ヨネックスから新型ロードバイク「トレース」が登場! 解説&インプレッション

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ヨネックスから新型ロードバイク「トレース」が登場! 解説&インプレッション

Presented by YONEX

YONEX(ヨネックス)から、新型のロードバイク「TRACE(トレース)」が登場した。軽量なエアロオールラウンダーで、トップレーサーがロードレースで勝利するためのレーシングバイクだ。特徴を紹介するとともに、筧五郎さん、野中秀樹さんによる試乗インプレッションをお届けしよう。

 

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「トレース」の特徴

ヨネックス・トレース

ヨネックス・トレース。写真の仕様(Sサイズ、ペダルなし)で6.8kg

トレースは、ロードレースにおいてトップライダーが勝利をつかむための、ハイエンドレーシングバイクだ。ヨネックスが得意とする“究極の軽さ”“バネ感と粘りのある走り”へ“エアロ”が加わった、エアロオールラウンダーとしての性格を持つ。製造は、国内のヨネックス工場にて日本の職人が一本一本丁寧に作り上げる。

素材としては、ヨネックスの代表作と言える「カーボネックス」と同様に、軽さを生み出すナノメトリックDR、独特のバネ感と粘りのある走りを実現する2G-Namd™(エヌアムド)スピードという特殊カーボン素材を用い、高弾性・高強度なカーボン素材である東レ・トレカ®M40Xを継続して使用する。さらにそこへ、同・トレカ®M46Xというより高弾性なカーボン素材を奢り、トップロードレースシーンで活躍できる剛性を加えた。

それでいて、重量はSサイズ・未塗装の状態でフレームが680g、フォークが375gで、さらに自社工場における圧倒的な軽さの塗装を施すことで、エアロオールラウンダーとしては世界最高クラスの軽さを実現する。

ヨネックス・トレースのヘッドチューブ

ヘッドチューブは正面からみるとくびれた形状をしている。また、前面が前へ張り出す形をしており、そこから後部へと風が流れる構造だ

同じ速度で走るのに必要なパワーは「カーボネックスHRディスク」と比較してマイナス6%(時速50kmで100km走ると119秒の短縮)、「カーボネックスSLD」と比較してマイナス4%(時速50kmで100km走ると110秒の短縮)削減されており、空力性能が高められている。国内の風洞実験施設におけるテストを繰り返し、エアロ性能・軽さ・剛性を同時に成り立たせるべく、徐々に削れる部分を削ぎ落としていく開発行程をとった。

ヨネックス・トレースのダウンチューブの様子

ダウンチューブの様子

特に特徴的なのはダウンチューブ形状で、他のエアロ系ロードバイクでよく採用されるD型形状とは大きく異なっている。一見すると丸チューブのようにも見えるが、よく見るとヘッドまわりからBBへ向かうにつれて徐々に形状が変わっていく。これは、剛性・空力・軽量性を成り立たせるべく、緻密に計算された形状だという。また、空力性能を高めるためにシートポストも専用設計のものが搭載される。

ヨネックス・トレース専用シートポスト

専用のシートポスト。初期でフレームに付属する

電動コンポーネント専用であり、ケーブル類はフル内装。内装性を高めるべく、ヘッドチューブは上下1.5インチとなっている。

ヘッドまわり

ヘッドまわり

ヘッドシステムについてはデダのDCR規格を採用した。一体型ハンドルをはじめさまざまなタイプのハンドル・ステムに対応するため、細かなポジション調整ができるようにすることとメンテナンス性を重視したチョイスである。

BB

BB

BBについては、従来のプレスフィット式からスレッド式へ変更され、メンテナンス性が高められた。必要な剛性と軽さをこの方式でも実現できるようになったためである。

アクアナイトブラック

アクアナイトブラックカラー

速さとともに、美しさを両立させることにもこだわってデザインされる。トップチューブからチェーンステーにかけて流れるようなブルーのワンポイントが入れられ、軽やかさや速さを表現すべく、フレーム下部にはグリーン系の偏光塗装があしらわれる。

