トレックの軽量ロードバイク「エモンダ」がモデルチェンジ

目次

エモンダ2021

トレックの軽量ロードバイク「エモンダ」がモデルチェンジ。軽さに空力をプラスしたトレック史上最速のクライミングバイクだ。ハイエンドのSLRだけでなくミドルグレードのSLも6年ぶりにフルモデルチェンジを果たした。

エモンダSLR

UCIワールドチームのトレック・セガフレードのライダーから出されたエモンダに対する要望は、「既にディスクでもUCI規定ギリギリの重量なのだから、 もう軽量化はいらない。もっとエアロにして欲しい」というもの。しかし、エモンダのライドクオリティ、優れた反応性を保ちながら、フレームをエアロ形状にすると間違いなく重量が増える。そこでトレックはフレーム素材を一から開発することを決めた。2年間の開発期間、数百のパターンを経てできたのが、新型のOCLV800カーボンだ。強度が30%増したため、フレーム素材の量を大幅に減らすことができた。そして、ケーブル内装フレーム、全面的に採用されたKVF(Kammtail Virtual Foil)形状、T47BBなど、重量が増す要素を多く取り入れながらも、 ハイエンドのエモンダSLRは前作と同等の700gを切る超軽量フレームとなった。

また、軽量なバイクを作るには軽量なパーツも必要である。エモンダSLRと平行して、新型のエアロハンドルバーとカーボンホイールも開発された。

こうして、エアロ性能、ディスクブレーキを搭載しつつUCI規定ギリギリの軽さのエモンダSLRが誕生した。

エモンダ2021

ほとんどのチューブをKVF形状で構成

空力性能を追求するため、空気抵抗が発生しやすいフォークブレード、ダウンチューブ、シートチューブ、シートステーにKVF形状が採用されている。

エモンダ2021

前作と新型のエモンダSLRのフレームチューブをカットして上方向から見たイメージ

あらゆる状況で速い

前作と比較すると、勾配0%で1時間に60秒短縮、勾配8.1%では1時間に18秒短縮できる試算になるという。

エモンダ2021

エモンダ2021

前作と新型の風洞実験のグラフ。全てのヨー角で新型が前作を圧倒する

OCLV800カーボンフレーム

数百本の試作を経て完成した新素材のOCLV800カーボン。強度が30%高まったことで素材の使用量を削減することができ、軽さを維持しながらもフレームのエアロ化を実現している。同じ形状でOCLV700カーボンを使ったときと比べて60g軽い。

エモンダ2021

新型のエモンダSLRはOCLV800カーボンを採用している

ワイヤリング

全てのケーブルが内装され空力を高める。ステム一体型のハンドルだけでなく、通常のハンドルバーとステムも使用可能だ。

エモンダ2021

T47BB

BB規格はT47を採用。ワイドなスタンス幅で効率を高めつつ、ねじ切り式なので整備性も向上する。

エモンダ2021

新型エモンダのBBはドマーネから投入されたT47

“富士ヒル”を21秒速く走れるバイク

トレックが世界の主要ヒルクライムコースを舞台にエモンダの新旧モデルのデータをコンピューター上でシミュレートした結果、富士スバルラインでは新型エモンダは前作よりも21秒速くなるというデータが示された。

エモンダ2021

エモンダのために開発された新型アイオロスRSLバー/ステム

高い空力性能のステム一体型ハンドルバー「アイオロスRSLバー/ステム」がエモンダと同時に開発された。軽量で、ケーブルが外装のためメンテナンスや組み立てが容易に行える。

エモンダ2021

ボントレガー・アイオロスRSLバー/ステム

オンラインで行われたプレゼンテーション

第3世代にとして発表された最新のエモンダ。初代から一貫してこだわったのは、ただ軽いだけではない、走りの上質さも兼ね備えたバイクであることだ。初代エモンダはテストライダー達やプロチームの選手たちが乗ることにより多くのフィードバックがもたらされた。それによって第2世代のエモンダはより軽く、そしてディスクブレーキに対応することが求められた。そして第3世代では空力性能の向上が達成されている。加えて、50cmから60cmのどのフレームサイズであっても完成車重量が6.8kgになるように設計されているという。

これによって軽量でありながらエアロなバイクに仕上がったエモンダ。プレゼンテーションのなかで、トレック・セガフレードのテクニカルディレクターであるマット・シュライバー氏は以下のように語った。

