安井行生のロードバイク徹底評論 第2回 GURU Photon SL vol.6
目次
670gの超軽量フレームを作る技術を持ちながら、フルオーダーが基本という姿勢を貫くカナディアンブランド、グル。いかにも北米らしいスッキリとした雰囲気をまとうこのブランドは、何を考え、どこを目指して自転車を作るのか。カナダ自社工場の製造工程とフォトンSLのインプレッションを通じて、先鋭と人間臭さが複雑に混じりあうグルの製品哲学に迫る。全8回。
セオリー通りの形状
実車の検分に入る。試乗車はファーストフォワードジオメトリーで作られたXSサイズのフォトンSL。トップチューブは丸みを帯びた四角断面で、ヘッドチューブ側が太く、シートチューブに近づくにしたがってだんだんと細くなる。ダウンチューブは、ヘッド側の正方形断面からBB側の長方形断面に変化する。上下同径1-1/8インチのヘッドチューブや細身のチェーンステーなど、オーソドックスな構造も見られる。シートステーは振動吸収性を確保するべく細い。
全体的にセオリー通りの形状で、極端に異形加工されたところは少ない。この大人しいチューブ形状が、後述する素直な剛性感に繋がっているのかもしれない。チューブ接着時にエポキシモールディングコンパウンドを使っているため、各チューブの接合部には大きなアールがついている(接合部に大きなアールをつけるためにエポキシモールディングコンパウンドを盛っている、というほうが正しいのだが)。
全体的にセオリー通りの形状で、極端に異形加工されたところは少ない。この大人しいチューブ形状が、後述する素直な剛性感に繋がっているのかもしれない。チューブ接着時にエポキシモールディングコンパウンドを使っているため、各チューブの接合部には大きなアールがついている(接合部に大きなアールをつけるためにエポキシモールディングコンパウンドを盛っている、というほうが正しいのだが)。
グルのロジックが詰まった一本
フォークはエンヴィ・2.0というレディメイド品。フレームに合わせて専用設計されたフォークが当たり前となっている現代ではやや物足りないような気もするが、安全性を大きく左右するフロントフォークに、その筋のスペシャリストであるエンヴィ社の製品を使うというのは理にかなった手段ではある。それに、エンヴィ・2.0は非常に完成度の高いフォークであり、ルックやタイムのフォークが買えなくなった現在、単体購入できる高性能フォークの最右翼。オフセット値が豊富に用意されていることも、カスタムフレーム屋にとって都合がいいのだろう。
ちなみに、ファーストフォワードジオメトリーのサイズは6種類で、シート角はSサイズ以上で共通、ヘッド角はMサイズ以上で共通、チェーンステー長は全サイズで共通だが、リーチはちゃんとフレームサイズに比例して長くなっている。レーシングバイクらしくヘッドチューブが短く、BBドロップがやや大きいのが特徴だ。とはいえ、フォトンシリーズはオーダーが基本。既製のジオメトリーで評価するのは見当違いなのだが。
個人的には、自分に合ったジオメトリーでフレームを作れるという時点で、そのブランドの利点の半分以上を使ったと考えたほうがいいと思う。一般的な体型の範疇から外れるライダーはジオメトリー面で苦労することが多い。クロモリフレームをオーダーしてみて、自分に合ったジオメトリーでフレームを作るメリットを実感した。ヘッドチューブの長さ、ステムの長さと角度、サドル後退量とピラーのセットバック……今まで新しいフレームを選ぶときに必ず付いて回った数々の悩みから、一気に解放されるのだ。
ちなみに、ファーストフォワードジオメトリーのサイズは6種類で、シート角はSサイズ以上で共通、ヘッド角はMサイズ以上で共通、チェーンステー長は全サイズで共通だが、リーチはちゃんとフレームサイズに比例して長くなっている。レーシングバイクらしくヘッドチューブが短く、BBドロップがやや大きいのが特徴だ。とはいえ、フォトンシリーズはオーダーが基本。既製のジオメトリーで評価するのは見当違いなのだが。
個人的には、自分に合ったジオメトリーでフレームを作れるという時点で、そのブランドの利点の半分以上を使ったと考えたほうがいいと思う。一般的な体型の範疇から外れるライダーはジオメトリー面で苦労することが多い。クロモリフレームをオーダーしてみて、自分に合ったジオメトリーでフレームを作るメリットを実感した。ヘッドチューブの長さ、ステムの長さと角度、サドル後退量とピラーのセットバック……今まで新しいフレームを選ぶときに必ず付いて回った数々の悩みから、一気に解放されるのだ。