ツール・ド・フランス2023 第8ステージはピーダスンが区間優勝/カヴェンディッシュが棄権

  • photo A.S.O. /Pauline BALLET/Charly Lopez / ©SprintCycling

第110回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月8日にリブルヌからリモージュまでの200.7kmで、丘越え区間の第8ステージを競い、デンマークのマス・ピーダスン(リドル・トレック)が集団ゴールスプリントを制し、今大会からチームの第1タイトルスポンサーになったドイツのスーパーマーケット『リドル』に最初の勝利をもたらした。
 

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■ピーダスンが区間優勝し、新スポンサーに最初の勝利をもたらした (©SprintCycling)

 
区間2位はマイヨ・ベールを着たベルギーのヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)、3位はベルギーのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)だった。マイヨ・ジョーヌはデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)が守った。
 

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■マイヨ・ジョーヌはヴィンゲゴーが守った (photo : A.S.O. /Charly Lopez)


カヴェンディッシュが落車でリタイア

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■前人未到の35勝目を目指していたカヴェンディッシュが落車でリタイアしてしまった (©SprintCycling)

 
今季いっぱいでの引退を表明し、前人未到のツール区間通算35勝を目指していた英国のマーク・カヴェンディッシュ(アスタナ カザクスタン チーム)は、第8ステージの残り61kmで落車し、救急車で搬送されてレースを棄権した。彼は前日のゴールスプリントでギヤに問題が生じ、区間優勝を逃して2位になったばかりだった。

レース後のチーム発表によれば、カヴェンディッシュは右鎖骨を骨折し、さらに2017年のツールで落車した時に入れた肩鎖関節の接合ネジが骨折で緩んでしまったという。
 

3選手がアタック

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● 第8ステージのコースプロフィール (MAP : ASO)

 
第8ステージは172選手が出走。スタートからアタックが続いた後、21km地点でティム・デクレルク(スーダル・クイックステップ)がアタックし、アントニー・ドゥラプラス(チームアルケア・サムシック)とアントニー・テュルジス(トタルエナジーズ)が加わって逃げグループになった。3人は40km地点で集団に3分半のタイム差を付けた。最初の1時間の平均時速は51.2km/hだった。

79km地点の中間スプリントをドゥラプラスが先頭で通過した後、集団は4位争いのスプリントを競い、マイヨ・ベールのフィリプセンが競り勝った。中間スプリントを通過後、マテュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)がアタックしたが、成功しなかった。
 

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■逃げを引くデクレルクの愛称はトラクター (photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 
集団ではゴールまで残り61kmで、カヴェンディッシュとペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス)が落車する事故が発生した。ビルバオはレースに復帰したが、カヴェンディッシュは右鎖骨骨折の疑いがあり、救急車で病院へ搬送された。

ゴールまで残り37kmで、集団からカスパ・アスグレーン(スーダル・クイックステップ)がアタックし、先頭を走るチームメートのデクレルクに合流しようと試みたが成功せず、残り21.6kmで吸収された。先頭ではカテゴリー4の丘でデクレルクがアタックしたが、逆にテュルジスの攻撃を許してしまった。

この日がチームのゼネラルマネージャーであるジャンルネ・ベルノードーの誕生日だったテュルジスは単独で逃げ続けたが、ゴールまで残り8.2kmで集団に吸収され、区間優勝をプレゼントする事はできなかった。その代わりに彼は敢闘賞を獲得し、表彰台に上がる事ができた。
 

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(photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 
ゴールまで残り6kmで落車が発生し、前日まで総合4位に付けていたサイモン・イェーツ(チームジェイコ・アルウラー)が巻き込まれてしまった。彼は自転車を交換してレースに復帰したが、集団に追いつく事ができず、47秒遅れの区間61位でゴール。総合の順位を2つ下げてしまった。この落車では、ステフ・クラス(トタルエナジーズ)がレースを棄権した。

終盤はアルペシン・ドゥクーニンクが先頭を引き続けていたが、残り3.5kmでリドル・トレックが主導権を奪って残り1kmのフラム・ルージュを通過した。最後はファンデルプールが何とかフィリプセンの発射台として飛び出したがうまく機能せず、右側から飛び出したピーダスンが先頭でフィンッシュラインを通過した。

■区間優勝したピーダスンのコメント
「今朝はこのステージが逃げになるのかスプリントになるのか分からなかった。スプリンターたちは逃げを行かせたくなかった。チームメイトたちは完璧なリードアウトをしてくれた。ロングスプリントになっても、それを仕上げる脚はまだ持っていた。去年の第13ステージよりも早く区間優勝できて良かった。

フィニッシュラインを通過した時、勝ったと分かった。ロングスプリントだった。最後のストレッチはとても苦痛だった。残り50mで上体を起こす所だった。ヤスペルがボクを追い越すには、ものすごいスプリントをしなければならなかった。大差で勝つか、僅差で勝つかは問題ではない。それとは関係なく、ツールで勝つ事が素晴らしいんだ」
 

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■区間優勝したピーダスン (photo : A.S.O. /Charly Lopez)


■第8ステージ結果

[7月8日/リブルヌ~リモージュ/200.7km]
1. M. PEDERSEN (LIDL – TREK / DEN) 04h 12′ 26”
2. J. PHILIPSEN (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL)
3. W. VAN AERT (JUMBO-VISMA / BEL)
4. D. GROENEWEGEN (TEAM JAYCO ALULA / NED)
5. N. EEKHOFF (TEAM DSM – FIRMENICH / NED)
6. B. COQUARD (COFIDIS / FRA)
7. J. DE BUYST (LOTTO DSTNY / BEL)
8. R. TILLER (UNO-X PRO CYCLING TEAM / NOR)
9. C. STRONG (ISRAEL – PREMIER TECH / NZL)
10. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO)
61. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 00’ 47’’

■第8ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) 34h 09′ 38”
2. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 00′ 25”
3. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) + 01′ 34”
4. C. RODRIGUEZ CANO (INEOS GRENADIERS / ESP) + 03′ 30”
5. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 03′ 40”
6. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 04’ 01”
7. D. GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 04′ 03”
8. R. BARDET (TEAM DSM – FIRMENICH / FRA) + 04′ 43”
9. T. PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 04′ 43”
10. S. KUSS (JUMBO-VISMA / USA) + 05′ 28”

[各賞]
■ポイント賞:J. PHILIPSEN (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL)
■山岳賞 : N. POWLESS (EF EDUCATION – EASYPOST / USA)
■新人賞 :T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO)
■チーム成績:JUMBO-VISMA (NED)
■敢闘賞 : A. TURGIS (TOTALENERGIES / FRA)
 

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■最後まで逃げ続けたチュルジスが敢闘賞を獲得した (photo : A.S.O. /Charly Lopez)


第9ステージは中央山塊の頂上ゴール

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● 第9ステージのコースプロフィール (MAP : ASO)

 
1週目を締めくくる7月9日はサン・レオナール・ド・ノブラをスタートし、標高1415mでカテゴリー超級のピュイ・ド・ドーム頂上にゴールする中央山塊の第9ステージが行われる。ツールがピュイ・ド・ドームを訪れるのは35年ぶりだ。
 

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(photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 

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(photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 

ツール・ド・フランス公式サイト

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