コスミック&キシリウムシリーズを一新 MAVIC、動く!

目次

MAVIC2020

コンポーネントブランドのマヴィックが、ロードバイク用ホイールのラインナップを一新。

「カーボンフォーテクノロジー」を採用した新生コスミックをはじめ、注目のモデルとマヴィックの今をお伝えする。

 

「マヴィックは、2021年もホイールに本気だ」

マヴィックはどうなった?

2020年初頭、マヴィックの経営体制が変わるというニュースが世界中を駆け巡り、経営状態を心配する声がそこかしこで聞かれた。しかし今秋、新オーナーが決まって新体制になったと同時に、世の懸念を吹き飛ばすようにラインナップを一新。特にロードバイク用ホイールはモデル名を含めての大幅刷新である。

従来はリムハイト別にコメット、コスミック、キシリウム、低価格帯にアクシウムというラインナップだったが、2021シーズンよりカーボンホイール=コスミック、アルミホイール=キシリウムという名称に変更される。その後に付くのがパフォーマンスレベル。上からSLR、SL、Sとなる。最後にリムハイトを示す数字が付く。例えば「コスミックSLR45」なら、リムハイト45mmのレーシングカーボンホイール、となる。

その新コスミックは一気に8モデルがデビュー。ディスクブレーキ用には32mm、45mm、65mmのリムハイトがあり、それぞれにSLRとSLが用意される。リムブレーキ用にもSLRとSLがあるが、リムハイトは40mmのみとなる。8モデル共チューブレスレディで、ETRTO(ホイール&タイヤの世界基準)に適合させているため、安全性が高く、タイヤの脱着も容易だ。

注目はSLRグレードに採用されたカーボンフォーテクノロジー。従来のリムはスポーク張力を受けるリム先端が分厚く成型されており、リム重量の増加を招いていた。新型コスミックSLRシリーズは、独自形状のニップルをリム内側に埋め込んだ状態でカーボンリムを成型。これによりリムを極限まで薄くすることが可能となった。また、26mmと広いリム幅によってリム剛性と空力性能も確保し、“持っても走っても軽い”を実現している。また、リムベッドにスポーク穴が開かないため、チューブレステープが不要に。これにより、一台につきさらに40~60gほどの重量が削減できる計算だ。

なお、経営体制は変わったが、本国の開発体制も、各種レースのサポート体制も変化なし。フランスにあるリム工場も元気に稼働している。これらの新製品を見る限り、マヴィックの存在感は今後も揺らぐことなく、サイクリストたちの心を動かし続ける。

MAVIC2020

独自設計で無駄をそぎ落とした注目の新作、マヴィック・コスミックSLR45ディスク

MAVIC Cosmic SLR 45 Disc
価格/ 25万円(前後セット・税抜)
spec.
ハブ/インスタントドライブ360
リムハイト/ 45mm
リム外幅/ 26mm
リム内幅/ 19mm
スポーク/エアロスポーク(特許取得済)
前後セット重量/ 1470g

 

MAVIC2020

旧型

MAVIC2020

新型

●専用形状のニップルをリムに埋め込むことで、リムの無駄をそぎ落とすことが可能に。結果、リム先端部分の厚みを薄くでき、高い運動性能を実現している

 

MAVIC2020

●新型はセンターグルーブが広くなり、タイヤの脱着がしやすくなった。もちろんETRTO(ホイール&タイヤの世界基準)に適合しているため、安全性は犠牲になっていない

 

MAVIC2020

●コスミックのSLR&SLディスクと、キシリウムのSL&Sディスクのハブは全モデル共通で、回転部分の性能差はない。既製のハブではなく、マヴィックの専用設計品である

MAVIC2020

●SLRモデルには、マヴィックが特許を取得した楕円断面のステンレススポークを採用。これによって空気抵抗がさらに減り、時速40kmで2Wの削減を実現しているという

MAVIC2020

今年のツール・ド・フランスでAG2Rラモンディアルも使用。この際のイエローデカールにインスパイアされた日本限定デザインが発売される

 

