ジャイアント最新「プロペル」徹底比較-ハイエンドとセカンドグレード、その差はどこにある?

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ジャイアント最新プロペル、グレード間徹底比較

Presented by GIANT

この春、第4世代へと進化を遂げたジャイアントのエアロロードバイク「プロペル」。今回はそのセカンドグレードとなる「アドバンスド プロ」の走りを、元プロ選手の岸 崇仁と自転車ジャーナリストの吉本 司が体験。最高峰の「アドバンスド SL」との走りの差を含め、ホビーサイクリストにとって等身大の選択肢となるプログレードの魅力を徹底検証する。

 

ジャイアント最新「プロペル」。ハイエンドグレードとセカンドグレードの違いとは?

ジャイアント・プロペル アドバンスド SL 1

【今回のテストバイク①】ジャイアント・プロペル アドバンスド SL 1 ●価格:121万円 ●メインコンポーネント:シマノ・アルテグラ Di2 ●フォーク:アドバンスド SL ●フレーム:アドバンスド SL ●ホイール:ジャイアント・SLR 0 50 カーボン ホイールシステム ●タイヤ:カデックス・エアロ 700×28C ●ハンドルステム:ジャイアント・コンタクト SLR 0 エアロ インテグレーテッド ●サドル:ジャイアント・フリート SLR ●パワーメーター:ジャイアント・パワープロ ●サイズ:XS、S、M、M/L(試乗車サイズはM/L) ●カラー:サテンロウカーボン ●参考重量:6.8kg(サイズS)

ジャイアント・プロペル アドバンスド プロ 0-Di2 

【今回のテストバイク②】ジャイアント・プロペル アドバンスド プロ 0-Di2 ●価格:99万円 ●メインコンポーネント:シマノ・アルテグラ Di2 ●フォーク:アドバンスド SL ●フレーム:アドバンスド ●ホイール:ジャイアント・SLR 0 50 カーボン ホイールシステム ●タイヤ:カデックス・エアロ 700×28C ●ハンドルステム:ジャイアント・コンタクト SLR 0 エアロ インテグレーテッド ●サドル:ジャイアント・フリート SL ●シートポスト:ジャイアント・ヴェクター ●パワーメーター:ジャイアント・パワープロ ●サイズ:XS、S、M、M/L(試乗車サイズはM/L) ●カラー:オブシディアンパルス、アビスティール(試乗車カラーはオブシディアンパルス) ●参考重量:7.1kg(サイズM)

 

昨今、価格高騰が激しいロードバイクは、かつてのような感覚でハイエンドの購入が難しくなった。それゆえ、セカンドグレードはホビーサイクリストにとっての“等身大のハイエンド”としての意味合いを強め、その重要性はかつてないほどに高まっている。

4年ぶりの刷新により、万能型エアロロードとしてさらなる進化を遂げたジャイアントの新型プロペル。そのラインナップは最高峰の「アドバンスド SL」を筆頭に「アドバンスド プロ」「アドバンスド」が展開される。先述した等身大のハイエンドという観点に立てば、シマノ・アルテグラ Di2のコンポを搭載した「プロペル アドバンスド プロ 0-Di2」こそが、最有力候補と言えるだろう。

新型プロペルの開発コンセプトは、前作で到達した高い空力性能と剛性バランスをさらに高次元へと引き上げることにある。特筆すべきは、フレーム単体ではなく、ライダーや各パーツまでを含めて包括的に設計する思想を取り入れた点だ。このアプローチはアドバンスド プロ グレードでも徹底されている。基本となるフレーム形状は上位グレードを踏襲しており、外観上の違いはシートまわりのみ。アドバンスド SLがISP仕様であるのに対し、プロは調節が容易な別体式のエアロシートポストとなる。

カーボン素材は上位グレードのアドバンスド SLからアドバンスド グレードに置き換えられているが、ジャイアント独自の配合と製造方法を反映。ここで注目したいのはフロントフォークで、これはSLと共通のもの。つまり、実質的な差異はメインフレームのみに留まっているのだ。

そしてコックピットまわりにも抜かりはない。同時開発されたステム一体型のカーボンエアロハンドル「コンタクトSLR 0 エアロ インテグレーテッド」が標準装備され、最上位モデルと同様の空力性能とインターフェースを実現している。

数値的なスペックを紐解くと、その進化はより鮮明になる。フレーム重量は863g、フォークは360g。アドバンスド SLと比較しても、シートポストを含むフレームセット全体での重量増はわずか125gに抑えられている。また、旧型のアドバンスド SL グレードでシステム重量を比較すると100.1gもの軽量化を果たしたのだ。(いずれも未塗装での重量)

