鳥取を100%楽しむサイクリングルートガイド〜“とっとり横断”じてんしゃ旅へ

目次

日本海に面し、絶景ポイントや走りやすい道が多い鳥取県。そんな鳥取県を東西に横断し、満喫できるルートが完成! お薦めスポットと見どころとともに紹介する。さあ、鳥取県を端から端まで走ってみよう。

鳥取を満喫する横断ルートは東からでも西からでも

一つの県を縦断したり、周遊するルートはたくさんあるだろう。しかし一つの県を横断して、ほぼその県を制覇した達成感を味わえるルートは珍しい。それが、この「とっとり横断サイクリングルート」だ。

作成したのは鳥取県。整備が進む山陰自動車道により、下道における車の交通量減少が見込まれることに着目。東西に細長い形をしていて景勝地や良道が多い県内を、自転車で東から西へ、または西から東へ横断できるお薦めルートを設定したのだ。

ルートは自転車が安全に走れることを第一に考慮し、また都市間の移動距離をできるだけ短かくできるよう設定されている。またこのルートをベースにして、付近のスポットに寄り道をしたり、派生ルートを取るのにも便利であるとのこと。

2020年春には、曲がるポイントや一定距離ごとにルート標識を設置する予定となっている。これは走ってみるしかない! さあ、山陰の海を感じる“じてんしゃ旅”へ出かけよう。

とっとり横断サイクリングルート

とっとり横断サイクリングルート(西進)

Course Profile
●距離/138km
●獲得標高/851m
コースデータ(RIDE WITH GPS)

兵庫県境に近い東浜駅をスタートし、島根県境に近い境港駅へゴールするコース。鳥取県をほぼ東端から西端へ横断するのだ。今回は西へ進むコースを紹介するが、逆方向からスタートしてももちろんOKだ。標高は低いが、それなりのアップダウンがある。

Reporter
サイクルスポーツ編集部・大宅
全国各地のサイクリングイベントやコースを紹介する記事を多く担当する。鳥取県を走るのはこれで2回目。

Section 1 東浜駅〜鳥取空港方面へ

最初のセクションでは、県東部のスタート地点から有名な鳥取砂丘を経て、鳥取空港方面へ向かう。アップダウンが多いが、その分絶景ポイントは目白押しだ。

セクション1 東浜駅〜鳥取空港方面へ

セクション1のコースマップ

JR東浜駅

スポット① 岡山県境に近いJR東浜駅。味のあるレトロな駅をモダンに改装している。駅前すぐに海が見える。きれいで新しいトイレもあり

西脇海岸

スポット② ダイナミックな景観にテンションマックスの西脇海岸。東浜駅付近は「山陰海岸ジオパーク」に設定される浦富海岸エリア。特にスタートしてすぐ現れる西脇海岸は、打ち寄せる波と岩とが作り出す絶景がすばらしい。旅の始まりを盛り上げてくれる

城原海岸付近

スポット③ 海と町並みを高台から望める城原海岸付近。この辺りは海沿いのアップダウンで、美しい漁師町を海とともに高台から望むことができる。走り応えも抜群である

らっきょう畑の絶景

スポット④ 爽快ならっきょう畑の道。コースから少しだけ外れるが、ぜひ走りたいのはこのらっきょう畑の農道だ。北海道的な気持ちの良い道。らくだも沿道にいるぞ

鯛喜の「海鮮丼豪華」

スポット⑤ 超人気の海鮮丼屋「鯛喜(たいき)」。鳥取砂丘入り口付近にある。写真は「海鮮丼豪華」で、見よこの丼からはみ出すほどの海鮮の量。丼の魚は日によって変わる。できれば予約して行こう。鳥取県鳥取市福部町湯山2164-449 ●営業時間/11:30〜14:00、18:00〜20:00 ●定休日/月曜 ☎0859-42-2337

鳥取砂丘

スポット⑥ 素足でも歩ける鳥取砂丘。やっぱここに寄るでしょ! 砂が細かくきれいで、素足で歩ける(真夏は暑いので避けよう)。サンダルでもいい(下に詳しく)

鳥取砂丘にはサイクルラックとコインロッカーがある

砂丘入り口付近のビジターセンターにはコインロッカーとサイクルラックがある。ここで駐輪してシューズを預け、砂丘へGO! サンダルを無料で借りることもできる

Seciton 2 白兎海岸〜大山山麓

続いてのセクションは、県東部エリアから県中部エリアを経て、西部エリアの入り口まで。各エリアがそれぞれ違った様相を見せ、移り変わる景色はバラエティに富む。休憩できる場所と食のスポットも多く、そちらも楽しみたい。

セクション2のマップ

セクション2のコースマップ

白兎神社

スポット① 神話・因幡の白うさぎで有名な白兎(はくと)神社。白兎神が祀られる。縁結びのご利益でも知られ、境内のうさぎの石像には願掛けの石が無数に積まれている。神社前には道の駅があり、休憩場所としてもいい。鳥取市白兎603 ☎0857-59-0047

酒津隧道

スポット② 趣のある海沿いのトンネル・酒津隧道。白兎神社を出た後に少し国道を外れる区間があり、そこにこのトンネルがある。いい感じ

石脇海岸付近の絶景

スポット③ これぞ日本海!な石脇海岸付近の絶景ポイント。少しルートを逸れるがぜひ走りたい道。海岸から突き出た丘と海とが織りなす景観は、いかにも日本海らしい

宇野地蔵ダキ

スポット④ 宇野地蔵ダキ。地蔵に守られ、古くから水が枯れたことがないと言い伝えられる湧き水。冷たくておいしいので、ぜひともここで給水だ。東伯郡湯梨浜町大字宇野749-1

