猪野学 ネオ坂バカ奮”登”記 第34回

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猪野学 ネオ坂バカ奮”登”記 第34回

初めてツール・ド・フランスを観たのは高校生の夏だった。
深夜にフジテレビ系列で放送していた。

空撮から見るプロトンは美しい生き物のよう。
ひときわ目立つ黄色い点がマイヨ・ジョーヌ。ミゲル・インドゥラインだ。

夏の舞台へ

あれから30年近く経ち。私はツール・ド・フランスのライブ配信でゲスト解説をやらせて頂く運びとなった。
50歳を過ぎても夢は叶うもの。不思議な感覚だが、そこには「人」との出会いが介入する。

当然かも知れない。この地球という星でまともにコミュニケーションをとれるのは「人」だけだ。

昔、共演した女優さんで「私は鳥と会話する事が出来るの」と仰っていた人がいたが、彼女は稀な存在だろう。
因みに彼女は後に国会議員となった。
鳥と会話する事が出来たから国会議員になれたのか?知る由もないし、知りたくもない。

とにかく我々は「人」とのつながりで日々を生きている。

 

猪野学 ネオ坂バカ奮”登”記 第34回

自走でJSPORTSがあるお台場へ!初めての体験に心は穏やかではない。

今回、私を夢へと導いてくれたのは新城幸也選手だ。2022年のジャパンカップ、彼が所属するバーレーン ヴィクリトアスのアフターパーティーで、J SPORTSのプロデューサーを紹介して貰ったのだ。

またゲスト解説の3日前に、やはり新城選手のパリ五輪壮行会で、共に解説する事になった浅田顕氏や、MCでお馴染みのサッシャ氏も紹介して頂いた。

パリ五輪の壮行会には日本自転車界を支える重鎮な方々が顔をそろえる。
私の隣には日本自転車競技連盟の部長さん。

それぞれ責任がある立場なのだろう、最初は当たり障りない会話だったが、会が進むに連れて昔の自転車競技時代の話となる。
今は重鎮だが昔はみんな選手だったのだ。

そこにフジテレビのプロデューサーと名乗る人物が現れた。
聞くと彼も昔、実業団で走っていたらしい。
そして「彼はフジテレビでツール・ド・フランスを放送させた人物ですよ!」と紹介された。

そう!高校生の夏に観ていた番組の立役者が目の前に現れたのだ!

感動した私は「インドゥライン全盛期ですよね!生で観てました!」と伝えた。

この世界は思わぬ形で「つながり」が現れるものだ….自転車に乗り続けていて良かったと、余韻に浸りながら壮行会をあとにした。

 

猪野学 ネオ坂バカ奮”登”記 第34回

解説に備え全ての出場選手を紙に書いて行ったら、ちゃんと用意されていた。

 

人との「つながり」で得たツール・ド・フランスのゲスト解説の当日。
本番前にサッシャ氏と打ち合わせをする。

私は昔からサッシャ氏が出演されているJ-WAVEのラジオ番組のヘビーリスナーだという事を伝えた。
すると「今度ぜひ、番組に出演してください」と、まさかの出演オファーを頂いた。

Step Oneという番組のLISTEN&LEARNというコーナーで、これまでに学びを得た人や出会い。
感銘を受けた映画や作品。
学びを得た旅を語るコーナーだ。

「いまを生きる」

猪野学 ネオ坂バカ奮”登”記 第34回

解説をした第3ステージはド平坦で全くレースは動かない。3時間喋る事に集中していたら…低血糖になり…たまたま目の前にあったレッドブルに助けられた。翼は偉大だ。

私は高校生時代に観たロビン・ウィリアムズ主演の「いまを生きる」という映画を選んだ。
私が俳優を志したきっかけとなった映画だ。

ラジオ出演に向けてロビン・ウィリアムズのドキュメント映画を観劇する事にした。
すると何と彼は晩年、自転車に打ち込んでいた事が判明したのだ!

ロサンゼルスの広陵とした道を走るロビン・ウィリアムズ…そして…その道は緩くはあるが……
坂だったのだ!!

来た!つながった!
なんと私を俳優へと導いたロビン・ウィリアムズは坂バカ俳優だったのだ!!
因みにハリソン・フォード氏もサイクリストである。インディ・ジョーンズも坂バカだったのだ。

勝手な解釈で申し訳ないが…解釈は自由だ!
鳥と会話をするのも自由だ!

たくさんのつながりの中で…
私は生かされていると実感した2024年の夏であった。

J-WAVE Step Oneは7/29〜8/1、午前9:35分頃に出演します。
何卒よろしくお願い申し上げます。

猪野 学 公式X(Twitter)