今回はこの「アドバンスド プロ 0-Di2」と、上位グレードでシマノ・アルテグラ  Di2コンポを搭載した「アドバンスド SL 1」を直接比較する。ホイールには最新のカーボンスポークを採用した「ジャイアント SLR 0 50」が共通で搭載されており、パーツ構成の差はないに等しく、乗り比べには絶好だ。果たして、走りの違いはどこにあるのか。“等身大のハイエンド”の真価を、実走を通じてひも解いていこう。

プロペル アドバンスド SL 1は、フレーム・フォークともにアドバンスド SL グレード。重量はフレーム単体(Mサイズ・未塗装・ISP部を除く)で800g、フォークは360g。アドバンスド SL グレード独自のレジン素材やプリプレグの裁断手法、独自の製法によって最高の性能を追求している。

フレーム一体型のISP仕様により軽さを追求しながら乗り心地も高める。シートヘッドは肉抜きの形状を変更してカーボン部分への負担を軽減。

プロペル アドバンスド プロ 0-Di2はフレームにアドバンスド グレードのカーボンを採用。フレーム単体重量(Mサイズ・未塗装)は863g。フォークはアドバンスド SL グレードと同様だ。

シートポストはポジション調節が容易な別体式だが、その断面形状は翼断面の後端をカットしたジャイアント独自の「トランケイテッドエリプス」により空力性能を追求する。

標準装備されるジャイアントの「SLR 0 50」ホイールは、50mmハイトのリムにエアロカーボンスポークを装備して、前後セットで1410g(リムテープ、バルブキット込み)を実現。軽量化と空力性能が追求される。カデックス・エアロチューブレスのタイヤも同様だ。

共通する一体型ハンドルバー

今回のテストバイクは両方とも同じ一体型ハンドル、ジャイアント・コンタクト SLR 0 エアロ インテグレーテッドが装着される

 

実走テスト〜明確な差はある。しかしハイエンドが絶対に正解ではない

インプレッションライダー① 岸 崇仁(きし たかひと) 国内トップクラスのチームで活躍した元プロロード選手。現在はレッスンプロとしてライドコーチングやフィッティングなどを中心に、安全啓蒙活動も含めさまざまな形でスポーツバイクの普及に関わる。現在の愛車はジャイアントTCRシリーズ。身長183㎝、体重75㎏。

インプレッションライダー② 吉本 司(よしもと つかさ) フリーの自転車ジャーナリスト。スポーツバイク歴は40年超、90台近いバイクを所有してきた。その豊富な経験から車種、遊び方問わず幅広い分野に深い知見を持つことで知られる。プロペルシリーズは初代から全て試乗している。身長186㎝、体重77㎏。

 

さて、ここからは本題となる2グレードの乗り比べである。その前に少々補足を。アドバンスド  SLとアドバンスド プロの重量については先述したとおりだが、ジャイアントでは両モデルの剛性値も公表している(下表参照)。ちなみにアドバンスド プロのフレーム単体剛性は前作同様だが、ホイールやコクピットを含めた「システム剛性」では、前作のあらゆる評価項目を上回っているという。 両モデルの剛性差から、テスターの岸 崇仁と吉本 司は走りの違いをどう感じたのか。

プロペル アドバンスド SLグレードと同プロ グレードのフレーム&フォーク剛性

プロペル アドバンスド SLグレードと同プロ グレードのフレーム&フォーク剛性 ※1カッコ内は旧型SL比 ※2カッコ内はSL比

 

サイクルスポーツ(以下、CS) まず岸さん。フラッグシップのアドバンスド SL(以下、SL)と、セカンドグレードのアドバンスド プロ(以下、プロ)。乗り比べてみて、全体的な印象はいかがでしたか。

岸: SLは完全に速さを追求したレーシングバイク。それが第一印象です。一方のプロもレーシーですが、過敏すぎず、よりオールマイティに使えるバイクだと感じました。

CS エアロロードとしての完成度はいかがでしょう。

岸: めちゃくちゃ高いですね。単なるエアロロードではありません。形状こそエアロですが、乗り味には軽量モデルのような軽快さがあり、非常に完成度の高い一台に仕上がっています。

CS なるほど。吉本さん、以前SLに試乗した際は平坦メインでしたが、今日は上りを含めての比較でした。いかがでしたか。

吉本: やはりSLは車重が軽い分、それが作用する軽快感の強い走りは上りで生きてきますね。ダンシングでの振りの軽さや、勾配の変化で踏み直した瞬間にスッと前へ出る感覚があります。今回ヒルクライムを走ったことで、新型プロペルが上りも平地も極めて高いレベルでこなせる「万能機」であることを改めて体感できました。

