8月26日から始まる全日本トラック パリ五輪自転車競技の出場枠規定とトラック競技の現在地

目次

東京五輪
2024パリオリンピックの出場枠獲得に向けたレギュレーションが発表された。各自転車競技の出場枠数と選考期間、選考方法について紹介していこう。
 
東京オリンピックでも日本ナショナルチームとして多くの力が入れられたトラック競技では選考期間も始まっており、メンバーを入れ替えながら新たな戦いに向けて本格始動している。
 
また、8月26日(金)~29日(月)には、伊豆ベロドロームにて全日本選手権トラックが行われる。
 

パリ五輪への出場枠争い

2024年フランス・パリが開催地となるパリオリンピック。国際オリンピック委員会の承認を受け、UCIは2024年7月26日~8月11日に行われるパリオリンピックの自転車競技における出場枠規定について公開した。
 
パリ五輪の自転車競技の開催種目は、東京五輪と全く同じくロードレース&TT、トラック、MTB(クロスカントリー)、BMXレーシング&フリースタイル。出場枠規定に関しても東京五輪のときと大差はないが、今回が初めて男女の出場枠が全て同数となる。この記事では、現状で発表されているBMXフリースタイル以外の出場枠規定について見ていこう。
 
 

ロードレース

全日本トラック2022
 
出場枠(一国あたりの最大出場者数):男女それぞれ88人+ホスト国であるフランス男女2人ずつ(一国で男女各最大4人まで)
 
 

個人タイムトライアル

全日本トラック2022
 
出場枠:男女それぞれ35人(一国で男女各最大2人まで)
選考期間:2022年10月未定~2023年10月未定
 
ロードレースは、オリンピックに向けてのランキングなどは別途作られず、選考期間中のUCIポイント合計で算出されるUCIロードワールドランキングのトップ45国に対して、1位~5位に4枠、6位~10位に3枠、11位~20位に2枠、21位~45位に1枠、合計80人分の出場枠が振り分けられる。
 
このランキングで出場枠が得られなかった国に対して、2023年世界選手権ロードでトップ2の国に1枠ずつ、ヨーロッパとオセアニアを除く2023年大陸別選手権トップ2の国に1枠ずつが与えられる。
 
これに加え、ホスト国であるフランスに2枠が与えられるが、上記で枠が獲得できている場合はそれに追加という形にはならない。1チーム(一国)あたり最大4人の出場となり、合計90人の出場枠が用意される。
 
TTは、選考期間中のUCIロードワールドランキングのトップ25国に1枠ずつに加えて、2023年世界選手権TTでトップ10の国に1枠ずつ与えられる。一国あたり最大2人まで出場可能となる。
 
 
 

トラック

全日本トラック2022
 
出場枠(一国あたりの最大出場者数):男女それぞれ95人(一国で男女最大7人ずつ)
短距離(ケイリン30人、スプリント30人、チームスプリント8チーム×3人)
中距離(オムニアム22人、マディソン15チーム×2人、チームパシュート10チーム×4人)
選考期間:2022年7月9日~2024年4月14日
 
 
自転車競技トラックでの開催種目は、東京オリンピックのときと同様、短距離はチームスプリント、ケイリン、スプリントの3種目。中距離はチームパシュート、マディソン、オムニアムの3種目となる。この全6種目全体で男女それぞれ95人ずつの出場枠が設けられた。なお、短距離種目の女子チームスプリントは、これまで1チーム2人での構成となっていたが、男子と同様に3人での構成に統一される。
 
東京五輪同様のときと同様、チームスプリントで出場枠を得るとケイリン&スプリントへの出場権を得られ、チームパシュートで出場権を得るとマディソンの出場権が、マディソンの出場権を得るとオムニアムの出場権が自動的に得られるシステム。
 
トラック競技では、単純にUCIポイントを合計したUCIランキングではなく、大陸別選手権、ネーションズカップ、世界選手権のリザルトに限ったUCIトラックオリンピックランキングが作成され、それによって出場枠を決定する。
 
