーム・イルミネート) 2時間23分12秒
2位 アンソニー・ジャコッポ(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム) +0秒
3位 アイラン・フェルナンデス・カサソラ(マトリックスパワータグ) +0秒


個人総合時間賞(グリーンジャージ)

1位 マルコス・ガルシア・フェルナンデス(キナンサイクリングチーム) 19時間57分25秒
2位 ヘルマン・ベルシュタイナー(バーレーン・メリダ) +35秒
3位 トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム) +53秒


個人総合ポイント賞(ブルージャージ)

1位 グレガ・ボレ(バーレーン・メリダ) 110pt
2位 マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) 83pt
3位 ミッヘル・ライム(イスラエル・サイクリング・アカデミー)  50pt


個人総合山岳賞(レッドジャージ)

1位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) 24pt
2位 小石祐馬(チーム右京) 16pt
3位 フェリックス・アレハンドロ・バロン・カスティージョ(チーム・イルミネート) 16pt


個人総合新人賞(ホワイトジャージ)

1位 クリス・ハーパー(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム)
2位 サム・クローム(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム)
3位 ホセ・マヌエル・ディアス・ガジェゴ(イスラエル・サイクリング・アカデミー)


チーム総合

キナンサイクリングチーム
各賞ジャージが顔を揃えた
各賞ジャージが顔を揃えた
チーム総合も守ったキナンサイクリングチームがキナンの会長とよろこびを分かち合う
チーム総合も守ったキナンサイクリングチームがキナンの会長とよろこびを分かち合う

総合優勝したマルコス・ガルシアのコメント

表彰台で喜びを語るガルシア
表彰台で喜びを語るガルシア
今回でTOJ3回目の出場となるガルシア。1回目は総合2位とわずかに届かず、昨年は富士山ステージで沈み、伊豆ステージで逃げ切り勝利を収めた。

「​本当に幸せな気分でうれしいです。僕だけではなくて、チームとしてもこの優勝はうれしく思います。

今日のステージはチームとしてうまくコントロールができました。先頭の逃げも捕まえられましたし、チーム一丸となって戦うことができました。

TOJ全体として、総合優勝できたことはとてもうれしいことです。ステージもトマ・ルバの優勝、僕自身のステージ優勝もあってとてもいいTOJだったと思います。」

総合リーダージャージを獲得してからのチームメイトの働きについて、「本当にみんなのアシストあっての僕の総合優勝でした。チーム一丸となって他のチームの動きをブロックしてくれたことに感謝しています。

今日のレースよりも昨日のステージが鍵となるステージだったと思うのですが、いい働きをしてくれたことに本当に感謝します」と話した。

また、会場に応援に来てくれた観客に対してこう言葉をかけた。

「キナンのことを応援してくれるみなさんはもちろん、自転車を愛してくれている人たちがこういう風に見に来てくださるから僕たちが走れると思っています。チームのためにも自転車のためにも感謝をしたいと思っています。」

これからどう戦っていくのだろうか。

「僕自身もこうやって勝ち続けていきたいですし、チームも本当に良い状態で強いチームです。来週から熊野もありますし、勝ちを積み重ねていけたらと思います。」

ポイント賞を獲得したグレガ・ボレのコメント

「今日は気温も高く、暑くて、昨日の疲れもあってあまりコンディションが良い状態ではなかったです。そんなに難しいステージでなくて良かったと思います。最後のステージが難しくないコースであることはよくあることです。

ブルージャージをキープできたことは良かったです。」

山岳賞を獲得した鈴木譲のコメント

山岳ジャージを獲得した喜びよりも悔しさの方が勝っていた鈴木譲
山岳ジャージを獲得した喜びよりも悔しさの方が勝っていた鈴木譲
今日のレースとTOJ全体のレースについてこう振り返った。

「今日はチームメイト3人しかいなかったので、各自逃げに乗る動きと、逃げに乗れなかったら鈴木龍選手のスプリントっていう形を取っていたんですけど、あんまり連携もうまくいかなくて、チームとしてはいいレースはできなかったですね。

レース全体通しては、チームとして区間1勝と山岳賞を獲得できたので、トラブルがあった割には結果として良かったんですけど、もっとできることがあったかなと思うので、来年に繋げていきたいです。」

2年連続日本人山岳賞獲得という結果について、「本当はステージ優勝とか総合とかでいい成績取れればいいんですけど、TOJのレベルを考えると、ステップとしては、この辺りからステップアップして、総合争いとか区間優勝にチャレンジしていくのがいいのかなと思います。

