ビオレーサーのエアロフィッティング&フルカスタムエアロスーツ

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ビオレーサーのエアロフィッティング&フルカスタムエアロスーツ

https://www.cyclesports.jp2019年、ロードバイクの新作ではエアロロードが目白押しだが、自転車の走行状態で一番空気抵抗が大きいのは言うまでもなくライダー自身だ。そのライダーの空気抵抗をいかに減らすかという命題に対して力強い味方となるシステムが登場した。国内唯一のサービス提供場所となるトライアスロンショップ「アスロニア」でのプレゼンテーションで詳細が解説された。

ライダー自身の空気抵抗を減らす

ロードバイクやトライアスロンバイクで走行中、バイク+ライダーが受ける空気抵抗のうち約70%〜80%はライダー自身によるもの。この空気抵抗を少しでも減らすためにグランツールを走るライダー達は、さまざまなエアロポジションを編み出して長い下り坂を走り、TTではDHバーを使用して体の前面投影面積を減らす努力をしてきた。あるチームはシーズンイン前に、ベロドロームなどで優れたTTポジションを研究したりもしている。

我々ホビーライダーもその真似をして、少しでも空気抵抗が少なくなりそうなポジションで走ったりしてみるわけだが、それが本当に空気抵抗が少ないかどうか確証はない。とはいえ、ホビーライダーが大がかりな設備を使ってエアロポジションを追求する機会を得るのは難しい。

そんな悩みを解決するサービスが都内にあるトライアスロンショップ「アスロニア」に登場した。ベルギーに本社を置くサイクルウエアメーカーのビオレーサーが開発したシステム「ビオレーサーエアロ」だ。

ビオレーサーのエアロフィッティング&フルカスタムエアロスーツ

ビオレーサーエアロの計測風景

ビオレーサーは各国のナショナルチームに向けて、長年カスタムジャージを製作してきた。ロードレース用はもちろん、トラックレースやトライアスロンウエアまでラインナップは幅広い。数多くのカスタムジャージ製作事例、生地の開発と最適な配置に関するノウハウが強み。そして、フランドルバイクバレーというベルギーのバイク関連企業が集結する風洞実験施設での空気抵抗低減に関する研究結果も持っている。

今回紹介するビオレーサーエアロは、風洞実験で得られたデータを元に開発されたソフトウエアによってフィッターが仮想風洞実験を行い、空気抵抗が少ないポジションへのフィッティングを行うサービスだ。その手順は、まずは写真のようにカメラの前で自転車に乗り、ライディングポジションのシルエットをシステムに取り込む。そしてターゲットとする速度を入力(例えば目標とするレースに必要な平均速度)。すると現在のライディングポジションでは目標とする速度を出すために出力が何w必要なのかが表示される。そこから乗車姿勢を低くしたり、DHバーを使ったポジションをとり、もっとも空気抵抗が低くなるポジションを探し出すことができるというわけ。

ビオレーサーのエアロフィッティング&フルカスタムエアロスーツ

システム解説のために来日したビオレーサーの担当者、クイントン・ヴァン・ログレンバーグ氏

ビオレーサーのエアロフィッティング&フルカスタムエアロスーツ

通常のポジションで時速40kmを出すために必要な出力が右上に表示されている

ビオレーサーのエアロフィッティング&フルカスタムエアロスーツ

エアロポジションを取った場合、右上の数値が改善していることがわかる

ポジションが決まってきたら、次は実際にペダリングしながらそのポジションがキープできるかどうかの検証に移る。いくら空気抵抗が低いポジションだとしても、そのポジションをキープできなければ意味がない。目標とする速度、走行時間を設定し計測をスタートすると、その時間内でどれくらい空気抵抗の面から見て理想のポジションをキープできたかの割合を算出する。それによって無理があるのかないのかの判断が可能となるのだ。

ちなみに、昨今TTポジションはDHバーを水平よりも上向きに取り付け、前面投影面積を少なくしつつ呼吸が楽になるポジションになっているという。

今後、このシステムはさらに進化を続けていくことになる。データをシェアできるようになったり、現実にあるコースの距離、勾配、風向き、風速などのプロフィールと合わせて計測したり、前だけでなく側方からもカメラで撮影してより精度を上げるといった項目だ。

ビオレーサーのエアロフィッティング&フルカスタムエアロスーツ

理想とするポジションをとってトレーナー上でペダリング。どれくらいの時間そのポジションがキープできたかを計測する。結果が円グラフで表示されている

2着で16万円のフルオーダーエアロスーツ

ビオレーサーのエアロフィッティング&フルカスタムエアロスーツ

採寸用のウエア。1cm角の格子がプリントされている

もうひとつのトピックが、フルオーダーエアロスーツの販売スタートだ。トラックナショナルチームの梶原悠未をはじめ各国のナショナルチーム所属選手のウエアと同じオーダー行程を経るこのエアロスーツは、2着で16万円という金額で手に入る。

まずは採寸用のウエアに袖を通し、トレーナーにセットされたバイクにまたがりライディングポジションをとる。生地には1cm四方の方眼がプリントされており、フィッターがその方眼の伸び縮み具合やウエアのどこにシワがよっているかを全身19箇所、丁寧にチェックしていく。そしてオーダーシートにその結果を書き込み、できあがったウエアは完璧に体にフィットするパターンになっている。どこにもシワがよらないし、お腹周りの生地が余るということもない。

この2着はオーダーしたライダーの競技にあわせて、空気抵抗低減を最優先した生地で構成されるものや、トライアスロンのようにクーリング機能も持たせた生地にするか選ぶことができる。

走行中の空気抵抗において、ライダー以外で空気抵抗を低減しようとする場合、ヘルメットの変更なら5~6%低減できる可能性があるのに対して、ウエアをフィットさせる場合では8~14%低減できるというのがフランドルバイクバレーの研究結果だ。ビオレーサーエアロによるポジション改善と、フルオーダーエアロスーツによって、最速の体を実現する。

ビオレーサーのエアロフィッティング&フルカスタムエアロスーツ

トライアスロン用のメッシュ生地を使ったカスタム例

ビオレーサーのエアロフィッティング&フルカスタムエアロスーツ

袖丈や裾丈も最適な長さにカスタムしてくれる

どちらのサービスも2月スタートを予定。ビオレーサーエアロの価格は未定。

問い合わせ先

クランノート
https://clannote.co.jp/