ツール・ド・フランス2023 ピレネー初日の第5ステージはヒンドリーが独走で逃げ勝って総合首位

  • photo A.S.O. /Pauline BALLET/Charly Lopez / © BORA - hansgrohe / Sprintcycling

第110回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月5日にポーからラランスまでの162.7kmで、ピレネー初日の第5ステージを競い、オーストラリアのジャイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグローエ)が独走で逃げ切り、初参加で区間初優勝を果たした。
 

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■昨年のジロで総合優勝したヒンドリーがピレネー初日に独走で逃げ勝った (photo : © BORA – hansgrohe / Sprintcycling)

 
区間2位は32秒遅れでイタリアのジューリオ・チッコーネ(リドル・トレック)、3位はオーストリアのフェリックス・ガル(AG2R・シトロエン チーム)だった。デンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)は34秒遅れの区間5位に入った。

マイヨ・ジョーヌを着た英国のアダム・イェーツ(UAEチーム・エミレーツ)は、マイヨ・ブランを着たスロベニアチャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)と一緒に1分38秒遅れのグループでゴールし、27歳のヒンドリーが総合首位になった。
 

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■区間優勝したヒンドリーが総合首位になり、マイヨ・ジョーヌも獲得した (photo : © BORA – hansgrohe / Sprintcycling)


36人の逃げ集団

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■ポーのスタートラインに並んだマイヨ・ジョーヌのアダム・イェーツとマイヨ・ベールのフィリプセン (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

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● 第5ステージのコースプロフィール (MAP : ASO)

 
第5ステージは172選手が出走。前日にゴール目前で落車したルイスレオン・サンチェス(アスタナ カザクスタン チーム)とヤコポ・グアルニエーリ(ロット・デスティニー)がスタートしなかった。2人とも落車で鎖骨を骨折していた。グアルニエーリと一緒に落車したヨーロッパチャンピオンのファビオ・ヤコブセン(スーダル・クイックステップ)は幸い骨折がなく、レースを続行できた。

スタートからアタックが続いた後、28km地点で36人の大きな集団が逃げ出し、総合成績でマイヨ・ジョーヌのイェーツにたった22秒遅れの7位だったヒンドリーも加わっていた。

この逃げ集団から45km地点でブライアン・コカール(コフィディス)、マス・ピーダスン(リドル・トレック)、ウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)、ヴィクトール・カンペナールツ(ロット・デスティニー)がアタックし、3.8km先の中間スプリントはコカールが先頭で通過した。UAEチーム・エミレーツがコントロールするメイン集団は2分後方だった。
 

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(photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 
カテゴリー超級のスーデ峠が始まると、先頭はヴァンアールトとカンペナールツの2人になったが、彼らは山頂まで残り2.5kmで追走グループに吸収された。スーデ峠は霧がかかり、気温は16℃だった。山頂まで残り1.5kmでフェリクス・ガル(AG2R・シトロエンチーム)がアタックし、単独で山頂を通過して20ポイントを獲得。これで彼は山岳賞総合首位になった。

下りでガルは捕まり、先頭は17人の集団になった。ゴールまで残り53.5kmでクリッツ・ネイランズ(イスラエル・プルミエテック)が単独でアタックし、カテゴリー3のコル・ディシェールでジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)とヴァンアールトが合流して先頭は3人になった。しかし、まだゴール前にはカテゴリー3のマリー・ブランク峠が待ち構えていた。
 

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■霧に包まれたスーデ峠を独走で逃げたガル (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 
ゴールまで残り24kmのマリー・ブランク峠の登坂で3人は追走グループに捕まった。そこから山頂まで残り4kmでガルが再びアタックし、ヒンドリーが付いていった。しかし、ガルは昨年のジロ・デ・イタリアで総合優勝したヒンドリーには付いて行けなかった。ヒンドリーはゴールまで残り20kmで単独になった。

後方のマイヨ・ジョーヌ集団では、セップ・クース(ユンボ・ヴィスマ)が先頭を引き始めると、アダム・イェーツが遅れてしまった。山頂まで残り1kmでヴィンゲゴーがアタックした時、マイヨ・ブランのポガチャルは応戦できなかった。

