新城幸也 2021ジロ終了後インタビュー
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ⓒBettiniPhoto
第104回ジロ・デ・イタリアはエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアズ)の総合優勝で幕を閉じた。
新城幸也の所属するバーレーン・ヴィクトリアスのダミアーノ・カルーゾは1分29秒差で総合2位となり、ミラノの表彰台に上った。新城自身も総合77位で14回目のグランツールを立派に完走した。
ジロを終えたばかりの新城に話を聞いた。
全てがうまくいった良いチーム
今回のジロのチームは、全てにおいていいチームだった。選手はもちろんスタッフも、すべてが揃ったからこの結果が出たのかなと思う。「かみ合う」ということはこういうことなんだなと改めて感じた。全てがうまくいって、うまくいかなかったことももちろんあるけれど、結果としてトータルで見るとすごくいいジロとなった。
もちろん(ミケル・)ランダで総合を獲るというのがこのチームの目的だった。それは今年の初めから決まっていたことで、そのメンバーに僕が入れるかどうかだった。
パリ〜ニースが始まってミラノ〜サンレモを挟みペイバスク(イツリア・バスクカントリー)、ツアー・オブ・ジ・アルプスだったので、そこで僕がコンディションが良いことを見せないとジロに選ばれないことがわかっていた。最初から僕がメンバーに入っていたわけじゃない。ミケルが行く、イコール、チームは「狙う」ということなので、その責任は大きかった。
ランダがいたら総合優勝していた
ランダがいなくなって、ストラーデ・ビアンケ(第11ステージ)が終わってからは「ダミアーノ(カルーゾ)で狙う」と思うようになった。
ランダが帰って、ストラーデ・ビアンケ次第でビルバオで行くかダミアーノで行くかという話だった。でもペリョ(・ビルバオ)はその前に総合で遅れてしまった。3週目に入る前には総合を意識しはじめたけど、半分くらいまで、ストラーデ・ビアンケまでは総合を狙うというチームの方針ではなかった。
イネオスみたいに集団を一日中牽く力はないので、早くジャージを獲ろうと考えていたわけじゃない。残りの3日間で逆転すればいい、というのが最初のプランだった。
強さの秘密? すべての個々の役割が決まっていて、明確。今日は何をするということが決まっていて、明日のために何をするかが決まっている。勝つべくしてこのメンバーで来ていたから、そうなったんだと思う。
最初の休息日の会見でも言ったように、今回のジロは若い選手が多かったので、経験のあるダミアーノが有利だというのはあった。3週間の疲れも走り方も知っている。そして僕と同じくらいにペリョもラファ(ラファエル・バルス)もみんな経験が豊富。だから役割分担がハッキリしていて、すごくやりやすかった。チームは本当によく考えてこのチームを作ったなと思った。
勝ったダミアーノ・カルーゾは「アメージングなチームだ。自分自身は2つの夢をもっていた。ステージ優勝とグランツールの表彰台という夢だ。それが一気に叶った」と話していた。
たらればの話だけど、ここにミケルがいたらたぶん総合優勝していたでしょうね。ここにミケル(ランダ)、マテイ(モホリッチ)、ジーノ(メーダー)がいたら、たぶん勝ってましたよ。イネオスと同じくらいの戦闘力はあります。
グランツール最終日のポディウムに上った最初の日本人
(罰金が一番少なかったチームに与えられる)フェアプレー賞はボトル捨てたりヘンなことしてないということだけですけどね。最も罰金が少なかったのは3チームだったんですが、僕らが一番上位だったので選ばれたみたい。(フェアプレー賞で)グランツール最終日の表彰台に上った最初の日本人、という点ではそうでしょうね。
チームメイトとのシャンパンファイトは、「やばいやばい、みんな開けよった。そんなにすぐ開ける?」と思いながらやった(笑)。あれはラベルを剥がしただけの状態でまだ完全に閉まっているので、金具をちゃんと開けなきゃいけない。しかも瓶はめちゃくちゃ重たい、5kgくらいある。僕は花束とGOPROを持っていたけど、開けている最中にシャンパンを掛けられちゃった。
チームのために走るというスタイル
またミケル(ランダ)と走ったらどうなるかというのは楽しみ。(達成していない目標といえば)最後は一つしか残されていないでしょう!
それから、今回で明らかになったのは、自分のために走るというよりチームのために走るということが、僕のカタチになってきていますね。
ツール・ド・フランス出場はわからないです、チームがこれから決めることなので。僕は1週間フランスの家に帰って、脚を休めるだけです。頭は疲れてないですよ、家に帰るとオフになるんでしょうけどね。