「選手はエモンダ、ドマーネ、マドンからバイクを選ぶことができます。そのなかで、新型エモンダは登坂性能に優れ、ハンドリングに優れる。それでいて空力性能は旧エモンダとマドンの中間に仕上がっている。もちろん軽量で、しかも各サイズで重量が6.8kgになるように設計されています。そしてレースの重要な曲面での性能、つまりアタックがかかる場面や上りを集団でこなすシーンにおいてアドバンテージがあること、加速性能が求められます。そこで軽さは大きな意味を持ちます。それでいて空力性能も持ち合わせているというのは重要です。選手はおそらく、10回レースに出るうち7回はエモンダで参戦するでしょう。」

と語った。

トレック新型エモンダは何がすごい?

 

プロジェクトワン

新型エモンダに合わせて、トレックのオーダーシステム、プロジェクトワンに新パターンが登場した。美しいペイントが特徴のアイコンシリーズには3つのカラーが加わり、KOMのグラフィックが新しくなった。

エモンダ2021

トレック・エモンダSLR(アンプリファイドアルケミー)

エモンダ2021

トレック・エモンダSLR(ダイヤモンドホログラフィック)

エモンダ2021

トレック・エモンダSLR(スウィートゴールドリーフ)

エモンダ2021

トレック・エモンダSLR(KOM、カラー選択可能)

スペック

エモンダ2021

トレック・エモンダSLR7ディスク

Émonda SLR 7 Disc
価格:76万9000円(税抜)
サイズ:47、50、52、54、56
カラー:レイジレッド
フレーム:OCLV800カーボン
ホイール:ボントレガー・アイオロスプロ37ホイール
ハンドル:ボントレガー・アイオロスエアロバーステム
コンポーネント:シマノ・アルテグラDi2
重量:7.17kg(56cm)

エモンダSL

ミドルグレードのエモンダSLは6年ぶりにフルモデルチェンジ。ハイエンドのSLRとまったく同じフレーム形状で、素材にOCLV500カーボン、一般的なハンドルバーとステムを用い、最新設計のディスクロードが求めやすい価格で手に入る。

エモンダ2021

トレック・エモンダSL7ディスク

Émonda SL 7 Disc
価格:57万9000円(税抜)
サイズ:47、50、52、54、56
カラー:カーボンスモーク/ファクトリーオレンジ
フレーム:OCLV500カーボン
ホイール:ボントレガー・アイオロスプロ37ホイール
ハンドル:ボントレガー・プロVR-Cカーボンハンドルバー
コンポーネント:シマノ・アルテグラDi2
重量:7.76kg(56cm)

エモンダ2021

トレック・エモンダSL6ディスクプロ

Émonda SL 6 Disc Pro
価格:44万円(税抜)
サイズ:47、50、52、54、56、58、60
カラー:トレックブラック/ラジオアクティブレッド
フレーム:OCLV500カーボン
ホイール:ボントレガー・アイオロスエリート35カーボンホイール
コンポーネント:シマノ・アルテグラ機械式
重量:8.06kg(56cm)

エモンダ2021

トレック・エモンダSL6ディスク(リチウムグレー/ブラッシュクローム)

エモンダ2021

トレック・エモンダSL6ディスク(トレックブラック/ラジオアクティブレッド)

Émonda SL 6 Disc
価格:36万円(税抜)
サイズ:47、50、52、54、56、58、60、62
カラー:リチウムグレー/ブラッシュクローム、トレックブラック/ラジオアクティブレッド
フレーム:OCLV500カーボン
ホイール:ボントレガー・パラダイムTLRホイール
コンポーネント:シマノ・アルテグラ機械式
重量:8.28kg(56cm)

エモンダ2021

トレック・エモンダSL5ディスク(ブルークイックシルバー/ブラッシュクローム)

エモンダ2021

トレック・エモンダSL5ディスク(カーボンブルースモーク/メタリックブルー)

Émonda SL 5 Disc
価格:28万円(税抜)
サイズ:47、50、52、54、56、58、60、62
カラー:ブルークイックシルバー/ブラッシュクローム、カーボンブルースモーク/メタリックブルー
フレーム:OCLV500カーボン
コンポーネント:シマノ・105
重量:9.16kg(56cm)

ジオメトリー

新型エモンダのジオメトリーはH1.5フィットだ。

エモンダ2021

単位:cm(シートチューブ角、ヘッドチューブ角を除く)