iRCのシクロクロス用タイヤ・シラクCX TLRほかニューモデルが登場

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iRC シラクCX

日本のタイヤブランドiRCがシクロクロス用タイヤのニューモデル・シラクCXチューブレスレディシリーズを12月5日に開かれた東海シクロクロス第2戦iRC TIRE CUPで発表した。

従来のチューブレスモデルの特徴を受け継ぎながら、チューブレスレディ(TLR)化することでタイヤの軽量化を実現しているのが特徴だ。会場ではロードライト ホームトレーナーなど、その他の新製品も発表された。

 

軽量モデルとXガードモデルの計6モデル展開

シラクCXチューブレスレディシリーズは、これまでのチューブレス仕様と同様に軽量モデルとクロスガードを搭載してサイドカット対策や耐パンク性能を強化したXガードモデルからなる。

ラインナップはそれぞれベーシックなシラクCX TLR、砂地などで威力を発揮するシラクCX エッジ TLR、マッドコンディション向けのシラクCX マッド TLRが用意され、全6モデル。チューブレス時代にラインナップされていたシラクCX サンドは、パターンの似たシラクCXエッジ TLRに統合された。

iRC シラクCX

幅広いコンディションで優れたグリップ力を発揮するベーシックモデル、シラクCXチューブレスレディ。サポートライダーもシクロクロスレースのタイヤ選びでこのモデルを基準にしているという

iRC シラクCX

シラクCX TLRトレッド

iRC シラクCX

砂地でスタックしにくく、草地や固く締まった路面などでも威力を発揮するシラクCXエッジチューブレスレディ。トレッド中央部がダイヤ目になっていて、転がり抵抗を低減しながら、サイドに大きめのノブを配することでコーナーでのグリップ力を確保している。前輪にグリップの高いタイヤを使い、後輪をこのモデルにするサポート選手も多い

iRC シラクCX

シラクCXエッジ TLRトレッド

iRC シラクCX

泥深い路面や積雪路でもしっかりグリップし、トラクションもかかるシラクCXマッドチューブレスレディ。エッジの立った深いブロックパターンが特徴。プロ選手はコースやコンディションによって前輪をしっかりグリップさせてコーナーでの安定感を高める目的でフロントのみこのタイヤを入れることもあるという

iRC シラクCX

シラクCXマッド TLRトレッド

 

チューブレス仕様と比べて最大35gの軽量化を達成

最大の特徴は、チューブレスレディ採用によってタイヤ本体の軽量化を実現したことだ。チューブレス仕様と比べたタイヤの1本あたりの重量は、軽量モデルでは35g、Xガードモデルでは30gの軽量化を達成している。

それを可能にしたのがチューブレスレディ化にともなう構造の全面的な見直し。気密性を高めるシール層にはマイクロゲージインナーという極薄のエアシール層を採用している。これによりチューブレス仕様よりタイヤの厚みが薄くなり、シーラントと併用することでエアの保持力を確保しながらしなやかな乗り心地を実現。路面追従性も向上している。

「私どものチューブレスタイヤを使うライダーの中には、パンク対策としてシーラントを併用されている方も少なくありませんでした。それなら少しでも重量が軽くなるチューブレスレディもメリットがあると感じたのが開発のきっかけでした」
と井上ゴム工業BCタイヤ事業統括の常国冬広さん。

軽量化によってホールショットを狙うためのスタートダッシュで有利な展開に持ち込みやすくなり、コーナーの立ち上がりでは加速の乗りがよくなることが期待できる。インターバルが連続するシクロクロスでは、シラクCX TLRシリーズの軽さは武器になる。

 

フックレスリムにも対応

シラクCXチューブレスレディシリーズのもうひとつの特徴は、フックレスリムに対応するようになったことだ。

フックレスリムはジップやエンヴィ、カデックス(ジャイアント)などのブランドが採用しており、従来のフック式リムより低い空気圧で運用できるため、リムを軽量化でき、乗り心地をよくすることが可能というメリットがある。一方で、対応するタイヤのラインナップがまだ少なく、タイヤの選択肢が少ないのが難点だった。

シラクCXチューブレスレディシリーズは、通常のフック式のTLR対応リムだけでなく、フックレスリムにも対応するので、フックレスリムユーザーにとっては朗報と言えるだろう。

 

軽量モデルではビード付近を補強

軽量モデルではビード付近をチェーファー(補強テープ)で補強し、重量増を最低限に抑えながらリム打ちパンクを防いでいる。

シクロクロスタイヤはコンディションやライダーの体重にもよるが1.5気圧前後の低圧で使用することも少なくなく、シケインをバニーホップで越えたり木の根が露出しているような路面を走ったり、タイトなコーナーでタイヤに強い横Gがかかるなど、タイヤにとっては過酷な環境で使われる。そうした条件下でもトラブルを防ぎ、ライダーにとっては安心して使えそうだ。

なお、Xガードモデルでは、ナイロン繊維を40×40tpiのクロス織りにしたメッシュ状のベルトでビードからビードまで全面を覆うように補強する従来と同じ構造を採用。サイドカット対策を強化している。

iRC シラクCX

メガードシリーズはクロスガードを採用し、耐パンク性能とサイドカット対策を強化した

IRCタイヤ シラク

軽量モデルのビード付近の補強は、リムラインより上のロゴ付近まで行われている。

IRCタイヤ シラク

よく見ると補強されている部分は繊維のパターンが違うのが分かる

 

サポートライダーがさっそく実戦投入!