UCIトラックオリンピックランキングは、五輪前直近2回分の大陸別選手権で獲得したUCIポイントに0.75倍したポイント、2023年&2024年ネーションズカップそれぞれのベスト2リザルトで獲得したUCIポイントに0.75倍したポイント、2023年の世界選手権で獲得したUCIポイントを1.5倍したポイントの合計によって選手個人ごとに算出される。
 
チームスプリントは選考期間中のランキングでトップ8の国が出場権を獲得できる。ケイリンとスプリントはそれぞれのランキングでチームスプリントでの出場枠を獲得した国を除いたトップ7の国が出場枠を得られる。また、チームスプリントの出場枠を獲得している8国は、自動的にケイリン&スプリントともに2枠ずつが与えられる。
 
チームパシュートは、ランキングのトップ10国が出場権を得られる。マディソンはチームパシュート出場枠を獲得した10国にそれぞれ1枠ずつ+ランキング中、チームパシュートの出場枠を獲得した国以外のトップ5が出場枠を得られる。
 
さらにオムニアムは、マディソンで出場枠を獲得した15国に1枠ずつ+マディソンで出場枠を獲得していない国の内、ランキング上位7国が出場枠を獲得できる。
なお、トラック競技はホスト国枠はなし。
 
 

MTB(クロスカントリー)

全日本トラック2022
 
出場枠(一国あたりの最大出場者数):男女それぞれ34人+ホスト国1人ずつ+ユニバーサリティ枠1人ずつ(一国で男女各最大2人まで)
選考期間:2022年5月7日~2024年5月26日
 
選考期間中のワールドカップなどがポイント対象となるUCI MTBオリンピックランキングのトップ19国に対して、1位~8位に2枠、9位~19位に1枠と、合計27人分の出場枠を分配される。
 
このランキングで出場枠が得られなかった国に対して、2023年世界選手権のエリート&U23それぞれトップ2の国に1枠ずつ、ヨーロッパとオセアニアを除く2023年大陸別選手権トップの国に1枠ずつ与えられる。
 
さらにホスト国に1枠、第三者機関が決めるユニバーサリティ枠で1人の合計36人の枠が用意される。
 
 
 

BMXレーシング

全日本トラック2022
 
出場枠(一国あたりの最大出場者数):男女それぞれ22人+ホスト国1人ずつ+ユニバーサリティ枠1人ずつ(一国で男女各最大3人まで)
選考期間:2022年8月1日~2024年6月2日
 
選考期間中の世界選手権やワールドカップなどがポイント対象となるUCI BMXレーシングオリンピックランキングのトップ10から順に、1位&2位に3枠、3位~5位に2枠、6位~10位に1枠、合計17人分の出場枠が振り分けられる。
 
ランキングで出場国を得られなかった国に対して、2023年、2024年の世界選手権トップの国にそれぞれ1枠、ヨーロッパとオセアニアを除く2023年大陸別選手権トップの国に1枠ずつ与えられる。さらにホスト国に1枠、第三者機関が決める1枠と合わせて合計24人の枠が用意される。
 

トラック競技の現在地

全日本トラック2022

 
出場枠獲得規定について簡単に説明したところで、少し前の話にはなるが、7月28日~31日の4日の日程で行われたジャパントラックカップⅠ&Ⅱで垣間見えてきた日本ナショナルチームの現状について整理したい。
 
東京五輪の段階で自転車競技の中で、日本ナショナルチームとして体制と環境が最も整えられていたのは、間違いなくトラック競技だった。パリ五輪に向けてもその状況は変わらないように思える。
 
ジャパントラックカップは、チームパシュートやチームスプリントなどタイム系の競技は行われず、2日間で中距離はオムニアム、マディソン、短距離はスプリントとケイリンを男女でそれぞれ行い、それを連続で繰り返すという選手たちにとっては厳しいスケジュールとなった。
 
今大会は、パリ五輪の出場枠獲得に関わるものではなかったが、今年の世界選手権の出場枠獲得に向けて貴重なUCIポイント獲得の機会でもある。
 
全日本トラック2022

1回目のケイリン決勝は後方で落車もありつつ脇本雄太が勝ち切った

 
 
