マウンテンバイクを買う前にまずやっておくべきこと【MTBはじめよう! Vol.1】

目次

【MTBはじめよう!】買う前にまずはやっておくべきこと編

特別協力:スペシャライズド・ジャパン 撮影協力:フォレストバイク

今、マウンテンバイク(MTB)が、特にトレイルライド、下り系(グラビティ)ライドと呼ばれる遊び方の人気が高まってきている。そこで、“既にロードバイクに乗っていて、新たにMTBを始めたい人” “スポーツバイクの経験はないけど、これからMTBを始めてみたい人”に向けた、マウンテンバイクトレイルライド&下り系ライドの基本中の基本から学べる連載をスタートする! まず第1回目では、バイクを買う前にぜひやっておきたいことを紹介しよう。

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POINT1 まずは常設パークでMTBに乗ってみよう

筆者(サイクルスポーツ編集部・大宅 ※オオヤ)はロードバイク歴約16年になる。ずっとロードバイク一筋だったが、取材でMTBに乗ったことがきっかけでその魅力に気づき、新たに始めてみたくなった。その後MTB関連の取材や撮影をたびたび行うようになったのだが、筆者に限らず同じパターンの人をよく見かけるようになってきた。また、まったくスポーツバイクに乗ったことのない若いカップルや、親子連れでMTBに興味を持っている、という例も見かけるように。MTBは今、少しずつ人気を集めていることは間違いない。

さて、「MTBを始めてみたいな」と思ったら、まずはバイクを購入することが頭に浮かぶ。しかし、いきなり購入するのもなかなか勇気がいるし、どんな価格帯でどんな種類のものを買ったらいいのかも分からないだろう。スポーツバイク初心者なら当然だし、ロードバイクに乗り慣れている人でも、MTBとなるとまったく別ジャンルで、知識は全然ないはずだ。筆者自身もその口で、自転車メディアの編集の仕事をしていながら、実際そのあたりが全然分からない。

そこで、プロに教えを乞うことにした。本シリーズを通してメインアドバイザーを務めてもらうのは、プロMTBライダー/インストラクターの板垣奏男さんだ。

板垣奏男(いたがき かなお)さん

板垣奏男(いたがき かなお)さん。東京サイクルデザイン専門学校を卒業後に本場カナダへ渡り、高度なライディングスキルからトレイルビルディングに至るまでを習得。現在はプロライダー/インストラクターとして活躍している。Instagram:kanao_i_into_the_ride  YouTube:kanao itagaki

「まずは気軽に乗ってみて、“MTBってこんなに楽しいんだ” “こんな雰囲気なんだ”ということを体験してみるのをおすすめします。すると、購入するのにイメージがわくし、より“やってみたい”という気持ちもわいてきますよ」と板垣さん。

まずはMTBに乗ってみるといっても、試乗会やイベントは限られていて、なかなか難しいように思えるが?

「実は、MTBは有料で遊べる常設パークが近年は充実してきていて、そこで気軽に体験してみることができるんです」。

常設MTBパーク

常設MTBパーク。写真は小田原の「フォレストバイク」

POINT2 バイク・装備はレンタルで 基本スキルも教えてもらえる

なるほど。そうしたMTBパークでは、バイクもレンタルできるのだろうか? また、専用の装備もあれば借りたいところだ。

「はい、多くの常設MTBパークでは、バイクのレンタルが可能です。ヘルメットやグローブ、プロテクターも借りることができる場合が多いです」。

服装やシューズはどうしたらいいのだろうか?

「動きやすい服装なら何でもOKです。Tシャツにジーンズで、ランニングシューズなどでまったく問題ありません。私もふだんはそうした格好で乗っています。ヘルメットは、ロード用のものを持っている人はそのまま使えます。

安全のために、長指グローブは必ず着用してください。持っていない人はレンタルできることが多いです。また、万一の転倒に備えて、プロテクターもレンタルしておけば万全です。

ということで、体一つで行って乗ってみることができますよ」。

ラフな服装で問題ない

ラフな服装で走る板垣さん。こういう服装でまったく問題ない。ちなみに右側は筆者

なるほど。ロードバイクだと試乗会や大規模イベントがないとこうしたことは難しいが、MTBならいつでもこうした体験ができるのだ。

とはいえ、何のテクニックも知識もないままに、いきなりフィールドに出て走り出すのは怖いが……?

「こうしたパークでは、初心者講習などのスクールやガイドツアーを開催している場所も多いんです。例えば、小田原市のフォレストバイクの場合は、初めて参加する人は必ず初心者講習を受ける仕組みになっています。最初に基本を学んでからフィールドに出られるので、安心して楽しめます」。

常設MTBパークでは講習会もある

常設MTBパークでは基本を教えてくれる講習会を開催しているところが多い。ブレーキングや基本的な乗車姿勢などを最初にきちんと学べるのだ

POINT3 条件に当てはまる常設MTBパークを探してみよう&東京近辺のおすすめパーク紹介

ということで、まずは購入する前に気軽に常設MTBパークで乗ってみて、その雰囲気や楽しさを味わってみることがおすすめ、ということを学んだ。では、具体的にどんなパークを探したらいいのか。また、例えば東京から行ける距離のおすすめパークは?

「はい、次の条件のパークを探してみてください。

1.バイクがレンタルできる
2.ヘルメットやグローブなど関連装備もレンタルできる
3.初心者向けの講習やガイドツアーを開催している

この3つです。

この条件に当てはまり、例えば東京から行ける距離のパークとしては、次のものがおすすめです」。

フォレストバイク

https://www.forestbike.jp/

神奈川県小田原市にあるパーク。東京から近くアクセスしやすいうえ、冬季に雪や凍結の心配が少ないので、1年中楽しめる。初心者講習やプラスアルファの講習が充実しており、さまざまなブランドの試乗会が開催されることも。板垣さんもここでインストラクターを務めている。

スマイルバイクパーク

http://smilebike.tokyo/

東京都内にある唯一のパーク。さまざまな基本スキルを身につけられる短いコースが充実している。アクセスのしやすさはピカイチだ。

ふじてんリゾート

https://summer.fujiten.net/

山梨県鳴沢村にあるパークで、比較的東京から近くアクセスしやすい。プロMTBライダーがプロデュースした、MTBの醍醐味を味わえる初心者にも優しい本格的コースが備わっている。

富士見パノラマリゾート

https://www.fujimipanorama.com/mtb/

長野県富士見町にあるパーク。長い歴史を持ち、日本のMTBの聖地的な存在だ。長野県とはいえ、比較的東京よりに位置するので、アクセスはしやすい。本格的ダウンヒルコースがメインではあるが、初心者向けのスキルアップエリアも充実しており、リフトを利用して下りだけを何度も楽しめる。食事処やレンタルショップなどの施設もかなり充実している。

白馬岩岳MTBパーク

https://www.nsd-hakuba.jp/iwatake_mtb_park/

長野県白馬村にある有名パーク。距離は遠いが、初心者でも安心して楽しめるすばらしいコースを備え、景色も環境も抜群。「遠いですが、訪れてみる価値はかなり高いです」と板垣さん。

なるほどなるほど! ということで、まずはこうした条件に当てはまるMTBパークを見つけ、体験してみてほしい。筆者もさっそく行けるところから巡ってみて、体験してみることから始めてみたいと思う。きっとMTBの魅力を味わえるはずだ。そうなったらすぐにでも欲しいバイクのイメージが湧いてくるはずだ!

次回→はじめてのMTB選び編

次回の連載では、MTBにはどんな種類があるのか? 最初の一台はどうやって選んだら良いか? というテーマで記事をお届けする。お楽しみに。