CS 岸さんは、上りでの印象はいかがですか。

岸: 勾配の変化にとても対応しやすいです。ギア調整だけで、バイクがスッと軽やかに進んでくれますね。

CS 上りにおけるSLとプロの違いはどうでしょう。

岸: ダンシングで顕著な差が出ます。SLは特にバイクを振った時に軽くてスパッと進むのに対し、プロは軽快ながらも鋭さが抑えられています。その分、幅広いレベルのライダーが扱いやすいはずです。

吉本: SLの方が剛性は高く、それが走りの軽さに直結しています。岸さんのような選手レベルならこの剛性を武器にできますが、僕のようなアベレージライダーだと、高負荷で踏み続けられる時間は限られます。 むしろ高負荷域での「足当たりの良さ」はプロの方が感じやすく、結果的に粘れる時間は長くなるかもしれない。一発のキレならSLですが、いくつもの峠を越える山岳ライドなら、プロの方が扱いやすいでしょうね。

CSなるほど。

吉本: この特性は平地の巡航でも生きてきます。トルクを維持しやすいため、エアロロード特有の「伸び(流れ感)」も得やすい。結果として、エアロ性能をより体感しやすいのはプロかもしれません。SLは、もう一段上のパワーレンジで踏み切れる人が、その真価を引き出せるバイクだと思います。

CS 重量の差は感じますか。

岸: 絶対的な重さは気になりませんでしたが、先述のとおりダンシングでの「さばきの良さ」には影響しています。振りやすさはSLに分がありますね。

吉本: 動きが軽いので、アタックなどの急激な速度変化への反応もSLの方が俊敏でしょう。

CS バイクの振りの軽さにも、それぞれの個性が現れていると。

吉本: 基本的なキャラクターは共通していますが、味付けが違いますね。SLは加減速が激しい場面や大パワーをかけたときに、フラッグシップらしい「きらめき」が顔を出します。そこでの走りの楽しさは格別です。

岸: 上っていても純粋に楽しいバイクだと感じます。

吉本: 前作から万能でしたが、新型はそれが一段と磨かれました。選手ならこれ一台で、ほぼすべてのレースをカバーできるでしょうね。

岸: 20kmを超えるような長い上りから、ハイスピードな平坦レース、スプリントまで、これ一台で完結してしまいますね。

吉本: クライマーのように上りのパンチを重視するなら、軽量モデルの「TCR」という選択肢もあります。ただ、平地や緩斜面の高負荷・高速域の巡航走行でアドバンテージを得つつ、上りでもビハインドを負いたくないライダーにとって、新型プロペルはすばらしい選択肢になるはずです。

CS ハンドリングについてはどうでしたか。

岸: SLは動きが非常に軽いです。特に下りでは、バイクと体が一体化できていないと、その軽さが恐怖心につながることもあるでしょう。ある程度スキルがあるライダーなら問題ないと思います。

吉本: SLはプロユースのバイクですし、反応性を重視しているので基本的にハンドリングは鋭いです。下りの腕に覚えがない人は、安定感を得やすいプロの方が安心感を得られるでしょう。フロントフォークは共通なのに、フレームとの相性でここまでフィーリングが変わるのは面白いですね。フレームとの相性なのか分かりませんが、プロの方がより幅広いライダーにフィットするイメージです。

CS では最後に、総括をお願いします。

吉本: アベレージレーサーの視点では、プロの方が落ち着いて乗れる印象です。SLの研ぎ澄まされた俊敏さは憧れますが、長距離でその性能を使い切れるかと言えば、僕にはプロの方が「最後まで笑顔で走りきれる」気がします。SLの魅力を継承しつつ、安心感を絶妙にアレンジしたプロは、ホビーサイクリストがファストライドを楽しむには絶好の1台だと感じました。

岸: 僕は現在TCRのプログレードに乗っていて、それもすごく万能で乗りやすいのですが、プロペルのプロはまた違った良さがありますね。SLは極めて俊敏。レースで結果を求める人なら、この性能が確実にプラスに働きます。逆にプロは幅広いサイクリストの層にマッチすると思います。レースに出る人はもちろん、ロングライドなどを楽しむだけのサイクリストでも、プロペルの良さを十分に感じられるはずです。

CS 2台の価格差は約20万円。つい「高い方が良い」と思いがちですが、一概にそうとは言えませんね。

岸: そのとおりです。自分の目的や走るシーンに合わせて選ぶのが、最も幸せな選択になると思います。

CS: どっちを買おうか悩んでいらっしゃる方、両者の走りの違いを知りたい方は、ぜひお2人のインプレッションを参考にしてください。

 

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