Cosmic SLR 45 Disc インプレッション

「新世代マヴィックにふさわしい完成度」

ハブもリムもスポークも新設計。カーボンフォーテクノロジーによってリムが軽くなり、ついにマヴィックのカーボンリムもリムテープ不要の時代を迎えた。

全モデルでハイエンドハブを使い、フリーはインスタントドライブ360。もちろんETRTO準拠の高精度USTチューブレスリム……と、いくら文字数があっても足りないほど技術トピックは多いのだが、そんなマニア目線のあれやこれやが吹っ飛んでしまうほど走りが素晴らしかった。

まず、45mmというリムハイトから想像する以上に走り出しが軽くて驚く。その印象は高負荷でも変わらない。大トルクでの加速はシャープだし、高速域でもよく伸びる。登坂を含めて運動性能はかなり高いのだ。さらに、変にしなってパワーをロスしている感覚はまったくないのに、全域で「ペダリングしやすさ」「上質さ」がある。それがこのホイールの特徴だ。

一言で言えば“バランス”ということになるのだろうが、軽快感、トルク感、扱いやすさ、そのバランスが万能ホイールとして理想的だ。あまりにほめるので試乗に同行した編集者が驚いていたくらいだが、新世代マヴィックにふさわしい完成度である。

 

コスミックシリーズLINE UP!俊敏性や登坂性を重視するなら……

コスミックシリーズには万能モデルとなる45mmのほか、さらに軽量な32mmと空力に優れる65mmが用意される。SLRの他にコスミックSLシリーズも展開。リムは通常のニップルとなり、チューブレステープも必要だが、形状はSLRと同じ。SLは16万円という戦略価格が付けられている。

MAVIC2020

マヴィック・コスミックSL32ディスク

Cosmic SL 32 Disc
価格/ 16万円(前後セット・税抜)

 

Ksyrium S Disc インプレッション

「バランス良好。これが一番お買い得かも」

マヴィックは低~中価格帯のホイール作りがうまい。かつてのキシリウムエリートやアクシウムは、確かに持つと重いが、パワーを吸われる感じがなく、気持ち良く走ったものだ。

この新型キシリウムSディスクも、それらに通じるバランスを持っており、カーボンリムに比べると重量はあるものの、爽やかに走ってくれる。完成車によく入っている激重ホイールから交換すれば、違いは歴然だろう。この価格帯でチューブレステープ不要というのもうれしい。

ハイエンドホイールと同じハブだったり、フォーテクノロジーを用いていたりと、6万円にしてはコストがかけられている。製造コストと売価のバランスを考えれば、これが一番お買い得かもしれない。

 

キシリウムシリーズLINE UP!エントリーモデルにもフォーテクノロジー採用!

新生キシリウムのベーシックグレードにも試乗した。6万円といえば、現行モデルならアクシウム相当なのだが、キシリウムSにはなんとフォーテクノロジーが採用されている。リムに直接ネジを切ってニップルを挿入するという技術だが、これは上位グレードにのみ採用されていたマヴィックアルミリムのアイコンだ。リムベッドにスポークホールがないため、強度・剛性面で有利になる。

当然チューブレステープは不要。ハブはコスミックSLRに使われているものと同じで、フリーボディはインスタントドライブ360。リムは内幅19mm、ハイト25mmで、前後セット1610gは同価格帯のライバルより軽い。ディスクロード完成車のホイールアップグレードにお薦めだ。

MAVIC2020

マヴィック・キシリウムSディスク

MAVIC Ksyrium S Disc  
価格/6万円(前後セット・税抜)

 

キシリウムシリーズLINE UP!ISM4Dリムを採用する上位モデル

上位モデルのキシリウムSLディスクは、リムがISM4Dになる。リムのスポーク接合部分以外を切削し、無駄を省きながら軽さと剛性を両立させる技術である。これにより、キシリウムSより前後セットで60g軽くなっている。

MAVIC2020

マヴィック・キシリウムSLディスク

Ksyrium SL Disc  
価格/9万円(前後セット・税抜)

 

MAVIC2020

Rider 安井行生

試乗記事や技術解説を得意とする自転車ライター。
2019年にはマヴィック本社を訪れ、製作現場の取材を行った。

 

*サイスポ・トピックス:ロードレースの歴史、それは黄色いサポートカーと共に

問い合わせ先

Presented by MAVIC JAPAN
https://www.mavic.com/ja-jp