マウンテンバイク用ウェアの特徴と選び方【MTBはじめよう!Vol.11】

目次

MTB用ウェアの特徴と選び方

特別協力:スペシャライズド・ジャパン 撮影場所協力:フォレストバイク

マウンテンバイク(MTB)トレイルライド&グラビティライド(下り系の遊び方)の基礎から学べるシリーズの11回目。今回はMTB用ウェアの特徴と選び方について紹介しよう。

 

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一見普通のスウェットに見えるが実はMTBライドに特化している

今回も教えてもらうのは、プロMTBライダーにしてインストラクターの板垣奏男さんだ。

板垣奏男さん

板垣奏男(いたがき かなお)さん。東京サイクルデザイン専門学校を卒業後に本場カナダへ渡り、高度なライディングスキルからトレイルビルディングに至るまでを習得。現在はプロライダー/インストラクターとして活躍している。Instagram:kanao_i_into_the_ride  YouTube:kanao itagaki

 

この連載の初回では、ひとまず服装は運動に適していれば何でもいいと教えてもらった。しかし、やはり乗っているうちにちゃんとしたウェアが欲しいと思うところ。

この連載がテーマとしているトレイルライドやグラビティライド用のMTBウェアとは、そもそもどんなものなのか?

スペシャライズドの「メンズ トレイル エア ロングスリーブジャージ」

MTBトレイルライド用のロングスリーブウェア。写真はスペシャライズドの「メンズ トレイル エア ロングスリーブジャージ」(1万3200円・税込)。通気性が高く超軽量な素材を用い、ロングスリーブウェアながら抜群の涼しさを発揮する。真夏のライドで活躍する一着だ

 

「まず伸縮性に優れ、MTBの動きに特化したカッティングになっているのが特徴です。また、通気性と速乾性にも優れているという、サイクリングウェアとしての機能も満たしています。パンツ類には、小さな穴を設けて通気性を確保しているモデルも多くあります」。

MTB用パンツに設けられたベンチレーションホール

MTB用パンツに設けられたベンチレーションホール

 

「伸縮性・通気性・速乾性に優れる一方で、破れに強いという特徴を持っています。MTBではやはりどんなに気をつけていても転倒してしまうことがあるものです。そんなとき、擦り傷のダメージを軽減してくれる。丈夫な作りになっています」。

MTB用ロングスリーブウェアの肘の余裕

ロングスリーブウェアは特に肘の部分にプロテクターを装着できるよう余裕が設けられる

MTB用ロングパンツの膝の余裕

ロングパンツも同様に膝の部分に余裕がある

 

「また、ゆったりとしたフィット感になっていて、特に肘と膝のあたりに余裕を持たせていることに気づかれるはずです。これは、プロテクターをウェアの内側に装着することを想定しているからです。

特にグラビティライドではプロテクターの着用は重要です。プロテクターの種類や選び方については、後ほどの回で紹介しますので、お楽しみに」。

MTB用ロングスリーブウェアの一例

MTB用ロングスリーブウェアにもいろいろな種類があり、防御力に特化したものや着心地を優先したものなど、さまざまだ。写真はスペシャライズドの「メンズ トレイル ロングスリーブジャージ」(9900円・税込)。着心地の良い綿素材で速乾性の高い生地を用い、春・秋にかけて活躍するアイテム。太陽の光を反射して涼しさを保つ機能も併せ持つ

MTB用のロングパンツ

MTB用のロングパンツ。写真はスペシャライズドの「トレイルパンツ」(1万8700円・税込)。足首にかけてテーパーがきいていてすっきりとしたフォルムで、かつ通気性が高く伸縮性に優れる。ペダリング時に脚の動きを妨げないようポケットの構造も含めて工夫が凝らされている

MTB用ロングパンツに設けられる裾の絞り

MTB用ロングパンツに設けられる裾の絞り

 

「また、ロングパンツについては、裾の部分がきゅっと絞られているのが特徴です。裾がチェーンリングのギヤ板に引っかかったりしないようにするためです」。

MTB用ロングパンツに設けられるポケット

MTB用パンツに設けられるポケット

 

「そして、パンツにはポケットが多数ついているものが多いです。さらに、例えばスマートフォンを入れたりしていてもペダリング時に脚の動きを妨げないようにポケットの位置が少し下側に設けられるなど、作りが工夫されていたりします」。

 

長袖か半袖か、長ズボンか短パンか

同様の機能を備えたショートスリーブウェアとショートパンツもあるが、気になるのは暑い時期はどうしたらいいのか? だ。

「暑い時期でも、私はできればロングスリーブウェアにロングパンツを着ることをおすすめします。MTBパークやトレイルでは木々や葉っぱが生い茂っていますから、そうした植物で肌に切り傷を作ってしまう場合があり、それは極力防いだ方が良いと考えているためです。また、特にMTBパークでグラビティライドを楽しむのならば、転倒したときのけがを最小限に抑えるためにも、基本的にはロングスリーブにロングパンツにした方が良いでしょう。

しかし、やはりショートスリーブ・ショートパンツに比べると、どうしても暑く感じてしまう傾向があるのは否めません。とはいえ先ほど紹介したように、MTBウェアはいわゆる長袖長ズボンタイプでもかなり涼しく通気性と速乾性に優れた作りになっているので、ある程度の涼しさは確保できます。

ただし、かなり気温が高く熱中症の危険性がある場合など、時と場合に応じてショートスリーブ・ショートパンツを選択して、自分なりに調節してみてください」。

 

自分のライディングスタイルに合ったお気に入りの一着を見つけ、より快適にMTBライドを楽しんでいってほしい。