ラピエール・センシウム 300 FDJ CP 気になるブランドを一気乗り!「アサノ試乗します!」その10

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浅野センシウム300

フランスのUCIワールドツアーチーム・FDJとのパートナーシップによってプロレースシーンでも存在感を放つラピエール。2017モデルのインプレッション2台めは、FDJカラーをまとったカーボンフレームののベーシックモデル・センシウム300 FDJ CPを紹介する。

 

ラピエールで最もお値打ちなカーボンフレーム仕様のロードバイク

浅野センシウム300

シマノ・ティアグラ完成車価格/24万9000円(税抜)

センシウムは、エンデュランスジオメトリーを採用したカーボンフレームのベーシックモデル。ややアップライトな乗車姿勢が取りやすく、長距離ライドを快適に楽しめるのが特徴だ。

緩やかにアーチを描くトップチューブから細身のシートステーは路面からの突き上げをいなして快適な乗り味を実現。さらにヘッドからBB、リアアクスルにかけて単一のカーボンファイバーで製造することで、パワー伝達に重要なフレームの下部の一体感と剛性を高めている。

コンポーネントの異なる2種類のモデルと女性用モデル1種類を用意。シマノの11スピードコンポーネント・105を搭載した500 CP、その女性用モデルが500W CP。そして今回紹介する300 FDJ CPは、FDJのレプリカカラーをまとったフレームにシマノの10スピードコンポーネント・ティアグラを搭載する。いずれも完成車のみの販売で、300 FDJ CPは23万9000円と、ラピエールのカーボンフレーム仕様のロードバイクで最もお値打ちな価格を実現している。

浅野センシウム300

長めのヘッドチューブを採用し、上半身の起きたリラックスしたライディングフォームがとりやすい。ブレーキ・変速ケーブルはフレームに内蔵され、すっきりとした外観を実現

浅野センシウム300

トップチューブからシートステーまでが一筆書きのように連続性を持っているのが外観上の特徴。リアブレーキはシートステーのブリッジ上に設置されるオーソドックスな作りだ

浅野センシウム300

プレスフィットタイプのBBを採用。86mmのシェル幅いっぱいにダウンチューブやチェーンステーを拡幅し、自転車の推進力をロスしないたくましいフレーム下部を作り上げた

浅野センシウム300

ブレードだけでなく、ステアリングコラムもカーボンでできたフロントフォーク。コラムは上下異径のテーパードタイプ。軽さと強さを併せ持ち、優れたコントロール性能を実現

浅野センシウム300

エンド付近から緩やかにカーブするシートステー。細身で縦方向につぶしが入った扁平な断面形状を採用しており、路面からの衝撃を効果的にいなして快適な乗り心地をもたらす

 

初めてのカーボンバイクとして価格は魅力的だが……

浅野センシウム300

一口にカーボンフレームと言っても、価格帯だけを比べても実に幅広い。フレームだけで50万円を超えるようなモデルがあるかと思えば、完成車で20万円台というバイクも増えてきた。近年、特に充実しているのは20万円前後の価格帯のミドルグレードからエントリーモデル。カーボンフレームはもはや高嶺の花などではなく、ちょっと頑張れば最初の1台としても手に届くまでになってきた。

しかし、この価格帯はカーボンフレームだけでなく、アルミフレームにも魅力的なパッケージの完成車が数多くラインナップされる激戦区だ。ラピエールで言うと、カーボンフレームの完成車が今回紹介するセンシウム300 FDJ CP、アルミフレームの完成車が前回紹介したアウダシオ500 CPが、ちょうどこの価格帯に当たる。この激戦区にあって、センシウム300 FDJ CPの魅力はどこにあるのだろうか——。

試乗してみて、特に印象的だったのは快適性の高さだ。路面からの衝撃をかなりマイルドにしてくれる。エンデュランスロードの上位モデルのような特殊なテクノロジーを搭載しているわけではないので、アーチ状に湾曲したトップチューブや細身で薄いシートステーがいい仕事をしているのだろう。

それでいて、ペダルをグッと踏み込んだときの反応も悪くない。レーシングバイクほどの硬さは感じないが、頼りなさもない。ロングライドで長時間乗っても脚にくることがなさそうで、快適性とレスポンスのバランスをうまく取っている印象を受けた。

しかし、コンポーネントを含めたトータルパッケージで見たときには、やや不満が残った。フレームのポテンシャルにコンポーネントが追いついていないような印象を持ったからだ。特に不満を感じたのはブレーキの性能。時速40キロを超えるような高速域から一気に減速するような場面では制動力に不満を感じてしまった。

レース志向のそれほど強くないサイクリストに向けたエンデュランスロードだとしても、ロングライドを走れば下りも走ることはあり、高速走行するケースは十分に考えられる。ブレーキ性能は安全に直結するため、コンポーネントの中でも特に重要だと個人的には思う。せめてブレーキだけでも105クラスであれば……というのが正直なところだ。

とはいえ、完成車価格23万円台でこのフレームに乗れると思えば、価格の面では魅力的であることは間違いない。このモデルを手に入れるなら、のちのちコンポーネントをアップグレードする前提で考えるのがいいと思う。そうでなければ、予算は上がるがシマノ・105を搭載した上位モデル・センシウム500 CPを狙うべきだと思う。

■浅野真則
実業団エリートクラスで走る自転車ライター。ロードレース、エンデューロ、ヒルクライムなど幅広くレースを楽しみ、海外のグランフォンドにも参加経験がある。愛車はスコット・アディクトとキャノンデール・キャード10。ハンドル位置が低めのレーシングバイクが好き。

 

spec.

シマノ・ティアグラ完成車価格/24万9000円(税抜)

●フレーム/カーボン
●フォーク/カーボン
●コンポーネント/シマノ・ティアグラ
●ホイール/シマノ・R501
●タイヤ/コンチネンタル・ウルトラスポーツ 700×25C
●ハンドル/ラピエール・HB-CR12
●ステム/ラピエール・LP
●サドル/セライタリア・X1
●サイズ/46、49、52、55
●試乗車実測重量/9.3kg(サイズ49)