この日行われた東海シクロクロス第2戦iRC TIREカップでは、iRCのサポートを受ける選手たちが最上位クラスのC1クラスに出場。畑中勇介(キナンサイクリングチーム)が優勝し、大町健斗(eNShare Racing Team)が2位に入るワン・ツーフィニッシュを決めるなど、さっそく好成績を収めた。

iRCのサポートを受ける山中真(GT Bicycles/人力車)もC1クラスのレースに出場。芝や硬く締まった路面が中心のコースで、コーナーが若干ぬかるんでいる以外はほぼドライだったため、前輪にシラクCX TLR、後輪にシラクCXエッジ TLRを使用し、空気圧は前後2.1とやや高めで臨んだ。2回のトラブルに見舞われて7位に終わったものの、ホールショットを決めるなど、タイヤの感触は上々だった模様。

「従来のチューブレスモデルの良さはそのままに、重量が軽くなっているのがよく分かります。インターバルを繰り返すレースでは漕ぎ出しの軽さは武器になると思います」

iRC シラクCX

iRC TIREカップのC1クラスで優勝した畑中勇介(キナンサイクリングチーム)。前輪はシラクCX TLR、後輪はシラクCX エッジ TLRをチョイス

iRC シラクCX

最後まで畑中とデッドヒートを繰り広げてC1クラス2位に入った大町健斗(eNShare Racing Team)もシラクCX TLRシリーズでレースに臨んだ

iRC シラクCX

シケインをバニーホップで越えるiRCサポートライダーの山中真(GT Bicycles/人力車)。この日はホールショットも決めた

 

−スペック−

シラクCXチューブレスレディ
サイズ:700×32C
ビード:フォールディング
推奨空気圧:45-75PSI
重量:345g
参考価格:8030円

シラクCXチューブレスレディ X-ガード
サイズ:700×32C
ビード:フォールディング
推奨空気圧:45-75PSI
重量:405g
参考価格:8800円

シラクCX エッジ チューブレスレディ
サイズ:700×32C
ビード:フォールディング
推奨空気圧:45-75PSI
重量:345g
参考価格:8030円

シラクCX エッジ チューブレスレディ X-ガード
サイズ:700×32C
ビード:フォールディング
推奨空気圧:45-75PSI
重量:405g
参考価格:8800円

シラクCX マッド チューブレスレディ
サイズ:700×32C
ビード:フォールディング
推奨空気圧:45-75PSI
重量:345g
参考価格:8030円

シラクCX マッド チューブレスレディ X-ガード
サイズ:700×32C
ビード:フォールディング
推奨空気圧:45-75PSI
重量:405g
参考価格:8800円

シラクCXマッド/シラクCXマッドX-ガードは2022年1月中旬発売予定。
その他のモデルは2021年12月下旬発売予定。

iRC シラクCX

シラクCX TLR Xガード

iRC シラクCX

シラクCX TLR Xガード トレッド

 

インドアトレーニング用タイヤ・ロードライト ホームトレーナーなど新製品も続々

この日、iRCブースではシラクCXチューブレスレディシリーズのほかにも新製品が多数展示されていた。

ロード用トレーニングタイヤのロードライトシリーズには、インドアトレーニング専用のクリンチャータイヤ・ロードライト ホームトレーナーが新たに仲間入りする。

このモデルはインドアトレーナーでおなじみのグロータックと共同で開発。3本ローラーや固定式ローラーなどのインドアトレーナーで使うことに特化したモデルだ。

構造上の特徴は、タイヤのつなぎ目を極限まで平滑化し、高い真円度を誇ること。3本ローラーなどでタイヤが高速で回っても振動が発生しにくいという。また、タイヤの付け外しがしやすいよう、ビード周長も最適化している。

サイズも700×25Cと他メーカーのインドアトレーニング用タイヤと比べて太めになっているのも特徴。これは最近のホイールのワイドリム化に伴ってタイヤサイズも25mm幅以上の太めのものがスタンダードになっていることを踏まえたものだ。

さらにトレッドも高いグリップ力を発揮するコンパウンドを採用し、トレーニング中に汗でローラーやタイヤが濡れても滑りにくくなっているという。実際に指で触った感じでは屋外で舗装路を走っても問題なさそうなグリップ力がありそうだが、公道走行は不可とのことだ。

iRC シラクCX

iRCが満を持して発売するインドアトレーニング専用タイヤ・ロードライト ホームトレーナー。幅25mmと他社のタイヤより太めのサイズで、実際に練習用タイヤとして屋外でも使えそうな高いグリップ力を誇る

IRC ロードライト

ロードライト ホームトレーナーのトレッド

 

−スペック−

ロードライト ホームトレーナー
サイズ:700×25C
ビード:フォールディング
推奨空気圧:90-115PSI
重量:195g
参考価格:5750円
※公道走行不可