世界初eMTB選手権 イタリアで開催

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世界初eMTB選手権

世界選手権モトクロス第15戦イタリアGPが開催されたイタリアのイモラ(アウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ)で、2019年8月17日に電動アシストマウンテンバイク(eMTB)による世界初のコンペティション、FIM E-XBIKE World Cupが開催された。

改造無制限のEXBGPクラスではQulbix(クルビック)改で出場したスロベニアのアンゼ・スベテクが、また市販車ベースのEXB2では地元イタリアのロベルト・ファブリ(BMC)が、EXBGPウィメンズクラスではフランスのカロライン・ドシェーン(ジャイアント)が、EXB2ウィメンズクラスはハンガリーのニキ・マック(スコット)がそれぞれ初代チャンピオンに輝いた。

 

モーターサイクルのモトクロスレースと併催

世界初eMTB選手権

「マウンテンバイクのレースは実は今回が初めて。元々モトクロスをやっていてドイツ選手権のチャンピオンになったこともある。その経験を買われて今回参戦することになった。マシンの性能が大きかったが、初代チャンピオンになれたのは光栄。面白いスポーツだし今後発展して欲しい。」とトップカテゴリーを制したアンゼ。

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モトクロスグランプリ予選終了後の荒れたコースを、静かに、だが力強く進むeMTB。25分+2周で行われたレースは、電動自転車にクランクを取り付けたクルビック改に乗るアンゼがスタートから独走。2位以下に大差を付け圧勝で初代王者に輝いた。世界モーターサイクル協会とモトクロス世界選手権を運営するユースストリームが肝入りで開催したこの大会は、欧米ではすでに人気が高まっているeMTBを初めて公式に競技化したもの。70馬力を越えるモトクロスと同じコースを使用したため、参加した選手たちは急な上りや大きなジャンプに苦戦を強いられたが、電動アシストならではの力強い後押しを得て、参加した18人全員が元気に完走を果たした。愛好者や競技人口では圧倒的な数を誇る自転車競技だけに、今回のレースをきっかけに、今後ブームを巻き起こす可能性は大いにありそうだ。

世界初eMTB選手権
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「我々はeMTBによる世界初の競技を8月のイタリアGPで開催する。」その発表が行われたのは、3月にファルケンスワードで開催されたオランダGPのプレスルームだ。土曜日の夕方、モーターサイクルスポーツを統括するFIMとMXGPを運営するユースストリームが記者会見を行うというリリースこそ出されていたが、毎年夏に開催されるジュニアワールドモトクロスの日程が未発表だったことから、ほとんどのプレスはその通達だろうと思っていたし、突然発表された「eMTB世界初のレース」というフレーズに、世界中から集まっていたモトクロスジャーナリストたちは、驚きを隠すことなく壇上を注視した。

ヨーロッパやアメリカを中心に、電動アシストマウンテンバイクを使ったトレッキングライドがブームになっているのはある程度知っていた。デュッセルドルフの空港で本屋を覗いたら、「e-MTB」というそのものズバリな専門誌がレジ横に平積みで置かれている。去年まではファットタイヤのMTBが人気だったレースパドックの移動手段も、今年はeMTBが数を増やし、中にはどうチューニングしたのか、漕がずに走り続けるものも何台か目撃した。

結論から言うと、世界初のeMTBレースのレースは、少々というかかなりの肩透かしで、まだまだこれからだなというのが正直な印象だった。実際に主催者であるユースストリームの代表も「最初の一歩を踏み出せたことに意味がある。」と言い訳混じりで総括したが、参加したライダーにも見守った関係者や観客にとっても、正直面白さが良くわからないレースになった。

そもそもルールがかなり大雑把。カテゴリーは2クラスで、市販車を対象としたEXB2は電動アシストの出力上限が250W、アシスト速度が時速25km。メーカーがワークス体制で参戦してくるのではと期待したEXBGPクラスは、250W以下、アシスト速度が時速45km。当初30分と発表された競技時間は25分+1周に修正されたが、実際レースが行われたのは土曜日の最終プログラム。夏のヨーロッパでレース開始の18時はまだまだ宵の口ではあるものの、リッター100馬力を軽く越えるモトクロッサーが走行したあとのコース上には、深さ20〜30cmを越える深いワダチが幾本も刻まれていて、しかもコーナーではそのワダチにカントが付く。つまり自転車にとっては荒れ過ぎの路面コンディションで、参加選手にしてみれば、クロスカントリーでもこんな路面状況はあり得ないし、下りはともかく上りの斜面角度は急過ぎたし、1周約2kmのコースもショートカットなしでは長過ぎで、スプリントレースの様子はまるでなし、つまり電動アシスト付き、おっかなびっくりのクロスカントリーレースになってしまったのだ。

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総勢18名の参加ライダーも微妙だった。普段クロカンやトレッキングを楽しむ愛好家が中心で、自転車のスペシャリストは今回出場を見合わせた様子。その代わりにオートバイのロードレースでは名の知れたイタリアのレジェンド、マルコ・メランドリやモトクロス界のレジェンド、ダビデ・ガルネリなどが賑やかしで出場。

そんな中で最も注目を集めたのが、電動バイクにペダルを装着したスペシャルマシンを持ち込んだクルビック。レースはこのマシンを駆ったアンゼ・スベテク(スロベニア)が平均時速28.8kmで8周をまわり優勝。EXB2では地元イタリアのロベルト・ファブリ(BMC)が、EXBGPウィメンズクラスではフランスのカロライン・ドシェーン(ジャイアント)が、EXB2ウィメンズクラスはハンガリーのニキ・マック(スコット)がそれぞれ初代チャンピオンに輝いた。ちなみに総合優勝のスベテクはドイツ選手権モトクロスの元チャンピオン。最もパワーのあるマシンとモトクロスを知り尽くしたライダーの組み合わせが、クルビックに初の栄冠をもたらした。

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EXBGPウィメンズクラスで優勝したカロライン・ドシェーン

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EXB2で優勝したロベルト・ファブリ

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EXB2ウィメンズクラスで優勝したニキ・マック

コースを1分程度にショートカットする。緩い下りの先にダブルやテーブルトップ状のコンビネーションジャンプを配置する。スタート前に路面をフラットに均す。そんな演出を加えれば、レースもスプリント性が増して盛り上がったように思える。今回の開催を踏まえて、来年開催されるとしたら、それはすぐに改善されるハズだ。今回は全員が元気に笑顔で走りきったことが最大の収穫だったと思う。しかしその楽しさこそ、この競技が発展するかどうかのポイントだと思う。今回はクルビック以外、ボッシュとシマノ、ヤマハのコンポーネントを組み込んだマシンのみの参加だったが、競技の特性が浸透し、そこに価値が見出せれば、後発のメーカーやワークス体制での参加も期待できる。ゲートは下りた。世界初のコンペティションとなった「FIM E-XBIKE World Cup」。ようやく産声を上げたこのスポーツの普及と発展を楽しみに見守りたいと思う。

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