安井行生のロードバイク徹底評論第11回 LOOK785 vol.5

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安井行生のロードバイク徹底評論第11回 LOOK785 vol.5

昨今の新型車の中で一頭地抜く注目を集めたルックのヒルクライムスペシャル「785」。同じく登坂を得意としていた名車585に惚れ込んでいた安井は思わず785ヒュエズRS、しかもZED2クランク仕様を買ってしまった。本国技術担当者のインタビューを交えながらお送りする、久々の自腹インプレ。

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またZED仕様を買ってしまった

なにを血迷ったか、筆者がオーダーしたのはZED仕様だった。それを聞いた長年の知り合いは「なんでまたZEDを……」と呆れていたが。695を買ったときに筆者が散々苦労していたのを知っているからだ。
もちろん、先述のとおりZEDクランクの欠点はわきまえている。それを分かっていてなぜまたZED仕様なのかというと、どうせ785を買うなら最高のものを、と思ってしまったことがまず一つ。そして、欠点はこちらで工夫してなんとかしてやればいいと思ったのが一つ。一番人気であるモンドリアンカラーの785RSを買う人が大多数の中、わざわざ10万円も高いフォルトゥネオカラーのZED仕様を買う人はかなり少ないだろうから、俺が買ってみてやろうじゃないかという意地みたいなものが一つ。フォルトゥネオチームは2018ツール直前で突如ルックとのスポンサーシップを解除、バイクをBHに変更してしまったが。
 
また、非ZEDフレームのBB周辺の形状も理由である。それは、ZEDクランク用の巨大なベアリングが入る穴をカーボンのフタでペタッと塞いだような作り(おそらく785RSと785RS ZED2の金型は共通で、非ZEDフレーム製造時にはBB部に金型を追加して、BB周辺の穴をカーボンで塞いでいるのだと思われる)。これを見て、なんだやっぱ785はZEDクランク前提のフレームじゃないかと思ってしまったのだ。
 
もちろん、このZEDクランクを使うにあたって、いくつかの解決策を用意していた。
まず最も簡単なのがQファクターの狭いペダル(ディズナ・ファスト48)を使うことだ。これを使えばシマノのペダルに比べて片側4mm、計8mmもQファクターが小さくなるから、ZEDクランクを使いながらシマノクランク&シマノペダルよりも狭くできる計算である。
しかし、785用にシューズを用意する必要がある(ディズナはLOOKクリート互換、筆者は普段シマノペダルを使用)、ペダルのスタックハイトが異なるためペダリングフィールに差が出る、ペダル自体の性能差(脱着性、剛性、安定感、ペダルの耐久性、クリートの耐久性や入手性、重量、etc)などの問題があり、諸手を挙げての完全解決にはならない。
 
次に考えていたのが、ペダル取付け部のワッシャーとナットを加工してしまうこと。ナットを削ってワッシャーを一段凹ませるなどの加工(もしくはワッシャーとナットを自作)をすれば、ペダル取付け位置を内側に数mmでも寄せることができるのでは……と思っていたのだが、これは早々に諦めた。ペダルシャフトの位置を内側に寄せようとすると、クランクの形状上、クランク自体を削らなければならなくなる可能性が大きいためだ。自作するにしても、ペダル取付け部は精度も剛性も強度も必要になるところ。ヘタに作ってフルもがき中に破損でもしようものなら洒落にならない。
ま、いざとなればウィッシュボーンや純正のアダプターを突っ込んで純正クランクを使えるようにしてしまえばいいのだ。

安井行生のロードバイク徹底評論第11回 LOOK785 vol.5

強烈なダイレクト感

そんなZEDをどう料理してやろうかと思案していると、思っていたよりも早くフレームが届いた。R9100デュラをスクルトゥーラから引っぺがそうかとも思ったが、結局スーパーレコードで組んだ。
 
さて、実際のモノはどうだったのか。走り出して最初に感じたのは、感嘆でも落胆でもなく、戸惑いだった。
まず、操舵が異様にクイックだ。普通の感覚でハンドルを扱うと車体が大げさに傾いてしまう。ヒルクライム系のルックは伝統的にハンドリングが機敏だが、785は強烈と言っていいレベルにある。ヘッド角は比較的寝ており、フォークオフセットは2種類用意されてトレール量も適正化されているから(前述の通りハンドリングのバランス極上の795とほぼ同じジオメトリ)、数字を観ればハンドリングは柔和になってしかるべきなのだから、これはヘッド~フォークの剛性によって意図的に作られたものなのだろう。腰を落ち着けてどっしり走らせるタイプではない。下りではやや慣れが必要だ。
とはいえ、数回ハンドルを左右に振って特性を飲み込んでしまえば、ヒルクライムに主眼を置いたモデルならこれでよし、と思えるものである。
 
 

安井行生のロードバイク徹底評論第11回 LOOK785 vol.6に続く