キャニオン2021新型「エアロード」の詳細を解説

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キャニオン・エアロードCFR

Presented by CANYON JAPAN

アルケア・サムシックやモビスターの一部の選手が乗っていた見慣れぬバイクが、ついに正式発表された。それは控えめに言って個性の塊だった。外見からは分からない新型エアロードの詳細を解説する。

中身がすごいんです

キャニオンのエアロロード、その名もエアロードの新作がお披露目された。先代は2014年デビューだから、近年稀に見る長寿モデルだったといえる。

新型の外見は、よくあるクールな最新鋭エアロロードである。各部にカムテール形状を使い、専用ハンドルでケーブル類を完全内蔵し、ドロップドシートステーを採用する。順当に進化させればこうなるよね、というフレーム形状だ。

しかし京都のキャニオンジャパンで行われたローンチに参加し、説明を聞いて驚いた。外からは見えないところに、目が覚めるくらいの独自機構を採用していたのである。専用設計のハンドルはトップ部分で分割でき、幅の調整が可能。ハンドルトップ〜ステム〜フォークコラム上側はなんと一体型。専用パーツでコラム下側〜フォーク本体と固定するという、見たことのない構造だ。利点は、コラムカットせずともハンドル高が調整できること、コンパクトになるので配送しやすいこと、組み立てが容易になることなどである。直販のキャニオンならではの設計だろう。

また、シートポストは二層構造になっており、体重を受けるところとエアロカウルを切り離すという設計。これにより、高い空力性能と快適性を両立させているという。

個性的な細部に注目しがちだが、空力、軽さ、ハンドリング、快適性などの性能を全て底上げしているという。もちろんキャニオンらしい価格はそのままだ。いろんな意味で注目の一台である。

エアロードCFR
●シマノ・デュラエースDi2 R9170完成車価格/80万9000円(税抜)
●フレーム&フォーク/カーボン
●ホイール/DTスイス・ACR1100ダイカット62
●タイヤ/コンチネンタル・GP5000 700×25C(フロント)、同28C (リヤ)
●コックピット/キャニオン・CP0018エアロコクピット
●シートポスト/キャニオン・SP0046
●サドル/セライタリア・SLRライト
●サイズ/2XS、XS、S、M、L、XL、2XL
●カラー/ステルス×ティンテッドクローム

見た目は普通の一体型ハンドルだが、この独自構造がすごい。下で詳しく解説する。

キャニオン・エアロードCFRのハンドル

フォークをはじめ、フレームには カムテール形状が多用されている。エアロロードの万能化がはや っているなか、新型エアロードの各チューブは前後長を長く取っ ており、空力性能に特化している印象。これは、F1の経験も豊 富な空力のエンジニアリング企業、スイスサイドとの共同開発に よって生まれたもの。前作比で5Wほどのパワーセーブを実現し ているという(時速45km走行時)。

キャニオン・エアロードCFRのフォーク

ダウンチューブはボトル を取り付けた状態で空力性能が最適化されているという。小物を含むフレームセット重量は前作比で168g軽くなった。

キャニオン・エアロードCFRのダウンチューブ

タイヤ は最大30Cまで対応。

キャニオン・エアロードCFRのタイヤクリアランス

BB規格はBB86。ダウンチューブは細め だが、チェーンステーはBB幅を一杯に使っている。

キャニオン・エアロードCFRのBB

独自の構造を採用したハンドルまわり

ハンドルは写真のように分割できる。配送や輪行も容易に。

キャニオン・エアロードCFRのハンドルを分割した様子

ハンドルの勘合部。下側から2本のボルトで固定する。ステム部とフォークコラム上部は一体で、ケーブルはコラム内部を通る。リヤブレーキホースとディレーラーのケーブルはコラム部の穴からダウンチューブへ。この構造によりフレームの断面積を最小限に抑え、空力と軽量性を高められたという。

キャニオン・エアロードCFRのハンドル嵌合部

ハンドルトップ〜ステム〜コラム上部が全て一体になっており、固定パーツでフォークのコラムと接続する。

キャニオン・エアロードCFRのハンドルトップ〜ステム〜コラム上部

ハンドル高の調整とヘッド圧力の調整は専用工具で行う。

キャニオン・エアロードCFRのハンドル高を専用工具で調整する様子

ハンドル高の調整幅は専用スペーサーで5mm刻みで最大15mm。

キャニオン・エアロードCFRの専用コラムスペーサー

ハンドル幅は3段階調節が可能。

キャニオン・エアロードCFRのハンドル幅調節機構

レバーとハンドルを固定する専用パーツが、ハンドルドロップ部分がエルゴノミック形状のため用意される。

キャニオン・エアロードCFRのレバーとハンドルを固定する専用パーツ

振動吸収性とエアロを両立するシートポスト

シートポストは二層構造。前側の細い部分が内蔵クランプボルトで押し付けられて固定される。後ろ側はエアロカウルで、かなり薄い。これによって振動吸収性を高めている。

キャニオン・エアロードCFRのシートポスト構造

シートポスト上部は日の字断面になっている。これでも前作のシートポストより軽くなっているという。

キャニオン・エアロードCFRのシートポスト上部の構造

シートチューブに内蔵されたクランプで固定。2XSサイズ以下はシートステーの間にシートクランプボルトが入ってしまうため、ホイールを外す必要がある。

キャニオン・エアロードCFRのシートチューブに内蔵されたクランプ

ジオメトリ

キャニオン・エアロードCFRのジオメトリ

先代比で僅かにアップライト&ショートリーチになり、アルティメットとほぼ同じジオメトリとなった。なお、CF SLのみ小サイズ(2XS、3XS)のホイールサイズが650Bとなる。汎用性よりジオメトリ上の理想を追求した結果だ。CFRとSLXは全サイズ700Cだが、これはレースでのホイール交換を考慮してのもの。

インプレッション〜これはキャニオンにしか作れない

インプレッションライダーはライター・安井行生氏

ここまで独特な構造を採用しているのに、ハンドルの剛性感やハンドリングに不自然な点はほぼ感じない。大したものだと思う。動的性能は最新エアロロードらしいもの。平坦で走行抵抗が小さいのはもはや当然という感じだが、加速や登坂も軽やかで、ホイールのハイトを考慮するとフレームはかなり万能な仕上がりだ。低速から高速まで、平坦から登坂まで、よくバランスが取れている。

フレームの横剛性が14%向上しているとのことだが、剛性感にとげとげしさはなく、ペダリングフィールは上質。快適性も高い。特にサドル部分は設計意図がしっかり現実のものになっており、衝撃をかなりマイルドにしてくれる。

ステムサイズが選択できない、ハンドル高の調整幅が狭いなどの注意点はあるが、下位グレード2XS・3XSサイズを650Bにしたことも含め、持ち前のまじめさで理想をとことん追求してしまうドイツらしい一台だ。キャニオンにしか作れないバイクだろう。

アザーラインナップ〜エアロードCF SL7

キャニオン・エアロードCFSL7  シマノ・105R7020完成車価格/34万9000円(税抜)

フレームはCFR、CF SLX、CF SLの3種類(フレーム形状は同じで素材が異なる)。いずれもディスクブレーキのみで、CFRとCF SLXは電動専用。CF SLは通常のハンドルとフォークになり、機械式のアルテグラと105完成車が用意される。

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