正直(山岳賞を)狙ったわけではく、伊豆はもう取れる感じだったので取ってうれしかったんですけど、事前のチーム目標としては、増田(成幸)・雨澤(毅明)の総合争いだったので、それができなかったのはやっぱり悔しいなと思いますね。

今日スタート前に初山(翔)選手とちょっと話して、引き継いだみたいな話をしてたんですけど。やっぱり今回山岳賞という賞を日本人が取れたということはもちろん大事なことなんですけど、もっと上を目指して、若い選手には総合争いを目指してほしいです。中根(秀登)選手がいい位置で走っていたので、どんどんそういう選手を輩出していかなければと個人的には思います。」

逃げに入った草場啓吾(日本ナショナルチーム)と中田拓也のコメント

中田(右)と草場(左)が逃げグループで集団とのタイム差を稼ぐ
中田(右)と草場(左)が逃げグループで集団とのタイム差を稼ぐ
東京ステージの前にキナンのグアルディオラ(右)と話す草場(左)
東京ステージの前にキナンのグアルディオラ(右)と話す草場(左)
中田拓也(シマノレーシング)

シマノとして、今日のステージで逃げに乗せるというオーダーがあったのだろうか。

「チャンスがあったら行ける時に行けっていう作戦でした。シマノとしてはいい感じに勧められたんじゃないかなと思います。」

横から野寺監督が、「中田か木村(圭佑)か入部(正太朗)が逃げに乗る要員。だから予定通り」と付け加えた。

逃げきりを予定していたのか聞くと、「2パターン用意していて、逃げ切りと、捕まるつもりで逃げて最後は黒枝(咲哉)選手の集団スプリント。牽引役も自分は担っていたので、チェン・キンロ選手が行った時に無理して追わずに、集団戻って牽引して、という感じで今日は進めました。すごいきつかったですが、逃げられて良かったです」と答えた。


草場啓吾(日本ナショナルチーム)

今日の日本ナショナルチームのオーダーについてこう話した。
「基本、逃げに誰かのるっていうのが目標で、去年も周回コース入ってから逃げが決まってたので、最初の日比谷公園からこっちまではあんまり決まらないだろうなと読んでいたのでそこまでは何もせずにいました。

最初で最後の一発で決まって、集団をよく見られてたなと自分で思います。(飛びだしたとき)1人で後ろもキナンがコントロールしてたので、あぁこれ戻ったほうがいいかなと思ったんですけど、諦めずに行ってたらチェン・キンロ選手と中田選手が来たので、3人で協調しました。タイム差も開いて、これで逃げられるなと思いました。

(タイム差が)1分30秒くらいになってから追走がくるかなと思ったんですけど、来なくて。そこからタイム差縮まる一方で、残り2周くらいでチェン・キンロ選手が1人で行っちゃったんです。彼、圧倒的に強くてついていけずに。でも今日は積極的な走りを心がけていたので、良かったと思います。」

逃げ切りを狙っていたのか聞くと、「逃げている時に脚きつかったので、さすがに厳しかったですね。例年だと10人くらい(逃げが)行っていて、10人で休みながらローテーション回せればいけるかもしれないですが、3人だとあんまり休むところがなかったです。逃げ切りというよりは見せる走りという感じですかね」と答えた。

今回のTOJで名前を見る機会が多かった草場だが、どういう思いだったのだろうか。

「去年、出させてもらって、何も結果残せずチームに迷惑かけたと言うか、浅田さんの期待に応えられなかったので、今年はその期待に少しでも応えられたんじゃないかなと思うんで、良かったと思います。」

スタートラインでグアルディオラ選手と何か話していた様子だったが、何を話していたのか聞いてみると、「キナンとしては面倒くさい動きはしたくないらしくて、総合関係ない人なら行かせるからみたいな感じで話していました。『残り1周で1人でアタックするんなら見逃してあげるよ、まぁどうせ捕まえるけどね! そしたら今年の(ツール・ド・)北海道俺らが手伝ってあげるよ』みたいな(笑)。ほんとかなぁと思いながらそういう話をして、『オッケーオッケー!』って(笑)。

でも自分らはとにかく逃げに乗るっていうのが目標だったので、そういう話は頭の端っこに置いといて(笑)」と笑った。

若い彼らの活躍も今後楽しみだ。