すみれ食堂

スポット⑤ 牛骨ラーメンが味わえるすみれ食堂。牛骨で出汁を取る鳥取県中西部のご当地ラーメンの人気店。セルフサービスでおでんも食べられる。おでんは会計で食べた個数を自己申告するのが何ともレトロでいい。うまいぞ。東伯郡琴浦町大字浦安189 ●営業時間/10:00〜15:00 ●定休日/水曜(祝日の場合は営業)、年末年始 ☎0858-52-2817

すみれ食堂の牛骨ラーメン

すみれ食堂のチャーシューメン

すみれ食堂のおでん

すみれ食堂のおでん

カウィーのみるく館

スポット⑥ カウィーのみるく館。県内で生産された品質の高い牛乳を使って作るスイーツなどを販売するお店。自転車乗りへのお薦めはソフトクリームとカフェオレだ。東伯郡琴浦町大字保37-1 ●営業時間/9:30〜17:00 ●定休日/第2木曜日、年末年始 ☎0858-52-2234

カウィーのみるく館のスイーツ

カウィーのみるく館のソフトクリームとカフェオレ

BIKAI

スポット⑦ 海の見えるおしゃれなカフェ BIKAI(ビカイ)。美しい海(ビカイ)がコンセプトのカフェ。食事メニューも豊富。自転車乗り向けにフロアポンプの貸し出しもある。西伯郡大山町富長159-1 ●営業時間/11:00〜21:30 ●定休日/水曜 ☎0859-54-2665

Seciton 3 米子〜境港

最後のセクションは県西部。大山山麓付近から大規模なサイクリングロードで海沿いを走り、ゴールの境港へと向かう。全体的にフラットだ。

セクション3

セクション3のコースマップ

大山と海が見えるスポット

スポット① 大山と海が見える場所。ルート上にあり、中国地方最高峰の大山が一望できる。残念ながら取材当日は曇りで山頂までは見えず

白浜青松の弓ヶ浜サイクリングコース

スポット② 白浜青松の弓ヶ浜サイクリングコース。2020年3月22日前線開通! 総延長8.5kmの自転車・歩行者専用道路で、皆生(かいけ)温泉から境港までの海岸沿いを結んでいる。“スーパー快適”と断言できるほど美しい路面で、青松と砂浜の景色が最高な道だ。途中に公園・公衆トイレや自転車ラックが設置されており、休憩にも困らないのがいい。境港まではこの道で快走して行こう

弓ヶ浜ルートの表示

この道は「ジャパンエコトラック」にも認定されている

弓ヶ浜サイクリングコースのサイクルラック

コースの途中の公園前にはサイクルラックが設けられている

境水道

スポット③ 境水道。境港に入ると見える海峡。島根県側には山が見えつつ目の前を船舶が航行しているという、独特の景観が美しい場所だ

魚山亭

スポット④ ボリューム満点の海鮮系定食が食べられる魚山亭。港で揚がった魚介類を振る舞う人気食堂だ。カキフライ定食は910円ながらボリューム満点でお薦め。境港市中野町3297 ●営業時間/11:30〜14:00、18:00〜20:00 ●定休日/月曜 ☎0859-42-2337

千代むすび酒造

スポット⑤ 千代むすび酒造。地元の老舗酒造会社が運営する直営店。名酒「千代むすび」はぜひとも旅の土産として買っておきたい。もちろん、配送も可能だ。旅の土産に地元名酒はいかが? 境港市大正町131 ●営業時間/9:00〜17:00 ●定休日/なし ☎0859-42-3191

JR境港駅

スポット⑥ 今回の旅のゴールとなるJR境港駅。漫画家・水木しげる氏の作品が随所に散りばめられるユニークな駅舎だ。目の前に入浴施設もあり、汗を流せる

鳥取サイクリングの遊び方は無限大

ロードバイクにまたがり、コースを巡ってみた。まず感銘を受けたのは、その走りやすさと景色の美しさ。交通量が少ないうえに全体的に道路がよく整備され路面がきれいなので、とにかく走っていて気持ちがいい。県をほぼ端から端まで横断するため、地域ごとの景観の移り変わりが顕著に感じられ、まったく飽きも来ない。随所に休憩スポットやトイレ、そして食事ができる場所があり、安心して走ることができるのも魅力だ。

距離と獲得標高も、読者の皆さんならちょうどいいだろう。朝から夕方までじっくり時間を掛ければ、それなりにスポットに立ち寄りつつも1日で走りきれるはずだ。

今回強く思ったのは、「楽しみ方は無限大なルートだな」ということ。例えば、鳥取市内まで車で来てホテルなどを拠点にし、輪行袋などの装備をコンパクトに積んで軽装で走り、ゴールしたらまた輪行で拠点まで帰ってくる、という楽しみ方ができる。ルートの付近には常にJR線が走っているのだ。荷物をフル積載して、ゴール後そのまま輪行して帰ったり、ゴール地点の宿に泊まっていくのもまたいいだろう。一回では寄りきれないほどのスポットやグルメどころがあるので、今回は東→西、次回は西→東と方向を変え、全スポットを制覇してみるのもまたいい。

今回の取材に協力してくれた鳥取県の担当者は、「このルートをベースにして、ここから派生する別ルートをいろいろと策定していきたいと考えています。また、乗る駅から輪行袋をレンタルして、降りる駅で返却できるサービスも検討しており、より軽装で走って帰って来れるようにもしたいなと考えています。鳥取までは、実は車だと関西圏から割とアクセスはしやすいんです。特に大阪在住の方にはぜひお勧めしたいですね」と話す。

魅力あふれる鳥取横断の旅。あなたもぜひ、この春に体験を。