アクアナイトブラックカラーのフレーム下部に施される偏光塗装

アクアナイトブラックカラーのフレーム下部に施される偏光塗装

ラップ塗装

アクアナイトブラックカラーのトップチューブ上部に施されたラップ塗装

アクアナイトブラックのカラーについては、トップチューブ上部にラップ塗装が施される。国内の自社工場で手作業で行われ、その模様は一台として同じものはない

ターコイズグレー カラー

ターコイズ/グレー カラー

ターコイズ/グレーのカラーについては、ストイックな機材性能を表現すべく、あえてシンプルなカラーリングとなっている。

これらの鮮やかで凝った塗装が大部分に施されているにもかかわらず、塗装による重量は40g以下で、これは通常の半分以下である。国内工場での塗装による技が生きる証(あかし)だ。

 

トレースのラインナップ

 

フレームセット

●価格:88万円(税込)
※専用シートポストが付属

 

シマノ・アルテグラDi2完成車

●価格:154万円(税込)
●ホイール:シマノ・DURA-ACE C50 チューブレスホイール
●タイヤ:iRC・フォーミュラ プロ チューブレスレディ スーパーライト 700×28C
●ハンドル:デダ・スーパーゼロ アロイ
●ステム:デダ・スーパーボックス DCR
●サドル:フィジーク・ヴェント アンタレス R5 140mm

 

サイズ

●XS(適応身長:150〜160cm)
●S(適応身長:160〜170cm)
●M(適応身長:170〜180cm)

 

カラー

●アクアナイトブラック
●ターコイズ/グレー

ヨネックス・トレースのジオメトリ表

ジオメトリ表

 

トレースを筧五郎さん・野中秀樹さんが試乗!

ヨネックス・トレースを筧五郎さんが試乗

インプレッションライダー/56サイクル代表・筧五郎(かけい ごろう)さん。主にロードバイクライダー向けのコーチングサービスを展開する、56サイクルを運営。30年以上にわたって自転車競技に打ち込み続け、実力はもちろんのこと、知名度も高い

ヨネックス・トレースを野中秀樹さんが試乗

インプレッションライダー/フィールドサイクル代表・野中秀樹(のなか ひでき)さん。国内自転車メーカーに勤務した後、2025年6月に東京・練馬区に「フィールドサイクル」を開業した若きショップ店長。学生時代から実業団クラスのレースに参戦している競技者でもある

サイクルスポーツ(以下CS):乗ってみて感じた第一印象は?

筧:以前、ミドルグレードの「グローエント」に乗る機会があったんだけど、あれが本当に良かったんだよね。ああ、こういうバイクが欲しかったんだよって思った。それにレーシング性能が加わったのがこのトレースだ、という感じだね。

何と言うか“カドがない”乗り味で、ハイグレードなレーシングバイクにありがちなガチガチに脚にくる感じがせず、乗りやすかった。特に好印象なのはやや急勾配な上りだね。スーッと背中を押されているかのような進み具合が感じられたよ。

野中:私は最初に感じられたのは“軽さ”ですね。特に初速。踏んでトンと出ていく感じはすごく好印象でした。あとは五郎さんが感じたのと同様に、硬すぎずちょうど良い剛性感というのも印象的でしたね。

CS:エアロオールラウンダーということで、平地の巡航性能やエアロ性能についてはどう感じられましたか?

筧:その領域ですごい速いという印象はないけれど、他社が出しているバリバリのエアロレーサーに劣っている感じはないね。しっかりそうしたバイクにもついて行けるし、“普通に走る”という感じだね。

エアロ性能について聞かれたところアレなんだけど、一方で踏み心地の良さと、それによって上りでスーッと進んでいく感覚が非常に好印象だったね。柔らかくて弾力のある風船を踏んでいるかのような感覚があって、速く踏めばそれだけ速く反発が返ってきて、ゆっくり踏めばゆっくりとした反発が返ってくる感じだね。だから、どんな踏み方をしてもリズムがとりやすくて、脚にくる感じがないんだ。

剛性が高くてガチガチのトップレーシングバイクだと、”踏めるポイント”がかなり狭いんだけど、トレースにはそれがない。だから、急勾配でインナーに落として走るときなんかすごく進むよ。ずっと回していられる感じだね。でも、決して剛性が低くてふにゃふにゃってわけじゃないんだ。絶妙な感じだよ。

CS:他の海外ブランドが出しているトップグレードのエアロ系バイクに引けをとらないエアロ性能で、そのうえで踏み心地や上り性能でアドバンテージがある、ということでしょうか?