ゴールまで残り18.5kmのマリー・ブランク峠の頂上で、先頭のヒンドリーは追走するヴィンゲゴーにまだ1分以上のタイム差を持っていた。ポガチャルはここでヴィンゲゴーに30秒以上遅れてしまった。ヒンドリーはそのままタイム差を守って峠を下り切り、初参加だったツールで区間初優勝を成し遂げた。

ヴィンゲゴーは合流したチッコーネやガルの協力を得られず、1人で追走グループを引き続けたが、最後はゴールスプリントで区間5位になり、ボーナスタイムは獲得できなかった。しかし、彼はピレネー初日に最大のライバルであるポガチャルに1分以上のタイム差を付ける事ができた。
 

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■マリー・ブランク峠で先頭を独走するヒンドリー (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 
■初参加のツールで区間初優勝し、マイヨ・ジョーヌも獲得したヒンドリーのコメント
「これは実際に計画ではなかった。我々は即興でプレイした。それは自転車レースを楽しむ1つの方法だ。そのグループの一員であることに気がついて、それをエンジョイしたよ。本当に信じられない。無線の中の連中は、ただゴールに向かって走れと叫んでいるだけだった。他には何も聞こえなかった。総合で可能な限りのタイムを稼ぎたかったし、区間優勝もしたかったが…気がついたら今はマイヨ・ジョーヌだ。

何を期待していたのか本当にわからなかった。初めてのツールで、これほど大きな野心を持ってここに来るのは十分難しい。たった1ステージで、全く信じられない事だ。家族、ガールフレンド、ファン、競技キャリアと通してボクをサポートしてくれた皆に感謝する」
 

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■初参加のツールでマイヨ・ジョーヌに初めて袖を落としたヒンドリー (photo : © BORA – hansgrohe / Sprintcycling)


■第5ステージ結果

[7月5日/ポー~ラランス/163 km]
1. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) 03h 57′ 07”
2. G. CICCONE (LIDL – TREK / ITA) + 00′ 32”
3. F. GALL (AG2R CITROEN TEAM / AUT) + 00′ 32”
4. E. BUCHMANN (BORA – HANSGROHE / GER) + 00′ 32”
5. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) + 00′ 34”
6. S. JENSEN (LIDL – TREK / DEN) + 01′ 38”
7. D. MARTINEZ POVEDA (INEOS GRENADIERS / COL) + 01′ 38”
8. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 01′ 38”
9. D. GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 01′ 38”
10. C. RODRIGUEZ CANO (INEOS GRENADIERS / ESP) + 01′ 38”
13. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 01′ 38”

■第5ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) 22h 15′ 12”
2. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) + 00′ 47”
3. 2. G. CICCONE (LIDL – TREK / ITA) + 01′ 03”
4. E. BUCHMANN (BORA – HANSGROHE / GER) + 01′ 11”
5. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 01′ 34”
6. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 01′ 40”
7. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 01′ 40”
8. S. JENSEN (LIDL – TREK / DEN) + 01′ 56”
9. C. RODRIGUEZ CANO (INEOS GRENADIERS / ESP) + 01′ 56”
10. D. GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 01′ 56”

[各賞]
■ポイント賞:J. PHILIPSEN (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL)
■山岳賞 : F. GALL (AG2R CITROEN TEAM / AUT)
■新人賞 :T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO)
■チーム成績:JUMBO-VISMA (NED)
■敢闘賞 : W. VAN AERT (JUMBO-VISMA / BEL)
 

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■カテゴリー超級のスーデ峠でポイントを稼いだガルが山岳賞総合首位になった (photo : A.S.O. /Pauline BALLET)


ピレネー2日目はツールマレーを越えて頂上ゴール

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● 第6ステージのコースプロフィール (MAP : ASO)

 
ピレネー山岳2日目の7月6日は、タルブをスタートしてカテゴリー1のコテレ・カンバスク(標高1355m)頂上にゴールする144.9 kmで第6ステージが行われる。コースは途中標高1490mでカテゴリー1のアスパン峠と、標高2115mでカテゴリー超級のツールマレー峠を越える。ゴールのコテレ・カンバスクは全長16kmの上りで、平均勾配は5.4%だ。
 

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(photo : A.S.O. /Pauline BALLET)

 

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