ロードバイクは秋でも熱中症に注意しよう!【対策を解説】
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外に出ることすら危険な暑さが続いていたが、ようやく日中まともにロードバイクでサイクリングできるようになってきた。しかし、まだまだ最高気温が異常に高い日が続いている。秋とはいえ、熱中症対策が重要な時代へと突入しているのだ。そんな難しい時期に走るときのコツをまとめてみよう。
まずはロードバイクに乗るときの熱中症対策のおさらいを
今回教えてもらうのは、元プロ自転車レーサーとして活躍し、現在はマウンテンバイク日本ナショナルチーム監督を務める小笠原 崇裕さんだ。

小笠原 崇裕(おがさわら たかひろ)さん。ロードバイクからマウンテンバイクまで精通するアスリートであり、自転車コーチとしての能力もピカイチ。サイクルスポーツでは記事・動画で主にロードバイクのライディングテクニックを教えている
9月に入ってもいとも簡単に最高気温が30度を超え、35度になってしまう日もザラだ。このままいくと10月でも平気で30度を超える日が多くなりそうだ。
多くのスポーツで共通する点が多いとは思うが、改めて、暑い日にロードバイクでサイクリングするときの注意点についてまずは確認してみたい。
POINT①こまめな水分補給とナトリウムの摂取を

「まず一番注意してほしいのは水分補給です」と小笠原さん。
「喉が渇いたな、と感じたときに飲むのではもう遅いです。その時点で軽い脱水症状になっています。なので、喉が渇いたなと思ったり、口の中が乾いてパサつくような状態になる前に、こまめに水分を摂っていくことが重要です。
目安としては、10分〜15分おきに、一口〜二口程度の水分をとっていくと良いでしょう」。

「また、飲むものにも注意してください。よく水、あるいはお茶類しか飲まないという人がいますが、それはNGです。熱中症対策には、ナトリウム、つまり塩分を補給していくことが重要です。ナトリウムが不足することでも熱中症になりやすくなってしまうからです。
例えば、ナトリウムが摂取できることをうたったスポーツドリンク等を飲んでください。市販されていてよく手に入るものの例としては、ポカリスエットがあります。
また、ナトリウムが補給できるタブレット食品を携行して食べながら行くのも良いと思います」。
POINT② 少しでも調子が悪いなと感じたらためらわず経口補水液を飲む!

「水分・ナトリウム補給と関連していますが、これも重要です。
経口補水液というと、病気で寝込んだり、あるいは熱中症にかかった後に回復のために飲むようなイメージがあるかもしれませんが、スポーツの場合は早めの予防という意味でためらわず飲んでください。
サイクリングしていてちょっとでもだるいな、具合が悪いなと感じたら、すぐ飲んでください。それ以上の悪化を防ぐために重要となります」。
※経口補水液はコンビニエンスストアでも置いている場合があり、サイクリング中でもドラッグストアに立ち寄れればすぐ手に入る。
POINT③ こまめに休息をとり体温を下げる

「体温の上がりすぎはもちろん熱中症の原因になります。暑いときはこまめに休憩をとり、体温を下げることも重要です。
運動強度によって変わってくるので一概には言えませんが、1時間に1回程度を目安に休憩をとっていくのがいいと思います。
例えば公園などで休憩する場合は必ず日陰を見つけてその中で休んでください。また、ヘルメットもすぐ外しましょう。頭部に熱がこもってしまいます」。

「もし公共の水道が使える場合は、休憩中にボトルに水を入れて首・脇・鼠蹊部(そけいぶ)、そして手に直接かけると良いです。ここに水をかけるとそこから血流が流れることで効果的に体を冷やすことができます。
また、コンビニエンスストアで休憩するなら、氷を買い、先ほど説明した部分に直接当てることでも効果的な体の冷却効果を得ることができます」。
POINT④ なるべく直接肌に日光を当てないようにする

「肌に直接日光が当たると体内に熱がこもりやすくなり、それも熱中症の原因になりえます。よって、暑いからといって必ずしも半袖ジャージにショートパンツが正解というわけではありません。
好みにもよりますが、UV対策用の速乾性に優れた涼しいタイプのアームカバー&レッグカバーを着用し、直射日光が肌に当たるのを防ぐと効果的です。さらに、この部分にどんどん水をかけていき気化熱で体を冷やしながら走るのも良い手段です」。

「肌を露出する場合は最低限しっかりと日やけどめを塗ってください。これだけでもだいぶ体感が違ってくるはずです」。
POINT⑤ 前日の飲酒はなるべく控えよう

「意外な盲点だと思うのですが、ライド前日に飲酒はなるべく控えた方がいいです。アルコールの作用で体の水分が失われやすくなり、それだけライド当日の熱中症リスクを高めてしまうのです。スタートする時点ですでに体の水分が失われた状態になっているわけですね。
まったく飲むなというのは難しいかもしれませんが、例えば缶ビールなら1本でやめておくなど、飲むとしても適量にしましょう。
また、ライド後の飲酒も注意が必要です。水分が失われた状態での飲酒はさらに水分を失う可能性があり、危ないですよ。こちらも適量にするか、やめておくのが賢明です」。
……し、知らなかった。
暑い時間帯に強度を上げない工夫を

では、ここまでの基本を押さえつつ、この異常な時代の秋で特に気をつけるべきことについて紹介していきたい。
思うに、朝は涼しいのに日中に極端に気温が上がってしまうのがこの時期の難しい点なのでは? かといって、これまでは危険なので外を走れても早朝の時間だけ、というような状況が続いていたので、日中をフルに使って満足のいくサイクリングがしたいところでもある。
「そうですよね。そこでポイントになるのが、一番気温が上がる時間帯に強度が上がらないようにすることです。例えば、この時間帯に長い上り坂がこないようにするコースどりをする、といったことが考えられます。さらに、暑い時間帯はよりこまめに休憩をとって体を冷やすのも手です。
また、より秋が深まってくると、朝はロングスリーブ&ロングパンツでいいくらいなのに、日中に気温が30度を超えるというような状況も十分にありえます。従来の常識では考えられないような、読めない気温の上がり方をする場合がありますので、ウェアは脱ぎ着できるように、今まで以上にレイヤリングを工夫してください」。
今回紹介したポイントを参考に、秋だからといって油断せず、十分に注意してサイクリングを楽しんでほしい。