今大会では、短距離も中距離も若手選手の活躍が目立ったように思える。1回目のケイリンで東京五輪代表の脇本雄太が優勝したことを除いては。
 
東京五輪を終えてから日本の競輪に集中し、拠点も地元に移した脇本は競技では1年のブランクがあった。今年、故障から復帰し、競輪でも他を圧倒する強さを見せている脇本だが、東京五輪ぶりの競技でもその強さは健在だった。リオ五輪から9年間、東京五輪に向けてナショナルチームの体制が本格的に整ってからは延期分も含めて5年間競技に打ち込んだ。
 
世界を知った脇本ゆえに後輩たちの今回の走りに対してこう話した。
「まだまだ対応力が足りてないです。あくまでも戦っている舞台が(まだ)アジア選手権だったりで、本当の世界選手権っていうのを味わってないと思うので。実際にオリンピックの出場ポイントがかかってくる世界選手権で一番身にしみると思います。それは多分、僕が言っても実際に体験しないとわからないこと。ただ、もう残りの日数がないことを考えるとそこもしっかり感じ取らないといけないところだとは思います。
ブランクがある自分に負けてるようじゃまだまだです。何のための1年か。その辺はみんなはよくわかってると思うので。やばいと思わなきゃ駄目だよっていう一つの視覚化ですよね。今まで僕がやってきた5年間っていうものに対しても追いつかない。こっちは5年で、彼らには3年しかない」
 
全日本トラック2022

1回目のスプリントでは優勝が寺崎浩平、3位に太田海也が入った。2位は失格でなし

 
 
一方で2回目のケイリンでは中野慎詞、2回目のスプリントでは太田海也という若手のホープが優勝。
 
ボート競技から競輪選手に転向した太田は、競技をはじめてまだ間もなく、ナショナルチームに入ってから初めての個人戦となった。大会の初日、2日目と落車も続いたが、「本数を(多く)走るのは多分、他の選手よりは一番得意だと思う」と、フィジカルの強さを見せ、最終日に勝利をさらった。
 
太田は、「厳しいって言われるかもしれないですけど、確実にもうパリの後は考えてないので。自分の中ではもう時間がないのは入ったときからわかっているので。1本1本集中して、頑張ります」と話した。
 
短距離女子では佐藤水菜の活躍が目立った。昨年の世界選手権ケイリンでの銀メダル、今年のアジア選手権金メダルと順調に成長を見せる佐藤。これから世界大会での経験を積み重ね、覚悟を背負ったとき、どう化けるかに期待したいところだ。
 
全日本トラック2022

男子マディソンで今村と兒島がポイントを獲り合う

 
 
中距離男子は東京五輪の時と同様にチームブリヂストンサイクリングのメンバーがしのぎを削る。1回目の男子オムニアムを兒島直樹が獲り、2回目を今村駿介が獲った。だが、リオ五輪代表の窪木一茂、東京五輪代表の橋本英也もまだまだ壁となって立ちはだかる。
 
中距離女子は、スイスのワールドサイクリングセンターでの修行から帰国した梶原悠未はもちろん、内野艶和、古山稀絵のこれからの成長ぶりにも期待したい。
 
中距離は男女ともに平均スピードが出場する選手によって大きく異なるように感じる。特にロードレースのワールドチームで活躍する選手が入ると格段にレースのスピードは速くなる。
 
これまでマディソンやオムニアムで世界王者の座を獲得してきた選手も最近ではグランツールなどでも多く見かけるようになってきている。トラックレースが今後どのように変化をしていくかも注目したい。
 
また、8月26日~29日には再び静岡県伊豆市の伊豆ベロドロームにて『第91回全日本自転車競技選手権大会トラック』が行われる。4日間の戦いは有観客での開催で有料チケット制。前売り券は1000円(https://2022tracknationalchampionships26.peatix.com 日にちごと)、当日でも現地で1500円でチケットが購入可能だ。また『楽天Kドリームス公式 にじいろ競輪TV』にライブ配信も予定されているため自宅でも観戦を楽しめる。
 
出場枠獲得に向けて争いも徐々に激化していくであろうが、国内でのセレクション争いというところでも注目だ。