新城幸也、3度目の全日本チャンピオンに輝く 2022全日本選手権ロード

新城幸也 全日本選手権2022

全日本自転車選手権ロードレース3日目、男子エリート。11時のスタートラインに116人の選手が並んだ。目指すは全日本チャンピオンジャージ、そのフィニッシュラインは15周、184.5km先にある。

雨になったほうがいい、という選手がいた。距離は160kmじゃ足りない、200km、と言った選手もいた。レースが厳しくなることを自ら望み、その準備をした選手たちが蒸し暑いサイクリングロードへとスタートしていった。

コースはアップダウンが続く狭いワインディングで、集団で走る分には「ジェットコースターに乗っているように走れる」という形容もあるようだが、それでも暑さと湿度は徐々に選手を消耗させていく。メイングループは淡々と走っているように見えて、集団後方では選手がバラバラと脱落していった。

逃げが形成されたのはレース中盤の8周目、集団前方でアシストとして働いていた阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)小森亮平(マトリックス・パワータグ)ら3人だ。タイム差は1分、メイングループでは先頭付近にキナンレーシングチームが集結し、上りでペースアップを図るがトータルでは逃げを捕まえることがない。白川幸希(シエルブルー鹿屋)が単騎前に追いついて先頭は4人となった。

新城幸也 全日本選手権2022

新城幸也 全日本選手権2022

 

10周目に入るホームストレートで集団から新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)が様子見のアタックを見せる。これを見ていた日本ナショナルチームの浅田顕監督は「あれはまだアタックというほどのものじゃなく、犬が伸びをしているようなもの」とニヤリ。幸也の底知れぬ力を知る浅田ならではのコメントだ。

幸也の動きで逃げとの差は一気に縮まるがこれも15秒差までで、ふたたびタイム差は広がっていく。11周目、集団では幸也が今度は上りで鋭い加速を見せ、グループの人数は一気に絞られた。結果的にはこの人数がほぼ完走したメンバーとなった。

12周目、メイン集団が逃げを捕まえたが、この残り4周の時点で小石祐馬(チームUKYO)が単独アタックを開始した。2日前のTTで2位となったばかりの好調の小石、そして追走はTTの勝者金子宗平(群馬グリフィン)が前を牽く。タイムギャップは25秒ほどだ。

 

新城幸也 全日本選手権2022

新城幸也 全日本選手権2022

 

14周目、ついに小石が捕まると、14人ほどの集団内最大勢力のキナンレーシングチーム(4人!)から山本大喜がアタック。単独となって最終周回に突入していった。追走は10数秒の差で幸也と新城雄大(キナンレーシングチーム)。雄大は先頭を代わる必要はないが、幸也はものともせずに前を追った。大喜に追いつかないことには勝負にならないのだ。

コース中盤で2人は大喜を抜き去り、そのままハイペースで上りをこなしてホームストレートへ。「向かい風だったのでスプリントは100mか150m」と語った幸也が最後まで気を抜かずスプリントに臨み、同郷の雄大を破って3度目の全日本チャンピオンとなった。

 

新城幸也 全日本選手権2022

新城幸也 全日本選手権2022

 

「バーレーンのジャージでの全日本チャンピオンは初めてなのでとても嬉しい」とコメントした幸也は2007年と2013年に続く勝利だが、15年間に渡り日本一を争うレベルで走り、勝利した選手は日本の自転車ロードレース史上類を見ない。あっぱれ、新城幸也!

 

新城幸也 全日本選手権20222022全日本技選手権 男子エリートロードレース
1. 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)
2. 新城雄大(キナンレーシングチーム)
3. 山本大喜(キナンレーシングチーム)

 

第90回 全日本自転車競技選手権大会 ロード・レース
第25回全日本選手権個人タイム・トライアル・ロード・レース大会
開催期間:2022年6月23日(木)~6月26日(日)
会場:広島県中央森林公園サイクリングロード

日本自転車競技連盟
https://jcf.or.jp