ヒルクライムに強くなるための必修科目、ダンシングを習得! その練習法とは?

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ダンシングは、ロードバイクのライディングスキルの中でも重要なテクニックの一つだ。特に、ヒルクライムでうまく使うことができれば楽に・速く上ることができ、あなたのライドの質は格段に上がる。しかし、「使えればいいのは分かっているけどうまくできない」「苦手だからしないけど、できた方がいいんだよなぁ」と思っている人は多いのではないだろうか。そこで今回は、特にダンシングが多く使われるヒルクライムのシーンを想定した、その上達のコツと練習法について紹介しよう。

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できた方が絶対的に有利

今回レクチャーしてもらうのは、おなじみUCIコーチで自身もプロサイクリストの小笠原 崇裕さんだ。

UCIコーチでプロサイクリストの小笠原 崇裕さん

今回のアドバイザー・UCIコーチでプロサイクリストの小笠原 崇裕さん

ダンシングを苦手としている人は多いと思うが、やはりダンシングはできた方がライドには有利なのだろうか?

「もちろん、絶対的にできた方がいいです。ダンシングができないからといってずっとシッティングし続けると、偏った筋肉疲労が発生してしまうかもしれません。また、勾配のきつい所で楽に走ることができるなど、ダンシングを使うことでライドがかなり有利になります。なおヒルクライムだけでなく、平地では発進時にスムーズに加速をするのに有効です」と小笠原さん。

ダンシングの目的とは?

やはりできた方がいいということだ。では、上り坂でダンシングを使う目的とは? 

「先ほども言いましたが、まずは筋力の疲労がどこか一か所にたまることを防ぐという、疲労分散の目的が上げられます。ずっとシッティングし続けていると、自分の得意な所の力ばかり使ってしまいがちなので、適切にダンシングを入れてあげることで、その力の掛かる偏りを分散できます。

次に、体重をうまく活用して楽に走る、ということです。特にきつい勾配になったときにダンシングを使うことで、筋力だけではなく体重も載せて力を出し、楽に乗り切ることができます。まだ体力の少ないビギナーや筋力の弱い女性が使えると、有利になると思います」。

良いダンシングのフォームとは?

なるほど。では、良いダンシングのフォームとはどんなイメージなのだろうか。

コツその1 正面から見て体の軸が曲がらないこと
「1つ目は、正面から見て、体の軸が曲がらないことです。腰・胴体・頭にかけて一直線の軸が通っているようにし、ここが曲がらないようにすることで、左右の脚でペダリングしたときに力が逃げません」。

良いダンシングのコツ その1

良いダンシングのコツ その1

「正面から見た際に良くない例は、例えばへそから体の軸が曲がってしまっていたり、頭が左右に振れていたりすることです。こうなると、ペダリングの力が逃げてしまいます」。

正面から見たダンシングの悪い例

正面から見たダンシングの悪い例

コツその2 バイクが左右均等に触れる
「また、ペダリングのたびに、バイクが左右に均等に触れることも、力を逃さず効率的にダンシングするポイントです。この点にも気をつけましょう」。

ダンシングのコツ その2

良いダンシングのコツ その2

コツその3 頭と腰の位置が横から見て上下動しない
「次に、横から見たときのポイントです。ペダルを上から下に踏むたびに、頭と腰の位置が上下に動かないようにすることですす。こうすることで、踏み込むときに脚に負担が掛かりにくくなります。意識することとしては、ペダルを踏むときに下に踏み込みすぎないようにすることです」。

ダンシングのコツ その3

良いダンシングのコツ その3

「逆に良くないのは、頭と腰の位置がペダリングのたびに上下動してしまうことです。ペダルを下まで踏み込みすぎているとこうなってしまいがちで、効率の悪いダンシングになってしまいます」。

横から見たダンシングの悪い例

横から見たダンシングの悪い例

練習法その1 半回転止めダンシング

良いダンシングのフォームとコツは分かった。では、これができるようにするための練習法とは?

「3つ紹介したいと思います。まずは一番基本的な練習法です。

勾配3%〜5%くらいの緩い上り坂を探してください。そこで、まずは片方の脚で上死点→下死点までダンシングで踏みます。そこで一旦回転を止めて、バイクを前方に進ませます。スケートで前に滑らかに滑っていくようなイメージで、できるだけペダリングを止めている間長く前に進ませてください。その後、もう片方の脚で上死点→下死点までダンシングで踏み、同じように滑らかにバイクを前方に進ませます。半回転で止めるとき、バイクの自然な傾きに合わせハンドルを軽く押してあげるようにするのがポイントです。

この練習によって、ダンシング時のバイクの自然な動きがつかめ、踏み遅れのない・良い踏み込みのタイミングを身につけることができます」。

半回転止め練習法

半回転止めダンシングのやり方

1日にやる目安の回数やギヤの重さの目安は?

「1回のライドのうち、片脚30回転ずつくらいを目安に行ってみてください。ギヤについては、あまり軽すぎずやや重めがいいですね。やや重めの方が、踏み込みのタイミングをつかみやすいです」。

練習法その2 低回転→高回転→低回転ダンシング

他の練習法は?

「2つ目の練習法は、低回転→高回転→低回転ダンシングです。やり方は、まず最初に低回転から回し始め、だんだんと高回転にしていき、一旦脚が回りきるほどの回転数まで上げます。その後、また徐々に低回転まで落とします。この一連の動作を、20秒〜30秒程度で行います」。

低回転→高回転→低回転ダンシングのやり方

低回転→高回転→低回転ダンシングのやり方

この練習法の目安は?

「勾配は3〜5%の緩い上りで行ってください。結構体に負担の掛かる練習で、また筋力に頼ってやると結局上下動してしまい動きが崩れがちなので、ギヤは最も軽いものを選んで行うように。1回のライド中に3本取り入れられればOKです。慣れてきたら、だんだん勾配を上げていくといいですね」。

練習法3 下ハンドルダンシング

最後の練習法は?

「これはちょっと難しいですよ。上級者を目指すなら挑戦してほしい練習法で、下ハンドルを持ってダンシングする方法です。平地でも応用して使うことができます。

やり方は、肘を曲げ頭を深く下げ、下ハンドルを持って上り坂でダンシングを行います。顔はしっかりと前方を向くように。この状態で、ブラケットを持ったダンシングと同じように、頭と腰が上下動したり、体の軸が曲がってしまわないように行うのが大切です」。

下ハンドルダンシングのやり方

下ハンドルダンシングのやり方

「こちらは特に目安はないので、感覚がつかめるまで、どんどんチャレンジしてみてください」。

ダンシングができればあなたのライドは有利になる。どんどん練習してみて、上達していこう。今回はヒルクライムでのダンシングがテーマだったが、別の機会に平地で加速するためのダンシングについても取り上げてみたい。お楽しみに。

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