トピックス

安井×ナカジが熱く語る! 9000系デュラエース対談 Part1

本誌(2012年11月号)の9000系デュラエース特集で行ったライター安井と編集長ナカジの対談(というかほとんど自転車バカ同士の雑談)は、実は一時間以上にも及ぶものだった。もちろん本誌にそれを掲載するスペースはなく、載せられたのはごく一部。それではあまりに惜しいので、サイスポWebでは完全版を掲載! 2人のデュラエース愛用者が贈る、愛の9000系評論。
text●安井行生 photo●小見哲彦

ルックス編

中島:見た目はどうですか?デュラエースモデルチェンジの常で、今回も賛否両論ありますが。
安井:確かに最初にこのクランクを見たときはギョッとしたけど、組み上げるとむちゃくちゃカッコいい。
中島:最近のバイクに付けると見事にマッチしますね。
安井:いまどきのカーボンフレームって、昔みたいにブランドロゴバーン、グラフィックドーンというコテコテなカラーリングではなく、695みたいにチューブのエッジのラインを上手く使った塗り分けが多い。9000系の表層デザインはそれに合わせて考えられた感じ。スチールフレームには合わないんだろうけど、最新のデュラエースが鉄に合わせる必要もないし。でもSTIの見た目は…
中島:はいはい、じゃあ評価はSTIからいきますか(笑)

STIレバー編

中島:レバーの根本は、相変わらず変速機構の金属むき出しなんですが、7900系(以下79)みたいに指に当たることもなく、嫌は感じはしないですね。
安井:シフトワイヤのルーティングが改善されて、握りはかなりよくなった。ブラケット周長は12.5cmで、79よりも1cm近く短くなってる。7800系(以下78)の11.7cmにはかなわないけど、フィッティングに大きな不満はない。ファーストインプレッションは「78と79の中間くらいでまぁ許せる範囲かな」程度だったけど、使っているうちに印象がどんどんよくなってきた。周長だけじゃなくて、各部のフォルムが本当に煮詰められているんだと思う。
中島:我々のような手が小さいライダーにとっては歓迎できる変化ですね。手の大きい人だと小ぶりすぎることがあるかも。
安井:そろそろブラケットもサイズ展開するべきだと思う。
中島:シフトワイヤのルーティング変更によって、ブラケット内側に小さな突起ができました。これはアウター受けなわけですが、個人的には親指がいい具合に引っかかって、好きですね。ブラケット下側のスペースが広くなりました?
安井: 78や79より1cm近く広くなってるね。指を3本置く余裕ができた。
中島:ダンシングしながらの変速がすごくやりやすくなってるんですよ。レバーの湾曲も変わったんですが、これがいいですね。
安井:ブレーキかけやすいしシフトもしやすい。全ての操作がとにかく自然。79から始まった横に幅広いレバーは好きじゃなかったんだけど、9000系はいい。
中島:(79と見比べながら)解除レバーの面積も大きくなってますね。操作が軽くなったので、ブラケットの上を持ったまま、レバー根本を押すだけで変速できるのもいい。79はレバーの下端まで指をもっていかないと押せなかったですから。
安井:ワイヤルーティングの変更で、ブラケット内でのワイヤの曲がりはキツくなっているはずなのに、操作の軽さは尋常じゃない。ワイヤのコーティングがものすごく優秀なんだと思う。このコーティングにはかなり苦労したとある筋から聞いた。ただ、このおかっぱ頭デザインは許せない。このブラケットとレバーの段差。ツライチにできなかったのか。せめてもうちょっとなんとかならなかったのか。自分で金出して買うとなるとここはひっかかる。
中島:機材として割り切れば……。
安井:デュラエースを単なる機材として見ている人は、プロかそれに準ずる走り方をしている人たち。デュラエースを買う人の大半にとって、デュラは単なる機材じゃないですよ。見た目のために機能が犠牲になるのはあってはならないことだけど、これはなぁ……。あと整備性もよくないね。ブラケットをめくる必要のない78に慣れてるってのもあるけど、9000はブラケットが硬いような気がする。79よりも大変かも。これを触ったメカニックは眉間にシワを寄せてた。
中島:でも使うといい。
安井:そう。だから文句いえないんですよ。シフトワイヤをハンドルに沿わせた79が出たとき、「これって、カンパコンプレックス?」と思ったし、予想通りシフトフィールが残念なことに……。でも、9000ではそのネガを全部きれいに消し去っている。

●ブレーキキャリパー編

安井:もう絶賛するしかない。
中島:超いいっすよね。
安井:引きがすごく軽いし、コントロール性も完璧。欠点がない。汚れやすくて掃除がめんどくさそうってとこくらい。
中島:制動力の立ち上がりがスムーズすぎて、最初は慣れが必要じゃないですか?
安井:これまで何を使っていたかにもよるけど。僕は78を使っていたらガツンと立ち上がるのに慣れてるし、僕にとってはいい方向にしか進化していない。スピードコントロール自由自在。減速するのが楽しくなる。ブレーキングポイントを待ちわびている自分がいる。78のように最初からガツンと効くのに、79のように最後までコントローラブル。全てが素晴らしい。
中島:ワイヤー内蔵フレームが増えているので、さらにアドバンテージになりますよね。
安井:ルック695ってリアブレーキがフルアウターだから、従来のコンポで組むとリアだけ引きが重くなりがちだったんだけど、9000系はフロントとリアで引きの軽さにまったく差がでない。ワイヤーの仕事も大きいと思う。よく「デュラは一度使うとやめられない」っていう決まり文句が使われるけど、このブレーキは本当にやめられなくなる気がする。ヘボなコンポは使えなくなる。これを使うために9000系を買ってもいい。一番進化したのはブレーキキャリパーじゃないかな。そのぶん、しっかりしたフレーム&フォークとグリップのいいタイヤは必須。
 
安井行生 7700系時代からデュラエースを愛用しているライター。しかし7900系は気に入らず、今でも7800系を愛用中。7800系のSTIは10個以上買ったとか。変速操作感とブラケット形状を重視する。
 
編集長・ナカジ 7800系機械式、7900系Di2と乗り継いできた。都内でメッセンジャーの経験もあり。そのときの市街地での使用から、俺チャレのような超ロングライド、JCRCのレースまで幅広いシーンでデュラエースシリーズを使用してきた。


9000系デュラエース対談 Part2はこちら