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フェルト F1 試乗レポート

カーボン素材で最近注目されているのが、スウェーデンのオクスイオン社が新たに開発した「テクストリーム」という製品。フェルトはFシリーズのセカンドグレード「F1」にも、テクストリームカーボンを投入してきた。

 

text:吉本 司 photo:小見哲彦

最先端カーボン テクストリームが 身近になった

 

「テクストリーム」の利点は2つある。まず従来のプリプレグよりもレジンの使用量を抑えることで可能になる軽量化。加えて肉薄となった素材は柔軟性に優れ、BBまわりなどフレーム成型時に起こりやすいプリプ レグのシワを低減するのに効果を発揮する。

 

その結果フレームの製造精度は高まり、ムダな素材を使うことなく設計どおりの剛性や強度を得ることが可能になっている。フェルトではこの素材をいち早く採用し、これまで軽量モデルの FシリーズとエアロロードのARシリーズそれぞれの旗艦機に展開してきた。

 

2015年モデルでは、Fシリーズのセカンドグレードである「F1」にも、テクストリームカーボンを投入してきた。 フレームの金型は旗艦モデルの F FRDと同様だが、F1では使用するカーボン素材が少々異なる。F FRDに挿入されるウルトラハイモジュラスカーボンを省いて、F1ではユニディレクショナル&ハイモジュラスカーボンで構成する「UHCアドヴァンスド+テクストリーム」が用いられる。  

 

F1のフレーム単体重量のアナウンスがないので、760gの軽さを誇るF FRDとの重量差は不明だ。とはいえ16万円も安い価格で最先端のカーボン素材を使ったモデルを手にできるのは、実戦派のレーサーを望むサイクリストには魅力的な存在だろう。

 

FELT F1

 

フェルト・エフワン フレームセット  価格/26万8000円(税抜)

 

フレーム●カーボン 

フォーク●カーボン 

コンポーネント●シマノ・デュラエースDi 2 

ホイール●シ マノ・RS81-C24-CL 

タイヤ●ヴィットリア・ディアマンテプロライト25C 

ハンドルバー●3T・エルゴ ノヴァチーム 

ステム●3T・アークスIIチーム 

サドル●プロロゴ・コンコール 

シートポスト●3T・ スタイラス-25チーム

試乗車実測重量●6.74kg(560サイズ、ペダルなし) 

サイズ●480、510、 540、560 

カラー●サテンカーボン

 

 

シートポストは快適性と軽さを重んじて27.2mmサイズを搭載する。2ボルトタイプのシートクランプは十分な固定力を得ながら、ポストへのダメージを抑えることができる

 

 

 

プリプレグによるカーボン素材と比べて、大きな格子模様が特徴的なテクストリームカーボン。バイクメーカーではフェルトが他社に先駆けて3年前から採用した素材である

 

 

 

PF86規格のBBを採用。上位機種はフルカーボンだが、F1ではアルミ製となる。ダウンチューブはシェル幅目一杯に広げた状態で接合され、ハンガー部のねじれ剛性を高める

 

 

 

シートステーとチェーンステーを一体成型したかのようなリヤエンドの造形。ここにしっかりとボリュームを与えることで、駆動時のパワー効率を高め、ねじれ剛性を確保する

 

 

 

2本式のシートステーは曲げ加工なしに直線的にリヤエンドへ接合する。さらにその上端を一体化する形状とすることでねじれ剛性を高め、加速のレスポンスを高めている

 
 

吉本 司の試乗レポート

これまでフェルトのFシリーズは、何度か試乗する機会を得ている。そのたびに感心させられるのが、きわめて高次元で各性能のバランスがよく、扱いやすい走行特性を持つことだ。このF1についても同様の印象で、レース機材として考えれば不足を覚えることは何もないとも思えるほどだ。  

 

Fシリーズの上位グレードすべてに言えるが、加速のよさは大きな魅力だ。ペダルに足を載せて踏み下ろすと吸い込まれるようにペダリングができ、弾かれるように鋭くバイクが前に出る。剛性もレース派には過度な印象はなく、高出力の走りでも脚へ のストレスを強く感じることはない。 

 

試乗車にはシマノの中級グレードのホイールが装備されているが、F1の加速感は軽量車さながらのキレを持つ。その軽さを生かしてヒルクライムでは、軽やかなダンシングとテンポをつかみやすいペダリングフィールでスイスイと前に進み、気持ちがいい。平地から上り、バイクを振ったときなど、すべての挙動に軽さを感じられる。  

 

過去の試乗記憶に頼って上位機種のF1 FRDとの違いを思い返してみる。やはりFRDのほうが軽量なだけにチューブの肉薄感が強く、パリパリとした走行フィーリングが強いので、より軽快感はある印象だ。 しかしF1の運動性能でもレースやヒルクライムは十二分なパフォーマンスがあると感じる。

 

チューブが肉厚な部分や振動吸収の面ではFRDよりもゴツゴツとした印象もあるが、いやな感じを覚えることはない。 FRDとは16万円の価格差があり、コストパフォーマンスで考えればF1の圧勝だ。 レース派ホビーサイクリストの機材として、 F1の購入はかなり賢い選択といえる。

 

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