五郎:そう、そのとおりだと思う。

CS:野中さんはいかがですか?

野中:正直なところ、私も突出したエアロ性能というのは感じられませんでした。他ブランドの同ジャンルのバイクに遜色がない、と表現すべきですね。

そのうえで印象深かったのは、平地でグンとパワーを上げて踏んでいったときに、速度が伸ばしやすいということでした。おそらく軽さからきているのだと思いますが、初速から高い速度域まで持っていきやすいんです。

また、硬すぎて弾かれてしまう感じもないので、スプリントしてグングン加速していっても、「まだ踏める」「まだ踏める」「まだ踏める!」と、従来ならもう脚がいっぱいいっぱいになってしまうところでも、“もうひと伸び”があるなと感じました。出し切れるバイク、粘らせてくれるバイクとでも言いましょうか。

CS:上りについては?

野中:斜度が緩い上りでは優等生的にこなしてくれる印象ですね。特筆すべきは、斜度がきつくなった場面でギヤを落として踏むときの走りです。平地でバイクを振ってもがくときに感じられたのと同じような、優しさと言いましょうか、すごくサポートしてくれる感覚が得られました。これが先ほど五郎さんが言及していた、独特の踏み心地なんだと思います。すごく心地の良い、ちょうど良さを感じますね。

CS:下りの安定感やハンドリング性能についてはどうでしたか?

筧:軽量なバイクにありがちな不安感や恐怖感はまったくないね。すごく乗りやすい。ハンドリングについては、意識して曲がろうと思わなくても自動で曲がっていってくれるような感覚すらあるね。

野中:ですよね。レーシングバイクにありがちな、跳ねてしまってとっ散らかっちゃう感じがなくて、太いタイヤを履かせているのに似た安定感があります。あえて荷重を後ろ気味にして押さえつけたりする必要もなく、バイク側で自己完結してくれる感じで、かなりコントロールしやすいです。

CS:それと関連して、乗り心地については?

野中:一日試乗してみて、乗り心地が悪いなと思う瞬間が一度もなかったんです。乗り心地が悪いときって、すぐ気づくんですよ。っていうことは、それだけ相当乗り心地が良いのだと思います。今回試乗したパッケージには一体型の剛性が高いハンドルが搭載されていたのですが、それでもフロント側の突き上げがあまりなかったので、かなり絶妙なのだと思います。

筧:上り坂で荒れた路面とかグレーチングを越えるときも、ハンドルからバシーンと弾かれちゃう感じもなかったね。僕も乗り心地はいいレベルだと思うよ。

CS:最後に総合評価を。

筧:ヨネックスのファンって、ちょっと失礼な言い方だけど、いまだにリムブレーキに乗っている人が多いのね。トレースは、そうしたライダーたちがディスクブレーキに移行してもまったく違和感がないというか、そういう一台に仕上がっていると思う。カドがないバイクというか、丸みのあるバイクだね。ようやくディスクブレーキ仕様のレーシングバイクで、こういうのが登場してくれたんだぁ! みたいな感じがするよ。ほんと、多くの人にまずは乗ってみてほしいね。

野中:新しいんですよ、すごく。やってることとか形状も“今風”で。多くのワールドワイドなブランドが行き着いたものに近い形をしている。でも乗ってみると、五郎さんがおっしゃるように優しいんです。それがすごく新鮮で、現状で唯一無二なレーシングバイクだと思います。しっかりとヨネックスらしさが内包されている。誰が乗っても満足できるバイクだと言えるでしょう。

CS:ありがとうございました。