2023シクロクロス全日本選手権エリートは男子・織田、女子・小川が優勝

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2022シクロクロス全日本選手権

2022-23シーズンのシクロクロス全日本選手権2023が1月15日、愛知県稲沢市の「国営木曽三川公園・ワイルドネイチャープラザ」で開かれ、男子エリートは織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、女子エリートは小川咲絵 (AX cyclocross team)が優勝。ともに初めてエリート全日本チャンピオンの座に輝いた。

 

砂丘に設けられた難易度の高いコース

今回のコースは木曽川の河岸砂丘・祖父江砂丘を生かした特設の周回コース。全長約2.5km、標高差15mで、スタート区間が別に300m設けられている。ほぼ平坦基調だが、コース全域の路面が砂というのが最大の特徴の難コースだ。

今季のJCF第3戦もワイルドネイチャープラザで開催されており、比較的固く締まった区間が多い前半は、タイトターンと高速コーナーを繰り返し、パワーが物をいう。一方、後半の砂丘部分は砂が厚く堆積して路面がゆるく、コース最大の上りと長い下りもこの区間にある。最終コーナー前の下りは厚い砂に覆われ深い轍が刻まれていて、相当テクニカルだ。

前半はパワーとスピードが求められ、後半は深い砂地でいかに失速しないかやミスを減らせるかがカギとなる。パワー頼みでクリアできるコースではなく、テクニックや砂のコースへの対応力など総合力が問われる、全日本チャンピオンを決めるにふさわしい舞台だ。

前日の雨も上がり、朝から好天に恵まれ、コースはほぼドライになった。とはいえ、コースの下の方の砂は湿り気を帯びていて、後半の深い砂の区間は上りも下りもタイヤに砂がまとわりつきやすくなっていた。パワーで押すタイプのライダーに若干有利になったようだ。

 

エリート女子は小川が昨年の雪辱を晴らす

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スタートラインに並ぶ女子エリート

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渡部がホールショットを取った

 

エリート女子は午後1時10分スタート。前年優勝の渡部春雅(明治大学)がホールショットをとったが、1周目の下りセクションから最終コーナーに向かう深い砂のセクションで苦戦。この間に小川咲絵が渡部をかわしてトップへ。小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が2位に浮上する。

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砂区間で順位が入れ替わる

 

コース後半の砂丘セクションは、小川と小林が速く、ここで後続とのリードを周回を重ねるたびに広げていく。渡部はコース後半深い砂に苦戦しているようで、3周回目に石田唯(早稲田大学)にもかわされ、4位に後退した。

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トップに立った小川

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追走をかける小林

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3位の位置をキープした石田

 

上位陣は1位小川、2位小林、3位石田、4位渡部の順で、各選手間のリードは周回ごとに広がっていった。6周回完了時点で1位小川と2位小林の差は23秒、3位石田は2位と49秒差、4位渡部は3位からさらに1分ほど遅れた。

小川は終始危なげなくレースを展開し、最終的に2位小林と28秒差を付けて優勝。フィニッシュ後は小川が同じチームに所属する“師匠”こと男子エリートの斉藤朋寛と抱擁する場面も見られた。

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優勝者・小川咲絵のコメント:
「昨年の全日本選手権で、渡部にスプリントで1秒差で敗れ、リベンジを誓って1年練習を積んできた。敗因のひとつと感じたテクニック面の強化と、砂のコースで終盤まで力強く走れるように体幹の強化を重点的に行ってきた。勝ちたいという気持ちが強すぎてミスをしたところもあったが、今まで取り組んできたことの成果が結果で出せてうれしい。練習に付き合ってくれたチームメイトや関係者に感謝している。今後は世界選手権でベストを尽くしたい。」

 

エリート男子は今季11連勝中の織田が完勝

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14時45分にスタートを切った男子エリート

 

14時45分スタートの男子エリートは、今季11連勝と絶好調の織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が大本命。そこに前年のチャンピオン小坂光と一昨年のチャンピオン沢田時ら宇都宮ブリッツェン勢、全日本チャンピオン経験者の竹之内悠(チネリ・ヴィジョン)らが絡む展開になると予想された。

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ホールショットは沢田が取った

 

ホールショットを決めたのは沢田。織田は後半のサンドセクションの180度コーナーでトップに立ったが、下りで砂にハンドルを取られて転倒。その間に沢田が再びトップに立った。

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シケインをバニーホップで越える織田

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沢田と織田が後続を離す

 

織田は、2周目の前半にあるシケインをバニーホップで越え、沢田を再びかわしてトップへ。沢田がこれに続き、竹之内、横山航太、小坂ら3位集団のパックが追走する。織田と沢田の差は周回を重ねるごとにじわじわ広がり、4周目には織田と沢田が27秒差、3位パックの横山と竹之内が20秒差でこれに続いた。

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砂区間をパワーで押し切った織田

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砂浜をテクニックでクリアしていく竹之内

 

コース後半の砂浜セクションでは、圧倒的なパワーで踏み切る織田と軽快に砂浜をクリアする竹之内が速かった。トップを独走する織田は2位沢田とのリードをじわじわ広げ、単独3位となった竹之内は2位の沢田にじわじわと迫る。残り3周に入ったところで、織田は沢田との差を50秒近くまで広げ、竹之内は沢田に10秒ほどに迫った。

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トップでフィニッシュした織田

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元選手の前田公平も祝福に駆けつけた

 

織田はその後も危なげなく走り、最終的には後続を1分ほど引き離して圧勝。前評判どおりの強さを見せつけ、エリート全日本チャンピオンのタイトルを手に入れた。フィニッシュ後はチームの佐藤成彦GMやJCFオフィシャルフォトグラファーの父・達さん、元チームメイトの前田公平さんらが祝福した。

2位争いも白熱。竹之内は残り2周で沢田に追いつき、一時沢田をかわして2位に立ったものの、最終周に沢田が竹之内を振り切り、2位になった。3位には竹之内が入った。

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優勝者・織田聖コメント
「ようやくエリートの全日本チャンピオンになれてホッとしている。調子は悪くなかったが、スタートでちょっと失敗して、冷静に走ろうと思った矢先、1周目の最後の下りで落車してしまって頭が真っ白になった。砂のセクションで速い(竹之内)悠さんをなるべく早い段階でリードしたいと思っていて、2周目のシケインでトッキー(沢田時)を抜いて理想的な展開に持ち込めた。そこからはミスしないことを心がけ、タイム差をなるべく付けてフィニッシュしたいと思っていた。今後はオランダの世界選手権でベストを尽くせるよう、うまく調整していきたい。」

 

 

第28回全日本自転車競技選手権大会 シクロクロス
女子エリート リザルト
2022シクロクロス全日本選手権
1位 小川咲絵(AXシクロクロスチーム) 50分12秒
2位 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) +28秒
3位 石田 唯(早稲田大学) +2分5秒

 

 

第28回全日本自転車競技選手権大会 シクロクロス
男子エリート リザルト
2022シクロクロス全日本選手権
1位 織田 聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) 1時間2分35秒
2位 沢田 時(宇都宮ブリッツェン) +58秒
3位 竹之内 悠(チネリ・ヴィジョン) +1分6秒

 

 

第28回 全日本自転車競技選手権大会 シクロクロス
開催日:2023年1月14日(土)〜15日(日)
開催地:愛知県稲沢市祖父江町・国営木曽三川公園「ワイルドネイチャープラザ」
https://jcf.or.jp/cyclocross/index/